2021一橋国語/第三問/解答速報
【21一橋国語/第三問/解答速報】
出典は中村桃子『翻訳がつくる日本語 ヒロインは「女ことば」を話し続ける』
問い 右の文章を要約しなさい(200字以内)。
〈GV解答例〉
ことばとアイデンティティの関係については、従来、話者は所与の属性に基づき特定の話し方をするという本質主義が採られていた。しかし、状況に応じたことばの使い分けなど本質主義では説明のつかないことが出てくる中で、話者は特定の話し方をすることでアイデンティティを更新し確認するという構築主義が提案された。翻訳の場合も、翻訳行為の反復により登場人物のアイデンティティが付与されるという構築主義が採用されている。(200)
〈参考 S台解答例〉
言葉とアイデンティティの関係は、自己の属性に基づき言語行為が生じるとする本質主義で理解されてきたが、これでは状況に応じた言葉の使い分けを説明できないため、言語行為を通してアイデンティティが作られ、一定の言葉づかいが習慣化されてその統一性が仮構されるとする構築主義が提案された。翻訳においても、ある種の人々の発言を一定の言葉づかいに訳すことが、彼らに共通のアイデンティティを付与すると考えるのである。(199)
〈参考 K塾解答例〉
言葉とアイデンティティの関係は、人は内在する属性に従い言葉を使うとする本質主義で説明されてきた。だが、これは状況に応じ言葉を使い分けている実態と異なるため、人の特徴は言葉で作られ、その特徴を表現し続ける中で自らの統一性を感じるとする構築主義が登場する。この考えによれば、海外のある種の職業人の人物像は彼らの発言を同様の言葉遣いに繰り返し翻訳することで得られ、そこに生じる日本語の変化が考察対象となる。(200)
〈参考 Yゼミ解答例〉
言葉づかいとアイデンティティは深く結びついている。本質主義は発話以前に存在するアイデンティティがそれにふさわしい言葉づかいを選ぶと考え、構築主義は話し手が言語行為を通してアイデンティティを作りつづけ、その習慣化がその人の核を形成すると考える。後者の考えを翻訳に当てはめると、特定の職業人の発話を特有の言葉づかいで翻訳することで、その職業にふさわしいアイデンティティをその人に付与することが可能になる。(200)
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