ユーレイルパスでヨーロッパ周遊鉄道旅番外編1 ユーレイルパスの使い方 座席予約方法
ユーレイルパスについて
ユーレイルパスとは
ユーレイルパス、またはユーレイルグローバルパスとはヨーロッパ圏各国の普通、快速、急行、特急列車などほとんどの列車に乗ることができる夢の切符です。鉄道運賃が変動するヨーロッパにおいて、金額を無視して一律料金で乗ることができ、かつ各国の鉄道を一枚の切符で乗ることができるユーレイルパスは非常にお得で効率的な切符です。
ユーレイルパスは国ごとに乗り放題ができる一か国タイプのユーレイルパスと、二か国以上で有効なユーレイルグローバルパス(以後ユーレイルパス)があり、今回は後者を説明します。
ユーレイルパスには連続した日数で有効化される連続使用タイプと、自分で有効化する日を選ぶことができるフレキシブルタイプに分かれます。ユーレイルパスにおいては連続タイプより使い勝手の良いフレキシブルタイプのほうが高額になります。
さらにユーレイルパスには、一等車も乗り放題になるものと二等車以下が乗り放題になるのものがあり、当然ですが一等車のユーレイルパスのほうが高額です。
ずらずらと説明してしまいましたが違いは以下の通りです。自分の旅程に合わせて合うものを選びましょう。
一か国のみと複数国有効のもの
連続する日にちで有効のものと自分で有効な日を選べるもの
二等車以下に乗れるものと一等車にも乗れるもの
私は7日間有効のフレキシブルタイプ一等車のユーレイルパスをユース割引で348USD(当時のレートで47018円)で購入しました。一日約6700円でヨーロッパの鉄道の一等車が乗り放題という計算になります。
ユーレイルパスの購入方法
ユーレイルパスの購入方法はとっても簡単で、以下のサイトにアクセスし先ほどの選択肢を選んでいけば購入することができます。また、紙のパスの場合追加で送料がかかり住所の入力や使用開始日を選択する必要があります。※紙タイプのパスの使用開始日は現地の駅で決めることもできます。
グローバルタイプか一か国タイプかを選ぶ
年齢区分、パスが有効になる列車の等級、パスのタイプ、有効な日数を選択し、カートに追加
カートへ進みモバイルパスか紙のパス(追加料金あり)かを選択
旅行者情報を入力後、支払方法を選択してチェックアウト
ユーレイルパスの注意点
ヨーロッパの鉄道が乗り放題になる夢のような切符ですが、注意点も多いです。簡単に以下にまとめます。
乗り放題の対象外、または運賃割引のみの路線が複数ある
座席指定をしないと乗れない列車がある
夜行列車における日数のカウント方法
紙のフレキシブルタイプのパスの場合有効化を自分で行う必要がある
①. ユーレイルパスの乗り放題対象外の路線とは、市内を走る都心の交通機関やスイスなどに多くある私鉄や登山鉄道のことです。例えば、市内を走る路面電車や地下鉄にはユーレイルパスで乗ることはできません。また、スイスのピラトゥス山鉄道など、乗り放題ではありませんが運賃が半額になるなど大きな割引のみの場合があります。以下のユーレイルパスが有効な鉄道会社一覧を確認し、乗車予定の会社で有効か確認しましょう。
②. ユーレイルパスには座席指定をしないと乗れない列車が存在します。イタリアの高速鉄道フレッチャロッサや寝台列車のナイトジェットなど、寝台列車、観光列車、一部の高速鉄道では座席予約が必須です。以下のサイトで必須かどうか確認しましょう。座席指定は基本有料ですが、寝台列車を除き数ユーロ程度のものがほとんどなので、混雑が予想される場合は座席指定をお勧めします。
③. ユーレイルパスは別途座席指定をすることで夜行列車や寝台列車に乗ることもできます。ユーレイルパスは有効期限が有効日の23時59分までで、0時以降に別の列車に乗り換えた場合二日分消費する必要があります。つまり出発日の23時59分までに乗車し、0時をまたいで降りるまでは有効ということです。そのため夜行列車には0時以降乗り換えをしないことを条件に出発日一日分のユーレイルパスで乗車することができます。
④. ユーレイルパスは前述のとおり紙のタイプとアプリにパスを取り込むモバイルタイプがあります。フレキシブルタイプの紙のユーレイルパスの場合、期間内で自分で有効化する日を選べるためその日付をパスに記載する必要があります。ユーレイルパス下部にDayとMonthという項目があるのでパスを使用する日に忘れずに書き込みをしましょう。
なお、シャーペンなど消すことができる筆記用具では有効化とみなされないため、必ずボールペンなどを使用してください。
座席の予約方法
前述のとおりユーレイルパスにおいて一部の列車には必ず座席指定が必要なだけでなく、混雑している区間では立ち席になる可能性もあるため、できる限り事前の座席指定をお勧めします。ここでは各国鉄線の公式サイトやアプリから座席指定をする方法を紹介します。
