52. 夫婦カウンセリング・その後
夫婦カウンセリングはその後何度か通ったけど、正直あまり進展も効果も感じられなかった。
精神分析のチャートをやらされたり、お互いの家族構成を聞かれたり、簡単な質問に答えただけで、特に何か提案される事はなかった。
先生は私達の言うことに対してあまり反応がなく、いつも手応えを感じないまま帰路についた。
5回目のカウンセリングの帰りに、裕太が「もうやめよう。無意味だ。」と言い出し、私はもちろん賛成して、カウンセリングは辞めることになった。
今後は不要です、との電話をすると、先生は若干驚いた様子だったけど
「これからは自分たちで解決します」と言うと「分りました。頑張ってください。」と言ってくれた。
審判を取り下げてから2か月ほど経っていたけど、まだ可奈には会えなかった。
もどかしかったけど、調停で争っている時に比べたら気持ちはだいぶ楽になっていた。少しずつだけど、可奈との再会に向けて進んでいるという手応えも感じていた。
裕太を責める気持ちが幾度となく湧きあがったが、関係がこれ以上悪化しないように、裕太を悪く思う気持ちが湧いても打ち消すように努力した。
少しのでも、拒否感や嫌悪感を感じさせてしまったら終わると思っていた。
『自分が見ている世界は全て、自分が作り出す。』
そんな言葉をいつも、自分に言い聞かせるようにしていた。