【11日目】ナイト・オン・ザ・プラネット
こんばんは、あんかけチャーハン食べる君です。レタスチャーハン殺しと呼ばれていた時もありました。
さて、ナイト・オン・ザ・プラネットを観ましたよ。
どれも現実にありそうで、なさそうな短編。そこにエスプリの効いた会話が乗ってくるあたりは、実にジム・ジャームッシュっぽいですね。私が1番好きなのは、4本目。陽気な男の一人語りは、もはや落語の域。後半は私の大好きな「黄金餅」の貧乏弔いや「駱駝」のかんかんのうを踊らせるくだりを彷彿とさせる。また、立板に水的なひとり喋りの軽快さ、ナンセンス加減、どこを取っても落語的なのである。ぜひ、NHKは「超入門!落語THE MOVIE」でこの手法を取り入れてほしい。そして、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反でとともにジム・ジャームッシュにも訴えてほしいものだ。
ただ心に残るセリフはNYが多かった。運転手となった乗客(兄)と妹が車内で言い争いをするシーン。
「“ファック・ユー、ファック・ユー”いい家族だ」
乗客となった運転手のセリフ。
「私は道化だ。金は必要だが、重要じゃない」
こんなセリフは金か、芸術かで迷っていた学生時代の私が当時知っていたら、多少生きやすい生活を送れたのではないかな、なんて思った。
そういえば、以前、飲んで終電を無くした際にタクシーを利用したことがある。運転手は新人の人で、上京したばかりの人であった。なかなか家につかないので、外の景色を見たところ、家の方角とは真反対に進んでおり、鮮やかに輝く東京タワーが。当時の私が運転手にかけた言葉は、
「ちょうど東京タワーが見たかったんです」
だったが(もちろん運賃についてはおまけしてもらった)、なかなか現実ではかっこいい言葉というのはすらっと出てこないものですな。
というわけで最後は3本目のパリ編から、この会話のセリフでお別れしよう。さりげなさは、太宰治「当たりまえのことを当たりまえに語る」ではないが、クールさ、かっこよさ、ダンディズムにおいて外せないものですね。
運転手「盲人は黒眼鏡をかけるのでは?」
盲目の女性「さあ? 見たことないから知らないわ」