7. kapaau到着
ヒロから2時間ほどのドライブで、カパアウに着いた。ハワイ島の北部は中心地のヒロより緑が多くて、空気が澄んでいる。
深呼吸をして、街の中心にあるマーケットに行った。そういえば、喉が渇いてヒリヒリする。南国で長時間水分をとらないのは、大げさではなく、命に関わる。脱水症状を起こすかも知れないと焦った私は、ミネラルウォーターを手に、レジへ小走りで向かった。
レジで会計を済ませたあと、人懐っこそうな中年の店員さんに聞いた。
「数日前に、この町に日本人親子が来なかった?」
彼は「No , I don't see.」と、首を振った。他の店員さんにも聞いてくれるが、皆、一様に「No」と首を振る。
その場にいた親切そうなおじさんが誰かに電話をしてくれたが、手掛かりはつかめないようで、残念そうな顔をしている。
そうしてる間にどんどん人が集まって来た。
私はざっくりと皆んなに事情を説明した。ヒロからここまで、家族を探しに来たこと。2人は4日前にヒロを出たこと、まだ途中の町でストップオーバーしているかも知れなく、既にカパアウから移動しているかもしれないこと。
「Police, Police!」
話が終わると共に、誰かが警察を呼んだ。話しながら震えている私を見て、ただごとではないと思ったんだろう。
隣にいた優しそうなハワイアンのおばちゃんが肩を抱いた。外に連れていかれ、椅子に座らせてもらうと、冷えたパイナップルを持ってきてくれた。
人からもらう食べ物は、いつでも美味しい。朝から何も食べていなかったのもあり、一気に食べてしまった。
少しすると警察がやってきて、険しい顔をしてこう言った。
「お嬢さん、他の町の警察にも聞いたけど、ここらにあなたの家族はいないよ。」
涙が溢れた。ハワイアンのおばちゃんは、まるで自分のことのように寂しそうな顔をした。が、ここで泣くわけにはいかない。
力なく立ち上がり、集まっている人達にお礼を告げ、近くのビーチまで、何度も転びそうになりながら向かった。
誰もいないのを確認すると、私は膝から崩れ落ち、大声を出して泣いた。
裕太に騙されたんだ。
そんなに私が憎かったんだ。
信じられないけど、裕太は、私の命より大事な可奈を連れていなくなってしまったんだ。
・・・何がしたいの?
私は自分の頬を叩いた。痛いと感じるまで、何度も、何度も。
これは夢なんかじゃない、現実なんだと目を覚まさせるつもりで。
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