モンスターデータを比較していこう(2024/06/16 配信台本)
次回以降の配信で、モンスターデータ本のアートとか見て美麗だったりヘンテコだったりしたモンスターデータを呼んで楽しんでみよう配信を企てています。DUNGEON DENIZENの前に自分が気に入ってる3冊を使って配信を考えてます。YOUTUBEチャンネルの方で投票はじめましたので気になる人は投票してくれると助かります。
この記事はこちらの配信の時に参照する台本を兼ねています。配信後更新して解説記事にしています
正直な告白をします。この記事が面白かったと思ったり役立ったと思ったりした方は、「ハート」のマークをクリックしていただけると嬉しいです。承認欲求を満たしたい。
今週のTRPGニュース
2024 年版PHBの解説動画が 6/18 の日本時間PM11:00に公開されるよ
というわけで、2024年の5e関係では最大のトピック、2024年版プレイヤーズハンドブックの解説動画が、D&D公式から6/18に公開されるよ、とリリースがありましたね。楽しみ。
来週は4日連続で何らかの動画が投稿される予定で、18日にはウェポンマスタリーとキャラクターの起源についての言及が予定されているようです。
多分これは9月に発売されるまでの間定期的に投入されるモノと思います。そしてこの後もDMGやモンスターマニュアルについても毎週のように何らかの情報が小出しにされていくのでしょう。毎週ワクワクして待ちましょう。
なお、6/18にデジタル版・物理版共にプレオーダー開始と言うことなので、覚悟の決まってる人は予約しましょう。
6/18 の23:00から、同時視聴会なんかも企画されて居るみたいだから、期待してみてください。
ワールド・オブ・ダークネス(WoD)の日本語版再展開が発表されたよ。
Froggamesさんが翻訳の権利を取得し、現在英語圏における最新バージョンである5th Editionの日本語版を出版するというリリースがありました。
2000年代に日本でも展開されていて、このゲームで青春期を過ごした人も多いと聞きます。
現代の社会にバンパイア・ワーウルフ・魔法使いなどが生きておりそれらが様々な社会を構築し、組織や勢力と対立しながら今日も生きていく。ストーリーテラーシステムの名の通り戦闘よりはキャラクターの生きる世界のあり方を描いてく感じのゲームになる…と思う…自分遊んだことないんで…なので断片的にしか知らないんですが、でも独特の世界観は気になるので日本語版には期待したい。
今回の翻訳では、「Vampire: The Masquerade 5th Edition」「Hunter: The Reckoning 5th Edition」「Werewolf: The Apocalypse 5th Edition」の3冊。特にHunterは初日本語化ですから期待が高まります。2025年中に出てくれるといいなぁ…
一足早めにストーリーテラーシステム5版で遊んでみたい場合は、こちらのクイックスタートに目を通すといいかも。シナリオも付いているので遊ぶことも出来そう。楽しんでね。
Gamerant の「D&D5eベストサードパーティーの本ランキング」と言う記事
この記事、様々なアプローチの本がランクインしているので結構面白いですよ。25冊ランクインしているので自分も目を通したことない、タイトルも知らなかった本が沢山ありますね。
Valda’s Spire of Secrets(ヴァルダの秘密の尖塔)という魔法系プレイヤーオプションブックは気になりますね。読んでみたい。
Original Adventures Reincarnated
過去に出版されたタイトルは現在流通在庫のみで、Goodman Games酸で用意されているのはTHE DARK TOWERのみとのこと。
Grim Hollow
こちらは3冊用意されてますね。
Critical Role: Tal'Dorei Campaign Setting(絶版)
Adventures In Middle-Earth(絶版)
The Monsters Know What They’re Doing: Combat Tactics For Dungeon Masters
この辺が、まだ読んだことない本かな。タイトルはお見かけするが重量級なので手をつけるのが怖いStrongholds & FollowersとHeliana’s Guide To Monster Huntingの二つに関しては「お、お噂は予々…」って感じですね。前者は拠点と部下を雇い入れて国家運営するためのルール・データ集、後者はMONSTER HUNTERシリーズのようなセッション運営をするためのルール・データ集。どちらも人気はありますね。
このランキングの堂々第1位に、このnoteでも常々推している「Return of the Lazy Dungeon Master」も入ってて納得。
