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カップヌードルをぶっつぶせ!安藤宏基氏

カップヌードルをぶっつぶせ!

◾️店長磯野の読書感想
かなり乱暴なタイトルだが著者は日清食品の創業者で、世界初のインスタントラーメンの海の祖「安藤百福さん」の次男で2代目社長(諸説あり)の安藤宏基さんです。

日清カップヌードルといえば超ロングセラーで食べたことない人はいないんじゃないかと思えるほどの定番です。

しかし創業者の創ったブランドにあぐらをかき、新しいチャレンジが生まれない体制に危機感を持った二代目が発進したのが「カップヌードルをぶっつぶせ!」でした
なぜぶっつぶさなければならないのか?
ぜひ要約と本書をお読みください

◾️創業者は普通の人ではない

創業者と呼ばれる人たちにはある共通点がある
松下幸之助氏、稲盛和夫氏、本田宗一郎氏、いずれも苦労の末に、自分一人の頭から絞り出した「独創」を一粒の種にして事業を起こした人たちである
原点はやはり「物づくり」である共通するのは「人のやらないことをやる」という創意工夫の精神と、それにかける恐ろしいほどの執念ではないだろうか

私に言わせれば、創業者とは普通の人ではない
異能の人である
したがって創業者と二代目の確執とは、異能と凡能とのせめぎあいと言っても良い

安藤百福氏は昔から、眠っているときに思いついたアイデアを書き留める習慣があった
いつも枕元に赤鉛筆とメモ用紙が置いてあった

物事は漠然と考えていてはだめだ
一心不乱に考え続けているからこそ、睡眠中にふっとアイデアが浮かび上がってくる

◾️創業者とうまく付き合う方法

「事業はすべて進むより引く方が難しい。撤退時期を逃したら、あとは泥沼でもがくしかない」

「騎虎降りがたし/中国隋書」
いったん虎に乗って走り出すと、途中で降りたら喰われてしまうので、背中にしがみ付いて走り続けるしかない
しかし、安藤百福さんは『虎の背からも勇気を持って飛び降りろ』と戒めている

「作り上手の守りベタ」
一つの仕事が終わると、もう次のアイデアを探している。次から次へと、新しい事業を始めるが、せっかく起こした事業に執着がないものだから、他人に任せて尻切れとんぼに終わったり、後から参入した会社に市場を奪われたりすることになる
事業を継続して育てていくのが下手なのである

社長に就任し、与えられた仕事は何だろうと考えた
1.創業者精神の継承
2.長期安定成長のための基礎づくり

何か重要な経営判断をするときにいつも、“創業者ならこの場合はどう考えるだろうか”と一歩ひいて考える習慣が身についた
自分の考え以外に「他者の目」を持つことは経営者にとって大事なことだ

◯4つの教訓

・教訓その一:会社の無形資産の中で最大価値は「創業者精神であると思え
創業者は会社を創業し、世の中に貢献したという事実によって永遠に尊敬される人なのである

・教訓その二:二代目の功績は創業者の偉業の中に含まれると思え
いくら二代目が優秀であっても、すべては創業者の作り上げた事業構造の“恩恵と加護”の中にいることを忘れてはならない

・教訓その三:二代目は守成の経営に徹するべし
守りを固めるだけではなく、創業者が作った経営の基礎をしっかりと踏み固めながら、さらに成長を続けることなのである

・教訓その四:創業者の話に異論を挟むな、まずごもっともと言え
創業者の意見にいきなりNOと言ってはいけない、創業者と議論するときは、たとえ間違っていても「ごもっとも」と頭を下げる、少し心を開いたところで「しかしながら」と続けるのがいい。これが創業者に対する礼儀というものである

◾️ブランドマネージャーの仁義なき戦い

社内に蔓延していた“ぬるま湯体質”から、いかに脱皮するか。またトップダウンに慣れた組織を、風通しの良いボトムアップの社風に変えるにはどうしたら良いか
ブランドマネージャー制度
マネージャー間に競争構造を導入して、新製品の開発に弾みをつけること

カテゴリー別管理から、ブランド別の管理体制に変え、ブランドごとの管理人としてブランドマネージャー(BM)を置くことにした

マーケティングとは「売れる仕組みを作ること」である
その仕組みの中で一番大事なのが新製品を開発して、ブランディングすること
ブランディングの究極目標はトップブランドになること。トップブランドは消費者と信頼という固い絆で結ばれている

①顧客に満足していただくことがメーカーの指名である。顧客にとって価値のある商品だけが本物なのである

②企業のグランドデザインは本来トップが描いて社員に指し示すものである
しかし日清食品では、社員一人ひとりが“将来こういう会社にしたい”という夢を描き、そのためには自分は何をしたらいいかを考えてほしい、と言っている

③商品がメーカーの手を離れて、卸売、小売店、消費者へと移っていくにつれ「商品の所有者」も移動する
しかしブランドのオーナーは常に我々自身であるという認識を持とう

ファーストエントリーするものは、すべて自分の構想で絵を描ける。二番手、三番手に参入するフォロワーは最大でも追いつくまでが限度で、追い越すまでには至らない

⑤市場規模の大小どんなジャンルでもいいからその中でNO1のブランドになる

⑥他人の口を借りてものを言わない。自分が現場体験の中から肌身で感じたこと、考えたことを自分の言葉で話す

⑦逃げていては問題は解決しない。仕事がうまくいかなくなると、誰でも責任回避の気持ちが働いて、つい逃げ腰になる。
迷ったらとりあえず進む。間違いと気づいたらすぐ戻る

⑧技術革新や創造開発は、それまで不可能とされてきた困難な仕事に取り組み、その壁を打ち破ることによって達成される
思考は情報の磁場であって、考え続けると、自然に必要な情報が集まってくる

⑨組織はできた途端に陳腐化していく。組織は保身に動き始める。これな仕事の流れを悪くして、必ず経営を歪めてゆく

⑩部下の提出した企画書や決裁書の判断ができない上司に、部下は上司を飛び越えて直接社長に判断を仰いでよろしい

BM制度で肝心なのは有能な人材を集めることで、立候補制度をとり、面接を行った
ポイントは3つ
①現状に不満を持っている
②何かに興味を持って追求している
③考える習慣が身に付いている

チームはBMを含めて3人として、うち1人は変人にしようと決めた
変人とはある特定なことに異常に関心が高く、その専門領域では誰にも負けない知識を持っているような人

◯マトリックスマネジメント
BMは自分の担当しているブランドと、開発した新製え売れればいいと考えている
支店長は別にどのブランドが売れても売れなくても構わない。自分の担当しているエリアでいかに最大売り上げと最大利益を稼ぎ出すかをいつも考えている

縦軸にBM、横軸に支店長という二つのプロフィットセンターを置いて、その最適値である接点を求める

会社の損益を管理するコントロールタワーは一つでない方がいい

◾️ブランディングコーポレーションへの道

価格について、消費者と企業の間には、かなり認識のギャップがあるのではないか
消費者の論理とは「いいものなら買いたい、同じものなら安く買いたい」
だが安売り価格が続くと「安くなるのが当たり前」に変わってくる

時代は変化している。所得格差が広がり、価値観の二極化が起こっている。大衆製品と言えども、不特定多数が求めるものを満たすことはもう出来ない。
われわれがこういう人に買って欲しいという顧客を選んで売るべきだという考え方に転換した



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