6. ふたりを探しに
海岸沿いの19号線を、慣れないレンタカーで北に向かった。アメリカの車は大きくて運転しづらいが、道が広いので直ぐに慣れた。そういえばハワイに来てからまだ自分で運転はしたことがなかった。
目指すはカパアウ、北部の町。
久々の車の運転に緊張したが、とにかく事故だけは起こさないように気を付けたが、どうしても肩に力が入ってしまう。30分もすると疲労が溜まってきたが、休んでいる余裕はない。
一刻も早くカパアウに着かなければ。
神様どうか、ただの私の思い過ごしでありますように。
カパアウに着いたら2人が笑いながら手を振って迎えてくれて、カフェに行って、みんなで私の心配を笑えますように。ああ、カパアウに着いたら大好きなパインジュースが飲みたいな。
何度も言い聞かせるように祈ったけど、胸につきまとう嫌な予感は拭いきれなかった。気づくと呼吸がどうしても浅くなっていた。
思い返せば、ふたりを見送るとき「どこに泊まるの?」と聞いた時、裕太は「まずは車でカパアウに行って、適当に宿を見つけるよ。心配しないで。」と笑って答えた。
つまり、カパアウに行っても何処に泊まっているか分からないし、直ぐに会える保証もないのだ。更に、家を出てから数日経っているから、別の場所に移動している可能性だってある。
カパアウは小さい町だから、日本人の親子が来なかったか、と聞けば直ぐにわかるだろう。それがたとえランチ休憩だけだったとしても。ハワイの田舎で、外国人旅行者は目立つ。
・・・とにかく行こう。その後のことは、着いてから考えよう。
カバンに放りんでいたペットボトルを飲み干して、私は喉を潤した。
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