Gamerantはこれ以外にもTRPGがらみの記事で有用なモノが多いのでまめにチェックしておくといいよ。オススメ。
今週のテーマ:モンスターデータ集をアレコレ見ていく
そう、またやるんだ。モンスターデータをアレコレ見ていく企画。俺が楽しいから。過去に何度も配信でやった気はするけど、TRPGニュースのあと延々とやるのはこれがはじめてかもしれない。楽しみ。
5eのモンスターデータはそれこそ山のようにある。DriveTHRU RPGに行くとそれこそ毎日大なり小なり沢山出ている。筆者は DEAL OF DAYSに5eのモンスターデータ集が出てきたら(割引後の値段にもよるけど)なるべく買うことにしている程度にはモンスターデータに脳を焼かれたおっさんなので、それこそ一生使い切れない程度のモンスターを抱えてる自認はある。もしかしたら死ぬまで目を通さないモンスターデータがあるかもしれない。
とはいえだ、現行の 5e モンスターブック一冊とっても『これ全部使ってる人居るのかよ…』って数が掲載されているんだから気にしてはいけない(現在一冊に400以上は居たはず。なんせ野獣とNPCだけで100種近くある…)。
ヘルハウンドで比較していこう
ヘルハウンド。序盤には強敵として、中盤には厄介な雑魚として、終盤でも沢山出しておけば足止めとしてよしと実に利用しがいのあるモンスターだ。
このヘルハウンドもいろんなモンスターマニュアルでアレンジが加わっている。やっぱ使いやすいモンスターだからみんないじり甲斐を感じてるのかな。
D&Dのモンスターマニュアル
さて、D&D5eのヘルハウンドはこんな感じだ。
真っ黒なイヌだが、口の中には炎がチラチラ燃えており不穏な雰囲気を隠せない。レベル5の冒険者でもこいつ3~4体に囲まれたら結構面倒臭い戦闘となる。そのステータス・ブロックはこうだ。
脅威度3のモンスター、攻撃は1回限りだが近くに別のヘルハウンドが居たら攻撃ロールが有利となり、その上毎ラウンド1/3で再チャージするブレスも持っている。このブレスのダメージが6d6(平均21点)とまたデカい。[炎]ダメージ完全耐性も持っているので、ファイヤーボールの切り札も通用しない。冷気のダメージを与える呪文も持っておくべきだった…と後悔したときには遅い、君たちは地獄のイヌにやられてしまうのだ。恐怖せよ。
…が、この恐ろしいモンスターも若干の"ズレ"がある。
下の表はダンジョンマスターズガイドにある『モンスターを自作する際の脅威度別早見表』なのだが、この表においては脅威度3のモンスターのHPは101~115、ラウンドごとのダメージは21~26と示されている。実際のヘルハウンドのモンスターデータはHPが45、ラウンドごとのダメージは最大でも36点、平均だと14点~21点だ。
ヘルハウンドの場合 AC が15に増強され炎への耐性もつけている。その分ヒットポイントを下げ、ブレスで大ダメージが出ることがある分通常攻撃を下げてバランスを取っている。
このバランスの取り方は、DMG 227ページに載っている「抵抗と完全耐性に基づく実質的ヒットポイント表」から算出されている。例えば炎への完全耐性を持っている場合、「実質HP2倍」と捉えると示されている。つまり、スタットブロックのHPは半分となるわけだ。
とはいえだ、10年もこういうヘルハウンドを見ているうちに「もっと強く出来るのでは」「この基本データには歯ごたえを感じない」「攻撃以外の能力もつけてみたらいいのでは」などと考える人が出てきましてね…そんなわけで、様々なモンスターブックで補正や修正、リビルドが図られているわけです。
定評あるモンスターマニュアルの代替本 Monstrous Menagerie
5eも発表から10年経ち、モンスターマニュアルの内容も色々研究され、サードパーティーからいろんなモンスターのオプションやバリエーションが発表された。
その結果いろんな人たちが「もっと5eのベーシックなモンスター達を面白く出来るのでは無いか」と考えた。
例えば、このnoteでもよく紹介している Level Up: Monstrous Menagerieは、モンスターマニュアルに載っている基本的モンスターをリビルドし、より手強く、バリエーション豊かに仕上げている。
この本のヘルハウンドと比較してみよう。
ついでにこの本におけるモンスターデータの作成方なんかも深掘りしていくぞ。
元のHellhoundと比較してHPは52とちょっとだけ上がっている。連携戦闘の能力(Pack Tacktics)はそのままに、噛みつきのダメージは平均15、最大25へ引き上げられている。また、DEXのボーナスが増えているのでイニシアチブがちょっと強化されている。手強さが少し増している。
Monstrous Menagerieの早見表は上記のようになっている。脅威度3の場合ACは14、HPは60、攻撃ボーナスは+3、攻撃回数2回、1ラウンドあたりのダメージ20となっている。
Monstrous Menagerie の場合、HPを操作する際は
