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ソウルフルネス/ジェイソン・ハリス

「この本は“デールカーネギー/人を動かす”の現代版だ」

◾️Start 誰を信頼すればいいのか分からない

相手を説得する秘訣とは何だろう?
人々から信頼され、共感され、時には相手の心を動かせる人間になることだ

別の言い方をすれば、言葉や行動に「心を籠める」ことが大切
つまり、相手を説得できるかどうかは、表面的な言葉づかいや立ち位置とはほとんど関係なく、あなたの人間性にかかっている

これから紹介するのはあなたがまわりから信頼され、アドバイスを求められ、協力したいと思われる存在になるために、自分自身の習慣を変える方法なのだ
もっと簡単に言えば、より説得力のある人格を作り上げるための方法を示す

▼説得上手になるための4つの原則

ひとつめ「自分らしくあること(独自性)
徳を身につけているひとは自分自身が何者であるかを理解し、常に自分自身を見失わず、他社との長期的な関わりを構築しようとする

ふたつめ「自分から与えること(寛容さ)
見返りを求めず、自分から何かを与える習慣が身についている

みっつめ「親身になること(共感力)
周囲の会話に耳を傾け、会話に自然に参加しようとする
説得上手なひとは他社との連携や共同作業に精通しており、一人ひとりの能力や地位の違いではなく、あらゆる人に共通する人間性を重視する

よっつめ「心が篭っていること(ソウルフルネス)
心から湧き出る力のことをソウルフルネス(Soulfulness)と表現する
自らに課した倫理的、個人的基準に従い、常により上を目指して努力する

あなたの性格に魅了された人は、自らの良心によって動機づけられるようになる

PRINCIPLE1 自分らしくあること(独自性)

CHAPTER1 ありのままの自分を出す

説得力は事実や主張ではなく、個人の性格(人格)の上に成り立っている
あなたが話している内容ではなく、話し手の人柄によるものだ

説得力のある人格を形成するための第一歩は、恥ずかしがらずに自分らしさを出す方法を習得する

聞き手の心を動かしたいなら、自分をフィルター越しに見せるのをやめ、素の自分を垣間見せるとうまくいく
第一に、好き嫌いや並外れた好奇心
第二に、自分の異質さ
相手の記憶に残り、面識がある人して認知されるようになる

自分の異質さを隠し立てしない人は、周りから信頼され、尊敬され、歓迎される

現実に自分が話していることに耳を傾けること
あらゆるやり取りに対して、より注意を払うことから始めよう

自分の会話や行動を分析し、もっと自分らしさを出せる部分はなかったかを調べよう

学んだことを実践し習慣化するために、自分の強み、弱みを日誌に記しておく
それらのなかから、おそらく自分らしさを最大限引き出せる話題が見つかる

気づき:最初に、普段のスピーチに無力な語句が使われていないか注意して聴く
分析:次に、1分間使って、いつの間にか無力なスピーチに陥ってしまった箇所を特定し、どうすればもっと自分らしさを前面に表現できたかを考える
適応:最後に、スピーチのなかでよく使っていた無力な語句をメモし、それらを使わなくて済むように努力する

端的な言葉を使うように努力すると、自分の考え方にも良い影響を及ぼす
以前のように周りくどい言い回しに頼ることなく、自分の考えを明瞭な表現で、かつ自信をもってまとめられるようになる

CHAPTER2 ストーリーテリングの力

ストーリーテリングとは、ストーリーを通じて聞き手に新しい視点を提示する手法

消費者と繋がるためには、感情面を重視し、現実に即し、親身な姿勢で消費者と関わる必要がある
その点、ストーリーテリングは消費者の心を動かし、ブランドと消費者の繋がりを築くことで、有意義な絆を生み出す

私たちがストーリーを語るのは、自分たちの価値観を伝え、周りの人にも同じ価値観を取り入れるよう説得するため

ストーリーを使ってアイデアを伝達しようとするなら、そのメッセージは何かをあらかじめ知っておく必要がある
偉大なストーリーテラーは、物語を通じて人間に欠かせない真実を伝えることだ

