セミを再現した楽器でナンパは成功するのか？
『セミ 音』と調べるとセミの鳴き声はアブラゼミで７０～８０ｄB、クマゼミは８０～９０ｄB くらい。これは電車の通過音や防犯ブザーなどが参考になる音とのこと。
さぞかし気持ちいいでしょうねぇ！！
もし、僕が同じように街中で性衝動を喚き散らすなら、すぐにサイレンの音が合流することになるでしょう。
しかし、セミの鳴き声は蝉時雨と呼ばれ古くから風物詩として親しまれています。内容は同じはずなのにズルいですね。
ミンミンミンミン
ジージージージー
ツクツクホーシ ツクツクホーシ
室内でもはっきりとわかる音。
外に出ると刺さるような迫力ある音が響きます。
もし仮に……この音を自由に扱うことができるのならば……あなたはどうしますか？
僕はそんなこと考えるともう……
そんなんもう……辛抱たまらんですよ。
というわけでセミの構造を再現したオリジナル楽器を作りたいと思います。
僕も楽器を操り、セミ達のコンパに参加できるのか？ナンパ成功となるのか？
セミ楽器化検証とセミナンパ検証の２つ行います。
① セミの構造の理解
セミの鳴き声について簡単に調べた感想は「セミの体内が楽器すぎ」です。
セミの腹はV字の筋肉、筋肉に繋がる膜、あとは、ほぼ空っぽという構造になってます。
鳴く仕組みは筋肉の振動を発音膜で音にして、空きっ腹(共鳴室)で音を増幅させてます。
加えて、セミの腹に腹弁という音量と鳴り方を調整できる部位もあり、独特の鳴き声を発することができます。
本当に全身が鳴くために出来ているようです。
② 再現・制作
発音筋「高速で振動する構造」
人力の振動では体力が持たないので電子楽器でセミの再現を目指すことにします。オタマトーンと同じくらいの温度感の楽器でしょうか？生き物モチーフな所も一緒ですね！
振動する道具に僕は
全くの心当たりがなかったため
何故か振動する寿司を利用することにしました。
寿司じゃないバージョンも世の中に沢山あったのですが、普段は空きっ腹のセミを寿司で満腹にしてあげるためにこちらを採用します。
次に胴体部の空洞で良く響くものとしてギロを購入し加工します。
新たな楽器を作るために既存の楽器を解体するなんて背徳的で興奮しますね。値段もまあまあ高かったことも背徳感をさらに加速させます。
胴体部(故ギロ)と筋肉部(振動寿司)は手に入りましたが発音膜という難題に当たりました。
膜という言葉のイメージで振動する太鼓のような試作を何パターンか作りましたが上手くいきません。机の上でスマホが振動するような響かない音ばかりです。
勘違いに気づいたのは迷走して試作がもはやセミ型の電マに近づいている時でした。
発音膜はペコッパキッと鳴っていました。
例えるならペットボトルの曲面を押して「ペコッ」離すと「パキッ」一回の振動で往復のペコッパキッこれが発音膜の仕組みです。
発音膜とは平面ではなく、曲面で少し硬いものだとわかりました。膜という言葉のイメージに引っ張られて迷走してましたね。うーん タイムロス。
しかし、ペットボトルに振動寿司を押し当てても変形音は鳴りません。もっと薄く反響しやすい部品が必要です。
セミ発音再現装置のプロトタイプがこちらです。
迷走して嘆いていた時に握りしめていた氷結。
響く音に繋がりました
振動寿司の細かな動きでもペコッパキッが起こり大きな音が鳴り響きます。
また、缶の底のフチに振動を与えると大きな音に繋がることがわかり
振動寿司の「本質」の部分を使い直接当てます。
また、缶に振動がより伝わるようにヤスリをかけて薄くすると音圧が少し大きくなりました。
最後にセミの装飾を作ります。
生き物モチーフ楽器作りの先駆者『スーホの白い馬』では見開き1ページで出来てた馬頭琴。夢のお告げは無かった僕も悪戦苦闘しつつ作業を進めます。
完成しました！ご覧ください。
③楽器化検証とナンパ検証
演奏には振動の強弱が必要。
求愛には最大の音量が必要。
両立が難しいので演奏モードと求愛モードに変形するようにしました。
楽器化検証について