・10%程度の上下はモンスターごとの個性となるため他の数値をいじる必要は無い
・そこから更にHpを上下させる場合、5%ごとにACを1上げるか下げるかすること
とあるため、早見表の 60 から10%減らし54、更に5%弱の2減らして52となる代わりにACは15へと引き上がる。他にも[炎]耐性などを付加して今のスタッツへ纏まったということなのだろう。
Kobold Press 製作のD&D互換システムTales of The Valiant のモンスター本Monster Vault
さて、最近になって「モンスターマニュアル」に第3の選択肢が生まれた。D&Dの関連書籍を数多く生み出してきたサードパーティー出版社の雄「Kobold Press」だ。彼らはD&D関連雑誌の編集部門から始まり、パスファインダー、D&D4th、D&D5thの様々な関連資料を生み出し、その長い経験から大人気の追加モンスター集「Tome of Beast シリーズ」を生み出した。この本は歯ごたえのある知らないモンスターを大量に追加出来る良本だ。今ならD&D Beyondでも2023年版Tome of Beastが購入出来る。
その定評あるKobold Pressが「話すと長いが色々あった結果」5th Edition SRDをベースに新しいタイトル Tales of the Valiantを発表した。
このゲームだが、「細かいマイナーアップデートは含まれているが、代替あなたの知っているD&D第5版のフィーリングのまま遊べるゲーム」に仕上がっている。ほとんど使われている用語も変わらず、いくつかの新クラス・新メカニズムを加えては居るがD&D5thとあまり変わるところはない。
だが、20年近いD&D関連書籍執筆を経て積み上がったの功夫がこのゲームには詰め込まれており、様々なアイディアや修正が施されている。
このゲームはPHBに対応したPlayer's GuideとMMに対応したMonster Vaultの2冊、そしていくつかのアドベンチャーが発表されているため、いますぐ遊ぶことも出来る至れり尽くせり仕様だ。今回はここから「Monster Vault」のヘルハウンドを見ていこう。
まずはヘルハウンドのスタットブロックはこんな感じだ。
Monster Vaultのスタッツブロックは、通常の 5e と比較してより効率よく運用出するための工夫が凝らされている。まず、能力値欄には修正値しかなく、習熟ボーナスについての記載も無い。これは、能力値判定・セーヴィングスロー・技能判定全てにおいて同じ数値を使うということだ。モンスターが厳密に技能を使うことは少なく、習熟ボーナスと能力値を足すという作業も二度手間でしかない、戦闘で使用する値はわかりやすい方が良い、という割り切りの賜物である(なお、Pathfinder Remasterはプレイヤーキャラクターの能力値も遂に修正値だけになってしまった。D&Dも次の版ではそうなるかもね。2024年版じゃなくてその次の版替えがあったら…)
まず、Monster Vaultの方は前述の2冊よりも更に後に発行されているため、それだけモンスターデータに対する知見も積み上がっている。そのため、手強いヘルハウンドはこうするんだ!と言う意気込みからか、更に強力になっている。
まず、2回攻撃が可能である。噛みつきのダメージは平均7+7=14点、最大11+12=23だが、それが2回来るので最悪46点のダメージである。5レベルのPCでもクラスによっては1ラウンドで無力化があり得る。
次にブレスの回避DCが12から13に引き上がっている。それだけダメージ半減が難しくなると言う事だ。
そして、HPも76点と他の2冊に比べたら20点以上の増加だ。これは5レベルでもヘルハウンド1体に対して3人は欲しいところだ。ヘルハウンド2体居たら更に怖いかもしれない。緊張感がある戦闘が期待出来るだろう。
なお、この本にはモンスターデータのカスタマイズに関する項目がない。その理由は9月に発行予定の3冊目、GAME MASTER'S GUIDEに掲載される予定だからだ。
すでにKickstarterは終えているが、以下のサイトで予約が可能だ。興味があったら入手してみてくれ。入手したら改めて比較してみたい。
Mosnter Vaultは概ね1ページに1モンスターが載っていてほぼ全てにちゃんとアートが用意されているので嬉しい仕様なんですよね。その上これをD&Dにそのまま出してもまぁ概ね問題なく使えそうというところも。トリッキーな能力もあり、単純に強化された攻撃もあり。だいぶ楽しいことになりそうです。ここの本のモンスターをキャンペーンでぶつけていくのも楽しみ。
Flee,Mortals!のヘルハウンド
そして、ゴージャスなアートと一癖も二癖もあるスタンダードモンスターのアレンジ・バリエーションでお馴染みの、みんな大好きMCDMのFlee,Mortals!からヘルハウンドの登場だ!