ユーレイルアプリからも座席の指定は可能ですが、公式サイトとユーレイルアプリで座席指定料金にばらつきがあることや、国鉄アプリに取り込めないデメリットから、私はユーレイルアプリは使いませんでした。
ドイツ国鉄の座席指定
ヨーロッパで鉄道旅をする際欠かせないのがこのドイツ国鉄(以下DB)のサイトです。DBのサイトでは一部寝台列車などを除きドイツ国内を走るほとんどすべての列車と、周辺のチェコやスイスなどの列車を座席指定することができます。サイトの使い勝手もよくDBアプリに取り込むQRコードで検札を通過できるため、アプリをインストールしておくことをお勧めします。
DBのサイトおよびアプリにおいて、ユーレイルパス使用時の座席指定はとても簡単で、乗り換え検索の欄にある「Book seat only」の項目にチェックを入れるだけです。あとは日時や等級を選択し、乗り換え検索をかけると予約料金が出てきます。
ICEなどの特急の座席指定料金は約6ユーロで、他の会社の路線も寝台などを除き10ユーロ以下で買うことができます。さらに、画像赤丸の「Select seat」を選択すると座席を細かく選ぶこともできます。
購入をしてもQRコードなどは発行されず、控えのみが送られます。乗車の際は席の横や上部にある座席番号下の文字を確認し、自分が指定した駅間が書いてあるか確認しましょう。また、座席番号下の文字が「ggf. freigeben」や無記載の場合は座席指定をしていなくても空いていれば座ることが可能です。
※ggf. freigebenの場合は乗車中に指定される場合あり
オーストリア国鉄の座席指定
オーストリア国鉄(以下OBB)もDB同様とても使い勝手の良いサイトがあり、東欧を中心に様々な列車を座席指定できるためおすすめです。ただし、ユーレイルパスを使う場合ディスカウントのやり方が少しわかりずらいため順番に解説します。以下のOBB公式サイトにアクセスしてください。
OBB公式サイトで乗り換えを検索するとこのような画面になると思います。まず赤枠の部分をクリックしディスカウントと年齢を入力します。
私は当時19歳なので12~25歳で使えるユースを選択、25歳以上の方はADALTのままで大丈夫です。次に「ADD DISCOUNT」をクリックし、「Find discount」と書かれた検索欄に「eu」と入力します。すると「Interrail / Eurail - Globalpass」というものがあるので選択し確定します。
列車接続の検索結果が出るためお好きなものを選んでください。今回はレールジェットで行います。ナイトジェットなど寝台は後ほど解説します。
※検索の際「Seat reservation only(no ticket)」を選択しても座席予約ができますが、NJ予約の際など「One-way tickets and day tickets」のほうが万能なため後者を選択しています。
列車を選択すると詳細が出るため画像赤枠の「More services」をクリック。
隠れていた「Ticket Already Exists」チケットはすでにありますという選択肢が出るためクリックします。自分の持つユーレイルパスに合わせて一等車か二等車を選択し、チェックアウトに進みます。
座席指定をシートマップからしたい場合は画像赤枠の「RESERVATION DETAILS」をクリック。
詳しい旅程などが出る画面に変わります。画像赤枠の「Go to seat selection」をクリックするとシートマップから座席を選択することができます。
購入を終えると登録していたEメールアドレスやアプリのMy ticketsの欄にQRコード付きで追加されます。あとは検札の時にQRコードを車掌に見せるだけです。
チェコ国鉄の座席指定
最後にチェコ国鉄(以下CD)の座席予約方法を紹介します。CDはドイツ国鉄と同じで、座席指定のみの選択肢があるタイプです。以下のCD国鉄サイトにアクセスしてください。
アクセスすると列車検索画面が出るはずです。まず画像赤枠の部分を押し、自分の年齢の「Without a discount card」と書かれた選択肢を選びます。その下に等級を選び、駅を入力して列車を検索します。
今回は例としてプラハからベルリンの特急ECで検索します。乗りたい列車を見つけたら、画像赤枠の選択肢から「Purchase reservations only」を選びます。