ストーリーはオーソドックスな構造に
目標:登場人物は誰か、彼らは何を求めているのか
ストーリーは一人または複数の人物が登場するところから始まる、これらの登場人物は、何かをひどく欲しがっている、あるいは必要としている
障害:何が問題なのか
主人公は目標を達成するために乗り越えなければならない障害にぶつかる
あなたが具体的な問題に言及するまでに、聞き手は何が危機にさらさらているのか、その危機を回避するには何が必要なのかを既に察知している
そして結末はどうなるのか多少はハラハラしているはずだ
解決:結果はどうなったか
主人公が障害を克服し、目標を達成するかどうかに関わらず、ストーリーの結末は聞き手の感情が一気に解放される部分であり、最も記憶に残る部分でもある
だからこそ、話し手はストーリーの結末で伝えたいメッセージを明かそうとする
目標の達成如何に関わらず、どのように成功あるいは失敗したかという部分がメッセージになる

テクニックその1
優れたストーリーを収集する
正しい構造に沿って組み立てられていることが重要で、ポイントが明確に抑えられているかどうか
そして何度でもワクワクしながら友達に話して聴かせたくなる特別なストーリー

テクニックその2
ストーリーを編集する
ストーリーが見つかり、伝えたいメッセージが決まったら、詳細に書き出す
その状態からさらに手を加えて、聴衆の心を打つものにする必要がある
・聴衆に適切な情報をもれなく伝えているだろうか?
・明確なストーリーを書き出しているだろうか?-目的は聴衆を感情移入させること
・削れるものはないか?

テクニックその3
リハーサル
一文字ずつ丁寧に読み上げる
ボイスレコーダーで録音、確認する

テクニックその4
最高のスピーチから学ぶ
場面の切り替え方
お決まりの台詞で開始する
身振り手振りで表現する
セリフのリズムや強弱をつける

テクニックその5
よく知っているストーリーの威力を見過ごさない
初めて耳にするストーリーより、すでに聞いたことがあるストーリーを披露する方が聞き手にインパクトを与えることがある

CHAPTER3 契約を取る手段にしない

説得によって他者を味方につけるには、目先の取引よりも、幅広く長期的な人間関係を築くことが大切である

ブランドとは、企業のアイデンティティを体裁良く整えたものであり、その戦略的目標はただ一つ、利益をあげることである
要はあくまでもビジネス上の概念なのだ
ブランドより人間らしく、親しみやすいものにするのが我々の仕事であり、ストーリーテリングを重視しているのはそのためだ

ビジネスとは自分が欲しいものを手にすることだ、それに対して長期的な取引とは人間関係を構築することである
長期的な取引は人々をあなたの物の見方に引き寄せ、相手を人間らしい行動に巻き込む

大事な時に「NO」と言える姿勢は、考えなくても自然に出てくるようにすべきだ
少なくとも長期的な関係を構築するつもりなら、なおさらだ
しかるべき時に「NO」と言えば、ふさわしい職業や仕事、そして機会を手にすることができる

PRINCIPLE2 自分から与えること(寛容さ)

CHAPTER4 与えることの重要性

よく言われることだから、人から何かを得たいなら、まず自分から与えるようにするとうまくいく、いわゆるギブアンドテイクの法則

あなたが説得上手になりたいなら、ギブアンドテイクの機会を求めてはならない
自分から自然に与えられる人になろう

このような姿勢を一言で言い表すなら「寛容さ」だ
寛容な人は、すくまに相手の承認を引き出そうと頭で考えたり、見返りを求めたりせず、習慣的に何かを与えようとする
どうしたらその人の役に立てるかが自然に見極められる

今日親切にしてあげた相手が、将来自分のお願いを聞いてくれる確証はない
見返りが期待できると思う相手だけに便宜を図るような人は、長い目で見れば、常に寛容な姿勢で人に接する人と比べると割りに合わないのは明らかだ

