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博士課程は別れの連続

博士課程の辛さといえばどういう印象だろうか?

研究の進捗が悪い自己嫌悪、25を超えて学生という身分の風当たり、生きる金の無さ、ライフステージを上げる学士卒の同級生との比較、閉鎖環境でのハラスメント、将来への不安、毎日大きな壁を見据えなければならない辛さ、、、

分野によって、その人の所属する研究室によって、世代によって、さまざまな悩みがあるだろう。
しかし、大学院3年目、修士号取得1年を経過した博士後期課程2年の私が思う博士課程の最も避けられない辛さは「別れ」であると思う。

以降は私の(*嘘を混ぜ込んだ)体験(n = 1)をもとに、私が思う博士課程の人間関係と別れの辛さをつらつらと書きたい。
ちなみに読んでいればわかると思うが、私は大変に人が好きである。

修士1年目

期待を胸に入学すると修士2年の賢い先輩が待っている。
実験手技や上司との付き合い方、おすすめの飲み屋や面白い研究の話を教えてもらう毎日が続く。
研究の合間や帰り道になんでもない話をするのが楽しくなってくる。
いつしか先輩はメンターとなり、研究を継続するためのモチベーションとなる。

1年目の冬。寒風吹き荒ぶ時期から先輩は髪の毛が振り乱れ、ニキビが増えてくる。話しかけても以前のような余裕は見られない。修論執筆である。
夏のようにまた一緒に帰りたいと思いつつ、忙しそうなので話しかけられない。
そうこうしているうちに先輩は修論を書き上げ、修論発表を終え、残りの実験を片付けて次のステージへの準備を始めている。
また話を聞いて欲しいと思うが束の間、いつのまにやら学位記を受け取り学生室の机はまっさらに。

「来年からも頑張ってね!」
その一言を最後に先輩は消えていく。

修士2年目

後輩が入学してくる。
先輩ロスが尾をひいている頃、かわいくて仕方がない。
この頃には別の研究室の同期や、学会で出会った同期との繋がりも増え、大学院生活にすっかり根を張っている自分に気が付く。

後輩指導が一通り終わると、ちょうど同期の就活や博士後期課程の入学試験も終わり、残り半年の研究生活を頑張ろうと杯を分かち合う。

指導教官に追い詰められながら結果をまとめる秋。研究のことしか頭にない。忙しさが心地よい。
同期と互いの進捗を探りあいながら研究室の愚痴を話す毎日が続く。

冬。さまざまな締切が追ってくる。
研究室に缶詰になりつつたまに話す同期と鼓舞し合い、論文、発表とイベントをこなし気がつくと学位記を受け取っている。
就職する同期と互いを祝いつつ別れを惜しむ。

博士1年

4月新たに研究室へ赴くとこれまで接してた同期がいなくなっている。
どうにも閑散として見える大学院でいつも通りの生活をする。

これまで指導してくれていた助教とテクニシャンが異動することを全体メールで知る。
ふと寂しさのあまりSNSを確認すると、同時に修士号を取得した同期が新生活を始めている。
学士で卒業した同期は結婚、出産を控え連絡が取りにくくなる。

秋に入り、修士で修了する後輩は研究をまとめ始める。
同時に先生方の異動に伴う壮行会の主催を任され研究を研究室の仕事に忙殺される。

冬。自分がさまざまなことを教えた可愛い後輩が研究をまとめ、修士号を取得し研究室を後にする。
一緒に博士後期課程に進んだ同期が研究を続けられなくなり退学することを知る。

後輩、先生、同期、さまざまな人を送り出す立場になる。
自分が祝福されて送り出してもらえるのか、こっそり去ることになるのか、どちらの未来も現実的になる。

そして別れは毎年続く…

おわりに

簡単に修士2年、博士1年を振り返って最も辛かった人との別れを物語形式に紹介した。
博士課程で何を辛いと思うかは人それぞれであり、上記に紹介した内容はあくまでも一例であるし、虚偽もたくさん入っている。

ただただ人が好きで、且つ研究者を目指している学部生にとっての博士課程での生活の参考になれば幸いである。

それでは、また。

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ぴぺどの読書記録
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