するとこのようなページに飛びます。座席指定をシートマップからしたい場合は画像赤枠の「Select seat from the seating map」を選びましょう。あとはカートに進んで名前を入力しチェックアウトをするだけです。
ヨーロッパの国鉄のサイトでユーレイルパスの座席指定をする場合、DBやCDのように座席予約のみの選択肢があるか、OBBのようにディスカウントにユーレイルパスの項目が存在するかの二択になります。
つまりDBとOBBのサイトの使い方をマスターすれば大抵の国の列車は座席指定できるようになるはずです。
寝台列車の座席指定
ここでは寝台列車のユーレイルパスを使った座席指定方法について紹介します。寝台列車の中でも人気の高いナイトジェット(以下NJ)とユーロナイト(以下EN)をそれぞれ運国鉄公式サイトから予約します。
まずは、OBBが中欧を中心に運行している寝台列車のNJの予約方法について紹介します。この列車はOBBが運航しているにもかかわらず、オーストリア国内に縛られず、顧客の寝台列車需要が高い地域を中心に走っています。今回は旅行記でも乗車したアムステルダム発チューリッヒ行の予約を例に紹介します。まずは以下のOBB公式サイトにアクセスしてください。
※ナイトジェット専用の予約サイト「OBB nightjet」も存在しますがどちらも同じなのでOBB公式のほうを紹介します。
OBBのサイトにアクセスし、乗車駅のアムステルダム中央駅と降車駅のチューリッヒ中央駅を入力した状態です。前章のOBBの座席指定方法で紹介した方法で乗客にユーレイルパスのディスカウントを追加します。
ここで列車を検索する際に座席予約だからと「Seat reservation only(no ticket)」を選択してはいけません。画像青枠の「One-way tickets and day tickets」を選択してください。座席予約のページではナイトジェットを予約することができなくなっているので注意が必要です。
検索結果にNJの表示が出ました。今回は寝台の予約なため、上から二番目の列車を選択します。
NJには座席区画の設定はありませんが、NJの客車に一緒に連結されてチューリッヒまで向かうインターシティ(座席客車)が座席区画の役割をなしています。座席区画を選ぶ方はNJの予約画面では座席の選択ができないので、上から三段目の同時刻に運転されるインターシティを選択しましょう。
NJを選択するとたくさんの項目が出てきます。まずこの画面中央に出ている選択肢は予約手数料のようなもので、キャンセルする心配がない方は一番安いものを選びましょう。
次に6~4人個室(クシェット)なのか、1~3人用個室なのかを選択します。まずはクシェットの予約方法です。
クシェットでは、基本的に他人と相部屋になります。4~6人のグループで旅行されている方はこの部屋で予約すると安くなります。また、私のように1人で旅行される方は運よく空いているとき以外外国人と相部屋になるので、安いですがセキュリティ面からあまりお勧めしません。
この画面では、個室の人数、性別、ベッドの位置を選択できます。相部屋ですが異性と同室になることはありません。部屋の人数を減らすときのみ追加料金がかかります。次に、1~3人用個室の予約方法です。
1~3人用個室にも同様に人数と性別とベッドの位置の選択肢があります。こちらも同様に安い3人利用を選択すると他の外国人と相部屋の可能性があります。私は少し高いですがこの旅行ではすべて1人用を選んでいます。
1~3人用個室には必ず洗面台が存在し、一部の編成には個人シャワー付きのデラックス個室的なものも存在します。今回の予約画面には選択肢がありませんが、NJのヴェネツィア~ウィーン線など一部の路線でのみ選択肢が出るようです。
個室タイプ、人数、性別、ベッドの位置を入力するとカートの追加されチェックアウトに進むことができます。決済を終えるとメールやアプリにQRコードが追加され、NJに乗車した後検察の際にユーレイルパスとQRコードを見せましょう。次にENの予約方法です。
ここからは東欧を中心に走る寝台列車ユーロナイト(EN)の座席指定方法です。ENはNJと違い一国ではなく東欧の様々な国が運航しているため、ENの沿線の国の鉄道会社から予約することができます。当然ユーロを使わない国で予約すれば、為替レート的に安くなることもあります。
私が旅行記で乗車したEN476列車は、ハンガリーのブダペスト発スロバキア、オーストリア、チェコ経由ドイツのベルリン行の列車で、各国のサイトから予約することができました。その中でも当時の為替レート的に安かったハンガリー国鉄での予約方法を紹介します。以下のサイトにアクセスしてください。