CHAPTER5 前向きさのパワー

説得には大きく分けてネガティブなものと、ポジティブなものがある
恐怖心や憎悪、不快感や懸念を呼び起こすことで相手の関心を引き寄せようというのがネガティブな説得だ

他社の心を動かしたいと思うなら、ネガティブな言葉ではなく、常にポジティブな言葉を使って、健全な説得を心がけよう

説得という観点で言えば、ポジティブなメッセージは聞き手を巻き込むときにより優れた効果を発揮する

では、どうすればポジティブな性格になれるのか、実はどんなに厳しい状況にあっても、前向きな思考を失わず、ポジティブな感情を表に出せるようにする習慣がいくつかある

感謝の心を習慣にする
感謝の気持ちを定期的にノートに綴る
「素晴らしい人になりたいなら、感謝できる人になろう」
毎週日曜日の夜、私は個人的に感謝していることを3つ、ノートに書き出している

批判は建設的に
批判をポジティブな方向に誘導できるなら、その批判は価値がある
アイデアに焦点を置くかわりに、自分に焦点を置いて質問を再構成してみよう
とりわけ大切なのは、どんな批判も、相手にプラスとなるようにすること
そして、あなたの意見が、その人の目標の実現にいかに結びつくかを明確にする

つまらないものをワクワクふるものに変える
本の少し前向きさを注入することで、つまらない場を活性化させる機会だと考えている
オープンマインドで会議に臨み、活気を持ち込むようにするのだ

間違いがあれば謙虚に正す
オープンマインドを維持するひとつのコツは、どんな場面でも自分が間違う可能性があると認識することだ
自分より優れたアイデアを持つ人が現れたら、自分の考えを変えるつもりでやりとりに臨む

気分を高揚させる
不安を高揚感にリフレーミングする
物事の認知の仕方を変えることで、受け止め方や反応が変わる
事態がどれだけ大きなストレスになっているかを強調する代わりに、ワクワクする機会だと捉える

CHAPTER6 敬意の心

相手に対する敬意は、人間同士が協力するという普遍的な行動原理を支える要因でもある、これはまさに人の心を掴む黄金律である
自分がしてもらいたいことは、相手にもしてあげる必要がある

確実に約束するのが少しでもためらわれるときは、事の大小に関わらず、相手から時間をもらってじっくり検討しよう

PRINCIPLE3 親身になること(共感力)

CHAPTER7 共感力をつける

共感を通じて人々の見方を広げ、物事の角度から見られるようにしたのだ

相手に対して純粋な好奇心を持ち、その好奇心によって会話を弾ませるようにする、この習慣が身につけば、その人の、それまで見えなかった姿が見えてくる

話をじっくり聞く時に最も妨げとなるのが先入観だ
人は自分の見方の正しさの裏づけとなる情報を強調したがるものだ、心理学者はこれを「確証バイアス」と呼ぶ

聞き上手になるには、何よりもまず、自分の先入観から抜け出し、いったん持論を保留にしなければならない

対話の相手が自分の立場を明らかにしたら、思い切って、あなたが直感的に理解できそうな言葉で相手の見解を言い換えてみよう
「なるほど、あなたがおっしゃてるのは…ですね?」
「あなたのお考えをこちらが正しく理解できているか確認させてください」
このときに相手の見解をねじ曲げる事のないよう、きちんと聞くように努めなければならない、哲学用語で「思いやりの原理」と呼ばれる

CHAPTER8 他者を巻き込む

そもそも協力は、周りの人々に自分の意見を納得させるための手法ではない、自分で自分を納得させる、すなわち心理学用語で「自己説得」と呼ぶ一種の自己暗示に導く方法である

変化のモチベーションが個人の内面から生じているのを自覚する、ことである
私たちは、実にいろいろな場面でまず行動し、後からその行動に合わせて自分の考えや振る舞いを変えることがよくある