Flee,Mortals!のヘルハウンドには様々なアレンジが施され強さもモリモリになっている。脅威度は3のままHPも15に上がり、そのうえ「Hardened by Flame(炎に包まれた身体)」という特殊能力で18にまでACを引き上げられる!そして、今ひとつ使いどころが薄かった鋭敏聴覚&嗅覚は「Stealthy Hunter(隠密の狩人)」という能力に変わり、自分の隠密実行と他者の隠密探索に有利が付くという怖いモンスターにグレードアップした。
アクションも「Hellish Bite(地獄の噛みつき)」と「Hellfire Breath
(ヘルファイア・ブレス)」と名前がわかり、ブレスに関してはセーヴに失敗すると1分間燃え続け自分のターン開始時に2d6ダメージ、アクションを使って消火するか1分間経過するまで続くという恐ろしいものに。
そして「Tug of War」というリアクションも追加だ。「何らかの攻撃が命中したら、Hellish Bite攻撃をカウンターで試み、それが命中した場合グラップル状態となって誘発させた武器攻撃をグラップルが外れるまで封じる」というリアクションで、一度噛みついたら離れない、まさに地獄の猟犬じみた存在に近づいた。こうまでアレンジされると怖いなヘルハウンド(Flee,Mortals!のすがた)…
あと、集団でわらわらと襲ってくるHELLHOUND CUR(Minion)ってのもいて、こいつは集団で火を噴いてくる地獄の子犬たちだ。舐めてかかると確実に死ぬ。高レベル帯のパーティーに15体くらいぶつけてやれば楽しいことになりそうだ…
Flee,Mortals!のモンスターは代替めちゃくちゃ歯ごたえがあり、攻撃のバリエーションも多いのですが、DMの負担がやや大きくなってしまう。そこはちょっと厄介ですね。痛し痒し。いや、アートもデータも運用指針も楽しいモンスターブックなんですよ実際。
ロスタイム(Twitchの配信を切ったがYoutubeの配信を継続した)
それとはべつに、まぁ最近新しいモンスターブックを買ったんですよね。ええ、勢いでまた。
これはいろんな西洋のモンスターを「原典に近い形で」再解釈したモンスターブックですね。原典というのは西洋のフェアリーテイル、民族伝承、アーサー王伝説や神話など。
例えばホブゴブリンは元々イタズラ好きの妖精パック、あるいはロビン・グッドフェローと呼ばれる存在で、悪のムキムキ小鬼ではない…という伝承が残っているので、そのように再解釈されたデータが載っています。
攻撃能力はダメージ1のモノばかり。ただ弓矢には昏倒する毒が付いてる(妖精に出逢ったときに気を失ってどこかに連れ去られたりするヤツとか表現出来そう)。あと透明化の能力なんかも付いてますね。
次回以降の企画提案
みんなで初見のモンスターブックを覗いて、変なモンスター・イカすモンスター・イカれたモンスターを見ていこう 企画です。
これ、一人でやるよりは複数の人とのコラボ動画(本は自分が用意するので、一緒にワイワイ話ながら、あとざーっと見ていった中で「これ気になる!!」ってモンスターがいたら止めてくれる係)のほうが楽しいと思うので、コラボ企画に載ってくれる酔狂な人がいたら募集したい…居るかな…割と先走りが酷い駆け出しYoutuberの思いつきに乗ってくれる人…
なお、初見企画で使おうと思っているのは、7~8月頃にPDFが出るこの本です。Goodman Games のDUNGEON DENIZEN(DUNGEONの住人達!)
Kickstarterのページを見ても、だいぶキモかっこよくて、色使いもくどさがあって、センスも独特。DCCを出版しているGoodman Gamesなので、GONZO(ヘンテコ)な世界観はお任せあれって感じ。
なので、ここに出てくる変なモンスターを使った企画配信セッションなんか出来たら更に良いんだろうな…やってみたい。
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