なお、このENにはメトロポールという愛称がついています。日本で例えると「EN476 METROPOL」のうち476が号数、METROPOLがムーンライトなどの愛称にあたります。愛称がない列車もありますが、差はありません。
サイトにアクセスするとこのように出てくるので、出発地と到着地を入力しましょう。今回はブダペストからベルリンで検索します。
検索をかけると細かな情報を入れる画面になります。出発時刻か到着時刻を入力したら赤枠の部分を押して年齢とディスカウント入力に移ります。
生年月日を入力したら「Add discount」をクリックし、ユーレイルパスのディスカウントを選択します。ここでのユーレイルパスのディスカウントは「Bérlet (pl.InterRail)」という名前になっています。
ディスカウントを選択したら列車検索をしましょう。
乗りたい列車を探し青いボタンをクリックしましょう。画像は私の乗ったEN476メトロポールを選択しています。
列車を選択すると個室のタイプを選択できます。画像では赤枠の一人用個室を選択しました。
個室の種類に関しては前章のNJ予約方法を参照してください。
次にOffersを選択する画面になります。基本は一番安いもので大丈夫ですが、ユーレイルパス割引が適応されているものはDiscountに「Aufpreis」と書かれているので確認しましょう。
青いボタンをクリックするとログイン画面になるので、アカウントを作ってログインをしましょう。
ログインするとこのような画面になります。上から名前、生年月日、ユーレイルパスの番号を入力する欄があるのでそれぞれ入力します。
このように一部の国鉄ではユーレイルパス割引をする際にユーレイルパス裏面の「Pass Cover number」という番号が必要になります。
最後にカートからチェックアウトをして予約完了です。当日はメールやアプリから送られてきたQRコードとユーレイルパスを乗務員に見せれば大丈夫です。
座席指定の注意点
ユーレイルパスを使う場合必ずと言ってもいいほど座席指定は必要になります。しかし、座席指定は各国鉄バラバラで注意点も多いです。
進行方向は乗車するまでわからない
夜行列車と寝台列車の違い
一等車と二等車の違い
①. ヨーロッパの電車は座席予約の時点で進行方向が分かりません。日本の鉄道は座席指定の際進行方向が分かるか、座席が進行方向前向きに回転した状態で乗ることができます。しかし、ヨーロッパの電車は基本的に前向きにそろえられておらず、座席予約の際にどちらが前かもわかりません。そのため、一番前の席や前向きの席だと考えて予約してもいざ乗車すると逆向きだったということが良くあります。
さらに、客車列車がいまだにたくさん走って、編成の変更などにより予約した座席が無いなどといったトラブルもよく起こりますので、覚悟していきましょう。
②. ヨーロッパの鉄道は基本的に24時間動いており、夜間を走行する座席車両の夜行列車も存在します。が、今回紹介したのはベッドのついている寝台列車です。中には夜行列車と寝台列車が併結するものもありますが、夜中に走行する時刻表だからと言って、必ず寝台車両が連結されているわけではありませんので注意してください。
また、寝台と座席車の違いに食事やシャワー室の有無があります。寝台を予約すると、乗車後に乗務員から朝食を聞かれ、朝に持ってきてくれます。
③. 一等車と二等車にはたくさんの違いがあり、共通している事についてお話します。ヨーロッパの電車の一等車の座席は1-2の三列、二等車は2-2の四列が基本です。座席の座り心地は差はありませんが、少しゴージャスになります。
一等車の一番の魅力は、混雑が圧倒的に少ないことです。ヨーロッパの電車の車内では、電話での通話や会話などに制限はなく、乗客が多いととても騒々しいです。また、混雑で座席に座れないということも多いです。ドイツやスイスなど、鉄道が発達し鉄道で観光できる国を旅行する際は、多少高くとも一等車にすることを強くお勧めします。
また、イタリアの高速鉄道網など一部一等車や二等車といった区切りではなくビジネスやプレミアムといった独自の呼称になっている場合があります。
さいごに
今回は、ユーレイルパスの使い方を私の経験をもとに記事を作成しました。私は日本や他数か国で列車手配を行った経験があるため何とかなりましたが、自信がない方はいきなり自分で手配はせず予約代行などを利用するという手もあります。とはいえ、自分で公式から購入するのが最安値であるのは確かなので自信のある方はぜひチャレンジしてみてください。
次こういった役立ち情報番外編を作るかは未定です。次回は旅行記を再開しベルギーのブリュッセルを目指します。
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