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大丈夫、一緒に生きよう

温泉が好きだ。岩盤浴も好きだ。元々温泉好き夫婦だったが、夫がサウナにはまってからさらに通う頻度が増えて、最近は休日ごとにどこかしらの温泉施設に行っている。画像は某温泉施設で食べたオムライス。ちなみに妊婦は深部体温が上がりすぎるとよくないらしいので、温泉も岩盤浴も短時間にするよう心がけている。

早くも妊娠6ヶ月目である。赤子は何かにつけてむにむに動いていたが、中でも宮本浩次や刀ミュ、伊藤政則のROCK CITYなどによく反応しているようだった。さすがうちの子。大きくなったらライブに連れて行ってやらねば。

この日はスクリーニングということで、いつもより長めの診察になると伝えられていた。赤子はいつのまにかエコー画面に収まりきらない大きさになっていて、モニターには股のあたりが映し出されている。専門外のわたしでもわかる立派なふぐり。男の子だ。本当にどちらでもよかったのだが、なんとなく女の子のような気がしていたので少し意外だった。

担当医はそのままプローブを動かしながら、赤子の体をあちこち測って記録していく。心臓のところで手が止まり、プローブをぐりぐり動かしたりカラードプラに切り替えたり。角度が悪くて見えづらいとのことで、いったん経膣エコーをして、赤子が体勢を変えていることを祈ってもう一度腹部にプローブを当てたが、やっぱり見づらいという。わたしが体勢を変えたり、ごめんよ、と軽く腹を押してみたり、そうこうしているうちに明らかにベテランぽい医師が診察室に入ってきた。2人でエコー画面を見ながらぶつぶつと話し合っている。お腹が冷えてぐるぐる鳴っている、トイレに行きたいが言い出しづらい。気づけばギャラリーが増えていて、ベッドの足元や診察室の裏に医師が数人、あっこれ何かあるやつだ。わたしも経験があるが、他の医師が珍しい症例を診察していると、勉強のために後ろからこっそり見せてもらうことがあるのだ。

ベテラン医師がエコー画面を示しながら説明してくれたところによると、左右の心室を隔てる壁である心室中隔が確認できず、単心室症の可能性が高いとのことだった。自分も患者用画面を見ながら「中隔なくない?」となんとなく思っていたので、やっぱりそうかというのが正直な感想だった。単心室症、といえばフォンタン手術、ところでフォンタンってどこをどう繋ぐんだっけ、国試の朧げな記憶がふわふわと浮かんで消える。この日の時点ではまだ詳しいところは分からないそうだが、単心室症とわかった以上、基本的には産まれたそばから小児心臓外科につなげられる施設で産むのが望ましい。そしてこの病院ではそれができないので、どこかしらに転院する必要があるが、わりと珍しい疾患ゆえどこの病院が対応可能かすぐには案内できないという。正直わたしもあまり思いつかない。病院側で候補を調べて後日教えてもらうことになった。

わたしはこういう話を聞く時つい医者スイッチが入ってしまうので、自分と我が子の話というより、どこかの患者さんについての話を聞いているような感覚があった。帰ってきた夫がおんおん泣いているのを見て、やっとこれがわたしたち家族の話だと気づいたくらいだ。

両親の年齢等による頻度の差はあれど、どの家にも病気や障害を持った子は産まれうる。不妊治療をしていた時から、自分の子がそうである可能性もあるとなんとなく考えていたが、いざ本当にそうなってみると考えることが多すぎて泣きたくなる。ただ不幸なのかと言われるとどうしてもそうは思えず、むしろ余計に楽しみになったくらいだ。会えるのが楽しみ、息子と一緒に生きるのが楽しみ。おそらく何かと不便の多い人生になるだろうが、不便なりに楽しく生きていけるようにしてやりたい。わたしは何を準備したらいいんだろう。

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