私の読書遍歴 その1
すこしばかり、私のこれまでの読書遍歴について書き記したいと思う。私自身、どんな興味の変遷を経て、現在の思想なり価値観が形成されたのか整理したかったのである。ざっくりしているが、ひとまず以下のような整理することができるだろう。
小学生
読書量で言えば、おそらく年間10冊程度。「朝読書週間」なる読書推奨制度があったので、その目標冊数を達成するためにとりあえずマンガから活字から割と色々読んでいた。
低学年の頃は日本の児童文学を嗜み、『ズッコケ三人組』シリーズや『かいけつゾロリ』シリーズをよく読んでいた。
また、小学館や集英社から刊行しているマンガ版の偉人伝が好きで、よく読んでいた。野口英世・南方熊楠・キュリー夫人・アインシュタインなど研究者の人生に興味を持つ傾向があった。
高学年になると、伝記で読んだアインシュタイン繋がりでSFに興味が向かい、「時間」と「お金」をテーマとしたミヒャエル・エンデの『モモ』や、ジョージ・ウェルズの『タイムマシン』など、SFモノを愛好した。
興味は文学作品のみならず、「特殊相対性理論」や「タイムマシン」「ブラックホール」についての図解本にも及んだ。それらの知的興味は、最終的に、卒業作文での「アインシュタインの特殊相対性理論」というテーマに結実した。
しかし最も惹かれたのは、「百科事典」や「国語辞典」であった。多種多様な事物や単語が特定の秩序に基づいて分類・一覧化されている「統一感」がたまらなく好きだった。それは、ある種の「博物学」への志向と言えるかもしれない。
こうした小学生の時に養った知的好奇心が、今もなお私の在り方を規定しているように思う。
中学生
中学生になると勉強や部活が忙しくなり、小学生の時ほど読書をしなくなっていた。あさのあつこの『バッテリー』シリーズを年に2〜3冊読む程度。
野球にまったく興味はなかったのだが、著者の文体に強い魅力を感じていたし、ストーリー展開もとても面白かった。中学校という舞台設定が、当時の自分に共通していたこともあり、主人公の巧を含めた登場人物たちに感情移入しやすかったのかもしれない。
それ以外では、夏休みの読書感想文で無理やり何冊か読んだくらいである。読了感だけ味わいたくて、これ見よがしに分厚いハードカバーの小説を読んだような気もするが、内容はさっぱり覚えていない。
読書感想文が夏休みの課題の中でもっとも困難だったことから、それ以降の読書の楽しみが薄れてしまったような気がしている。
高校生
高校生になると、興味は完全にオタクの方に向かっていき、もはやライトノベルしか読まなかった。年に5〜6冊程度だった。
王道を行けば、谷川流『涼宮ハルヒ』シリーズ、鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』、井上堅ニ『バカとテストと召喚獣』。ややマイナー路線だと葵せきな『生徒会の一存』シリーズである。いずれもアニメ化されており、アニメからラノベに入っていったパターンだ。
アニメとラノベの往復だったため、その他の文学作品はいっさい読まなかった。アニメやラノベに向かった理由は「現実逃避」したかったからだ。高校は男子校だったが、「男性だらけの空間」にやり場のない息苦しさを感じていて、言ってて恥ずかしく思うのだけれど、フィクションの中の美少女たちだけが現実世界の過酷さから逃れられる唯一の癒し的存在であった。
できればこの時期に日本の古典文学作品をたくさん嗜んでおくべきだった。結局、文学に親しむようになるには、(大変驚くべきことだが)大学を卒業して会社員になるのを待たねばならなかった。
(その2に続く)