小さな頼み事をする
自分から親切にして気に入られようとするのではなく、反対に自分から頼み事をして、向こうから親切にしてもらえるやうにした

あなた自身が頼み事を聞いてあげるより、相手に頼み事をする方が、またいつでも親切にしてもらいやすい
この原則は「ベンジャミン・フランクリン効果」と呼ばれている

CHAPTER9 共通性を重視する

私たちはこの国に暮らす人々の違いにばかり着目する、国民的な議論では、まるで誰もがまったく異なるグループに属しているかのようだ

こうして自分たちを分類ふることで、本質的な部分を見えにくくしている
その本質的な部分とは、私たち人間は驚くほどよく似ていて、違いは想像以上に小さいということだ

ある人にとって、初対面の人と接するときは、つい自分との差異に目が行きがちだ、だが理想はむしろ逆で、初対面の人には自分との共通点を見出す癖をつけるべきだ

共通性に基づく見方を採用するには、他者は自分と大して変わらないという視点を選択することから始まる

PRINCIPLE4 心が篭っていること(ソウルフルネス)

CHAPTER10 スキルハンティングの取り組み

説得力を得るには、特定の分野で頂点を極めた世界的権威である必要はない
必要なのは、自分で取り組むことに決めたタスクやプロジェクトに対する真剣さ、堅実さ、そしてスキルをベースとする取り組みである

言い換えれば、できるだけ早く、コストをかけずに、効率的に仕事をこなすというよりも、物事を筋道立てて手際良く取り組むための姿勢が求められる
このようなアプローチを「スキルハンティング」と呼んでいる

スタートアップを軌道に乗せる唯一の秘訣は、できるだけ多くの時間と労力を投入し、困難を乗り切ることだと教える人も多い、効率化とは対照的だ、これはマルコム・グラットウェルの「1万時間の法則」にも通ずる概念である

実はライフハックと1万時間の法則、どちらにも当てはまる事実がある
何をするにしても長時間の練習がなければ達人にはなれない

スキルハンティングは、ライフハックと長時間労働という、両極端な考え方の中間に位置する
そのために、物事をそつなく、熟達した方法でこなせるように、バランス良く機能するアプローチを開発する必要がある
そのための最初の一歩はスキルベースのマインドセットを取り入れることだ

タスクベースのマインドセット
プロセスとは関係なく、やるべきタスクをこなすことに重点を置く
スキルベースのマインドセット
完成度と同様に、プロセスも重視する

スキルハンティングの思考を取り入れると、あらゆる種類のプロジェクトに対する取り組みが変わる
結果だけに注意を向けるのをやめ、プロジェクトをうまくこなすために必要なスキルという観点から仕事を捉えるようになる

要するに、スキルベースのマインドセットとは、最終的な結果と同じくらいやり方を重視するということだ
「何を」だけでなく「どのように」を重視する

スキル習得に不可欠なのは、心理学者アンダース・エリクソンが名付けた「限界的練習」を身につけることだろう
これは「居心地のよい領域(コンフォートゾーン)」から飛び出すための集中的、体系的な練習を指す

CHAPTER11 インスピレーションを与える

日常的に人にインスピレーションを与えるように努力するのは、説得上手になるためにももっとも効果的な戦略の一つである
あなたが、寛容さ、敬意、ストーリーテリングのスキルを磨く努力をすれば、多くの人々に確実にインスピレーションを与える性格が身についているだろう

バイスタンダー効果(傍観者)
犯行の目撃者が多いほど、誰かが自分から行動を起こす可能性は低くなる
バイスタンダー効果を引き起こす原因として、「責任の分散」があると結論付けた

誰か一人が立ち上がって行動すると、集団内の他の人々も傍観者ではいられなくなる、必要なのは一人の人物が、責任の分散の呪いを解き、周りの人間にも自分の手をかさざる得ない気持ちに仕向けることだ


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