2020/01/22 授業迷子の他校見学
昨日のライティングセンターの件と同時に、年末から準備していたのが、他校の授業見学だ。普段、日々の業務をしているとなかなか学外へ見学に出ることは難しい。土日ならともかく、平日の「普段の授業」であればなおのこと。
今回は、友人の勤める私立中高で見学させていただいた。快く引き受けてくださった学校、授業を見せてくださった方や日々の業務の合間を縫って話をする時間をとってくださった方々への感謝は多大なものだ。そして、その段取りをつけてくれた友人も。本当にみなさん親切な方ばかりで、たった一日だけれど、色々学ばせてもらった。普段と異なる場へ身を置くと、新たに見えることがある。
今回見学のねらいは、iPadやPCなどのICT機器を活用した授業。勤務校では電子黒板がないけれど、見学先では電子黒板とデジタル教科書を導入しているし、生徒一人ひとりが個人の端末を持つことを導入したのも、勤務校より早かったので、どのような様子であるか、実際に拝見したかった。
わたし自身は、今年一年の授業でkeynoteを利用してみたけれど、これまでの従来の授業と大差がないので、どうにか工夫できないものかずっと考えていた。わたし自身は典型的な講義型授業を軸にしてきて、それなりにうまく機能した。しかし、勤務校ではアクティブラーニング型の授業を強く推進していて、これからのスタイルの変更をどうするかについて悩みは尽きない。これまでも生徒が思考する授業は意識してきたし、見せかけのアクティブラーニング型の授業で生徒も授業者も「やったつもり」なるような授業は避けてきた。一方で、新しい環境に身を置いたことをよい機会と捉えるならば、ここでひとつ、自分の中でのパラダイムシフトを起こすことも必要なのだ。そういうことについて、日々本を読んだりぼんやりしたりしながら考えている。とはいえ、RPGで例えるならば「そうび:ひのきのぼう」がわたしの現状で、ICT機器を使った授業実践については基本的なことすら分かっていないことが多い。知らないことを知らない。要するに、わたしは「授業迷子」の状態にある。そこで、ヒントを求めて外へ出てみることにしたのだ。
7時間授業の今日、見学させてもらった授業は4時間。高1現代社会、中1社会(地理)、中1国語、中2国語。
すべての授業で共通しているのは、「ロイロノート」を授業の軸にしていること。授業のスライドもロイロノートで作成し、生徒に対する課題の配布と提出もこのアプリを用いて行っている。生徒全員がiPadなりの端末を持っているならば、かなり使い勝手が良さそう。授業中でも、生徒が提出したものをその場で共有しながら比較検討している。勤務校では使っている様子がないので、使えたらいいなと思う。
高1現代社会では、その日のテーマに関する解説の後、ロイロノートを使った意見共有をしていた。知識や内容理解の問いではなく、自己開示的な答えを提示することになる問いだったので、答えにくい生徒が多かったように見えた。ICT機器を使うか否かを問わず、問いの立て方と共有の仕方は工夫が必要だ。それが何気ないことのようで、とても難しい。
中1社会では、担当者が「板書はできる限りしない」方針をとっていて、かなりスライドを作り込んでいた。いわゆる板書のようなスライドはなく、生徒との対話の手掛かりになるような写真やグラフのような画像資料で構成されている。生徒は毎回空欄補充型のプリントを受け取り、適宜書き込んでいく。指示がなくても中1生徒が書き込める仕掛けがしてあるので、授業はスムーズ。生徒との対話が多く、積極的に参加する生徒が多い。
中1・中2国語は友人の授業。生徒は彼女とかなり距離が近いが、規律が守られているので授業は落ち着いて進む。(後から聞けば、今日の生徒たちは「よそゆき」の様子だったらしいけれど。)授業のスタイルはオーソドックスな国語の授業。しかし、電子黒板とデジタル教科書を合わせて使うことで、国語科にありがちな「本文の提示/板書をどうするのだ、面倒くさいぞ問題」を気にせず、生徒たちへ本文の傍線指示や音読箇所の指定ができるので、便利そうだ。各自のiPadに音読をその場で録音させ、データをロイロノートで提出させることで大勢の暗誦チェックをしているのもいいなと思った。
友人の手配のおかげで、授業見学のない時間にはICT機器をよく使う人たちからお話を伺うことができた。「そうび:ひのきのぼう」のわたしでもできそうなことや、活用方法などをたくさん教えていただいた。
放課後は、電子黒板とデジタル教科書を実際に使わせてもらう。触ってみると、長所と短所が見える。午前中に中1社会の授業を見せてくださった方も合流して、授業の方法や種々の情報共有をする。実際に見て使ってみることで分かることは多い。やはり実践あるのみ。そして、いつもと異なるコミュニティを覗いてみることで学ぶことも多い。
今日一日、かなり学ぶことが多く、充実した見学をさせていただいた。実際に見て体験してみることで分かることは多い。やはり実践あるのみ。また、いつもとは異なる環境を覗いてみることで得られる刺激や学びも大きい。こういう充実感、よく考えたら久々だ。今年はこういうアップデートを積極的にしていこう。