演奏モードは100円のおもちゃギターに電子部品の抵抗を強引に取付け音の強弱の調整をします。
寿司と缶がズレてすぐに音が狂う様はもはやチューニングが出来るとは言えないです。でも演奏頑張ります。
演奏お披露目
かえるのうた！何とか弾けてます！
楽器化検証はクリア
セミナンパ検証について
セミにちなんで7日間の検証。
対象の木に相棒を設置・起動。僕は離れたところで監視、メスが来たらナンパ成功です。
しかし、ここで問題が発生です。
メスの見分けがつきません。
雌雄は腹部で見分けられますが、毎回捕まえることは出来ないのでセミが飛んで来て1分鳴かなかったら成功とします。
よって鳴かないオスはメスです。
1日目 晴
公園の池の中にある島エリア
6時スタート
橋を渡り
セミの声が2匹だけ？思ったより少ないです。
すみません、親バカですがセミすぎて本当に嬉しかったです。自然光がかなり良い。
6時15分ごろ日の出
驚く様子は無くスタスタ避けられる。
場所も悪いので7時半で撤退します。
2日目 晴
気温の上がった6時半スタート
3〜5匹のセミの声が聞こえます。
検証は人の来ない場所を選び、特に早朝は遭遇率はかなり低いはず。
しかし、50代位の男性が木々をかき分けこっちに来ました。
隠してもヴァンヴァン鳴る音は止まりません。
軽く会釈する僕に、何か言いたげな男性は足を止めずに去っていきました。
1時間半で収穫なし。
3日目 雨
雨の日のセミについて考えた事がなかったです。
「雨でも実は鳴くのかも……」
「そうなら検証しなきゃ……」と思い調べると
・羽が濡れるとセミは飛べない。
・木の窪みや土の中に避難する。
・木の葉を傘にして潜んでいる。
セミも雨は嫌なんですね。
4日目 雨のち晴れ
佐賀県へ遠征に向かっているとポツポツと……
連日雨は焦る。
通り雨なので止むのを待ちます。
2時間後
川の近くに設置。本物の鳴き声より低く単調な音なので川の音に紛れさせる作戦。
1時間半後
来ません。やばいよー。
5日目 曇り
本日も佐賀県。
場所探しに手間取りました。向かいの山からセミの声が沢山聞こえます。
山に向けて鳴き多くのセミを誘います。
現在5日目
少し諦めかけてきた矢先
ん？
来た?
来た！？
キタキタキタキタキタ！！
そして、3分経過……
これは……
つまり？
ひとまず安心です。
後2日でどれだけ増やせるか？
6日目 快晴
前日より好条件のはずです。
次はもっと近くに来てほしい。
朝8時、準備万端！いけー！
3時間後
原因は暑すぎるからという説。
セミは35度以上だと活動しないそうです。
今日の気温は36度を超え昨日より鳴き声が少なく感じます。
雨ダメ、低気温ダメ、高気温ダメ、成虫の寿命短い、弱点が多すぎる。
7日目 最終日 晴れ 少し曇り
最終日は3つの作戦を準備しました。
『フェロモン香水作戦』
『友達多いんだよ作戦』
神のアドバイスで運頼み。
『もっと腕とかにシルバー巻くとかよ作戦』
いっけぇぇええ！！
ナンパ成功！！
しかも別の場所で成功しました。
3つの作戦は全然効果なかったです。
ナンパ検証終了
結果は2匹ナンパ成功！
しかし、この後メスが逃げることも多いため実際の子孫繁栄は検証よりも難しいみたいです。
ちなみに、メスは産卵と共に死んでしまうので自然界のオスはかなり余ります。複数のメスと交わるオスがいる一方で約37%のオスは交わらずに生涯を終えるとの研究結果もありました。あまりにも現実すぎる。
④最後に
試作や検証を進めるとセミの鳴き声の高さ(2000Hz〜9000Hz)に驚きました。音圧は勝りましたが耳に刺さるような高音は手作りでは全く再現できなかったです。
あの大きさであの発声は本当に凄いです。
今回オリジナル楽器でたくさんのメスに超モテるという目標でしたが7日で2匹だと少し厳しいようです。切り替えて僕はせっかく出来た相棒と残りの夏を楽しんできます。それでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？