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51. 夫婦カウンセリングへ

裕太が指定してきた夫婦カウンセリングは、マンションの一室にある、臨床心理士のカウンセリングルームで行われた。

思ったより高齢の先生で、部屋にはたくさんの本が積み上げられていた。正直なところ、こんなに高齢の方が様々な形を抱える『現代の夫婦』のカウンセリングを出来のか?と、一抹の不安を感じた。

カウンセリングは、まずは先生がそれぞれと30分ほど話すところから始まった。その後、先生を含めた3人で会話をする。
1回のカウンセリングで、近場なら国内旅行が出来るくらいの金額がかかっていた。

3人の対面セッションでは、開口一番、隣で裕太が私の悪口をまくしたて、とても嫌な気持になった。先生は気の毒そうな顔をして私を見て言った。

「奥さん、頑張ってくださいね。」

私には、その一言が(おかしいのは奥さんではなく旦那さん・・)と言っている様な気がして少し救われた。それでも裕太はそんな事をもろともせず、私の悪口を続けた。

(この人、本当に再構築する気があるのだろうか?)

と思ったけど、ここで文句を言っても喧嘩になるだけだ。無事にカウンセリングを終え、私が「更生」しない限り先には進めず、可奈にも会えないのだから。

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