私の転校体験談
転校したことはありますか?私の人格形成において、転校したことはとても影響したと思っています。そんな私の転校の経験を書いていこうと思います。
転校の歴史
私は、小学生時代に父の仕事の都合で3回転校しました。当時はそれが当たり前だと思っていました。住まいもほとんど社宅だったので、周囲の人も2、3年したら引っ越していくのが日常茶飯事という生活でした。
そんな私が最初に転校したのは、1年生の夏休み。夏休み明けから新しい小学校に行きました。田舎の小学校だったので校庭の広さに驚きました。そして、転校生はとにかく目立つ。先生に連れられて歩いているときは、全校生徒から「転校生?転校生?」と噂されます。当時はそれが恥ずかしくて本当にいやでした。
さらにクラスに行けば、先生から紹介されたのち、自己紹介をするように言われます。小学校1年生でいきなり自己紹介って、「聞いてないよ~」と思い戸惑ったことを思い出します。
そして、教科書が違うので、隣の人に見せてもらうための交渉力も必要です。でも、だいたい先生が気づいて、先生から隣の子に頼んでくれるのをじっと待っていました。
学校文化の違い
思い出深いのは、給食です。以前のS小学校は、給食を残すことが禁止でした。食べられないものは、事前に戻すというシステムだったのです。
転校してからも同じシステムだと思いこんだ私。当時苦手だったゆで卵がでました。一気に飲み込むしかないと思い、口いっぱいにほおばりました。しかし結局飲み込めませんでした。
そして、「お腹が痛いから保健室へ行く。」という奥の手を使って逃げ出しました。
保健室でどういう経緯があったかは記憶がありません。でも、あとで迎えに来てくれたクラスメイトが「ぴのこちゃん(仮)、給食は残していいんだよ。」って教えてくれました。
私は、「なぜバレたんだろう?」と顔面蒼白になりながら、新しい小学校の給食システムを学びました。
今思うと口いっぱいにほおばって、お腹痛いなんて分かりやすい嘘ついてる自分に笑ってしまいます。同時に、保健室へ行かせてくれた先生の優しさには感謝しています。
孤独の辛さ
目立ってチヤホヤされるのは、せいぜい2-3日のことです。そのうち各自今まで仲良かった友達と過ごし始めます。転校生は、ここからが試練。とても孤独です。うまい具合にグループに入り込めればいいのですが、当時の私は入れませんでした。きっと下を向いて暗い顔をしていたのだと思います。
以前の小学校では、授業中も元気に発言していました。転校してからは発言もしなくなり、一日中誰とも話さないで家に帰ることも多くなりました。教師と親の面談で「とてもおとなしいですね。」と言われて母が驚いたくらいです。
子どもの視野はとても狭いです。私が一人でいても自分から話しかけなければ、誰も気づいてくれないです。しかも、どうやってこの寂しさや悲しみを誰に伝えればよいのかさえ分からなかったです。あぁ、今思い出してもつらいです。
男の子2人組
しばらくすると、男の子2人組R君とK君が私に「ばーか、ばーか」と言ってくるようになりました。私はそれがつらくて、多分うつむいていたと思います。それが何日くらい続いたのか忘れてしまいましたが、とうとう登校拒否をしました。
様子のおかしいことに気づいた母に、私は打ち明けました。「Rっていう子とKっていう子が、私に、ばーか、ばーかって言うの。」って名前を呼び捨てにして泣きながら伝えました。するとKという名前は男女にある名前だったため、母は、女子と勘違いして学校に怒って電話しました。
母「R君っていう子は分かりますよ。男の子なら、からかうこともあるでしょう。でも、Kって女の子でしょう?女の子まで一緒になってからかうなんて、ひどくないですか???」
先生「お母さん、落ち着いてください。RもKも男の子なんです。」
母「・・・」
電話を切った母は、恥ずかしさで顔面を真っ赤にして「その位のことで何を言っているんだ!」とばかりに私を怒りました。姉妹で免疫がないのかもということで「ばーか」と言われたときの練習をしたことを思い出します。これも今思い出すと笑ってしまうですが、真剣でした。
その成果もあって、R君とK君に「ばーか」と言われたときに、「ばかは、おまえだ!」とかなんとか言い返しました。すると、R君とK君から「面白いぞ、こいつ!」って思われるようになりました。
そして、どういう経緯が忘れましたが、一緒に田んぼへおたまじゃくしを取りに行くほど仲良くなりました。
そして、R君もK君も生まれてからずっと同じ場所に住む農家の子だと分かりました。この世に引っ越さない人がいるんだ!と知り驚いたことも覚えています。自分の方がマイナーなのに、子供の価値観って面白いです。
優しかったSさん
その後、また3年生の夏休みに転校しました。その時は、1年生の時に通っていた小学校と同じ小学校でした。それでも、一通りの転校生ルーティンを苦痛の中乗り切り、また孤独な時間が訪れます。
その時、クラスでもおそらくいつも一人だったSさんという女の子が話しかけてくれました。一緒にブランコをしたりずいぶん一緒に遊んでくれて、孤独ではなくなりました。
でも、そのうち私には、Sさんではない仲の良いグループが出来ました。そしてSさんとは遊ばなくなってしまいました。Sさんが一人でブランコに乗っている様子を今でもはっきりと思い出せます。
なぜ「一緒に遊ぼう」っていってあげられなかったのだろうか。と、とても後悔しています。そして今でも謝りたい気持ちでいっぱいです。Sさんは、今どうしているのだろう。どうか幸せでいてほしいなと思います。
慣れによる成れの果て
さらに県内で転校し、3回目の転校を迎えた私。はっきりいって、転校のプロです。みんなが私に注目している様子を、「はいはい、転校生ですよ。」と思いながら芸能人気取りで歩いていました。
自己紹介も慣れたもの。「S小学校から転校してきた○○ぴのこ(仮)です。よろしくお願いします。」と定型文でクリア。教科書だって自分から頼んで見せてもらえます。もちろん給食システムも確認します。
さらに、友達はなるべく最初に話しかけてきてくれているうちに、グループに入り込むという技術まで身につけました。3回目の転校で悲しいことや辛いことは全くなかった記憶があります。
学んだこと
これらの転校経験を通じて、人見知りはしなくなりました。転校をしなかったら、今のようにどこにいっても友達が出来ることはなかったと思います。
また、孤独な人に気が付きやすいのは、自分がつらかったせいだと思います。経験しなければ分からない気持ちはありますよね。もし、皆さんの周りにも孤独な人がいたら声をかけてあげてください。
そしてもし今、転校してつらい思いをしている人がいたら、伝えてあげたいです。辛かったり悲しかったりするのは、人生のほんのわずかな時間。希望を持ってほしいです。
自責の念でもありますが、これだけ転校を繰り返したせいか、ご縁に執着しないところがあります。
それでも、みんなどうしているのだろうかと思います。今のようにSNSもなく、つながりはあっという間になくなってしまいました。もっとご縁を大切にしておけばよかったと後悔しています。
今あるご縁を大切にしなければと反省しつつ、いつかSさんやR君、K君に再会できたらいいなぁと思います。
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