マガジンのカバー画像

数の拡張

5
具体から抽象へ。数の表現範囲を広げる。
運営しているクリエイター

記事一覧

数の拡張(5)「分数」

数の拡張(5)「分数」

正負の数は、相反する性質をもつ二種類の量を表すのに用いられる数である。

正負の数の具体例として、差異、変化、相対値などが挙げられる。

ものの個数を表すだけなら、上の三つくらいしか考えられないが、量を表す場合には、もっと多くの例が存在する。

例えば、電気は、互いに打ち消し合う二種類の量をもつから、正負の数で表せて、それぞれを正の電気、負の電気という。

他にも、物体の移動は、互いに打ち消し合う

もっとみる
数の拡張(4)「正負の数」

数の拡張(4)「正負の数」

はじめに数についてこれまで三本ほど記事を書いてきたが、話を先に進めるために、書く内容を考え、整理していると、どうしてもそれ以前に書いた内容が不十分なように思えて手直ししたくなってくる。

しかし、そうするといくら時間があっても足りないし、いつまで経っても完成しないので、未熟な内容でもとりあえず形を整えて公開している。

完璧でなくてもいい。

まったく間違いのない未完成よりも、間違いがあっても完成

もっとみる
数の拡張(3)「量」

数の拡張(3)「量」

計算とは、操作前の数を用いて操作後の数を求めることである。操作前後の数の対応関係は、操作の種類によって決まる。

ところで、数を求める主な目的は、どちらが多いか比較して調べることであった。集まりの規模を直接に比較するよりも、数を比較する方が簡単な場合があるからだ。つまり、比較するのに数を利用すると便利なときがある。

しかし現状の定義では、数の表現範囲は具体物の集まりに限定されているから、具体物の

もっとみる
数の拡張(2)「計算」

数の拡張(2)「計算」

数とは、集まりに含まれるものの多さに対して付けられた名前である。つまり、ものの多さを表すための言葉である。

この定義だと、数の表現範囲は、ものの集まり、特に、具体物の集まりに限定される。言い換えると、数で表せるものは、具体物の集まりの規模だけである。

今はとりあえずこの定義の範囲で十分である。このまま話を進めよう。

足し算具体物の集まりに操作を加えれば、当然それに応じて数も変化する。

例え

もっとみる
数の拡張(1)「数の定義」

数の拡張(1)「数の定義」

数の拡張について語る。数という概念の基礎から、数の表現範囲が広がり、拡張し、発展していく様子を見ていく。今回書くのはあくまでも数学上の論理や応用に基づくものであり、歴史に基づくものではない。

数とはそもそも「数」とは何か。

数は、抽象的な概念である。

ここで、具体と抽象について簡単に説明しておこう。

具体と抽象

具体とは、実際に見たり聞いたり触ったりすることができるということ、つまり、直

もっとみる