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2019/12/06 中之島の休日

昨日、友人Kくんから国立国際美術館のジャコメッティ展(第Ⅱ期)が会期末だと教えてもらった。確かめてみたら、8日まで。元々休みを取っていたので、中之島で休日を過ごすことにする。

まずはgrafで腹拵え。ここのランチは、自然体なおしゃれ感が好きだ。それぞれはシンプルなのに、いろんな風味で野菜を食べられるのもいい。今日のサラダには金柑とレインボーキウイという甘みの強いキウイが入っていて、サラダの塩気とよく合っていた。

国立国際美術館へ。特別展は「ウィーン・モダン」展。クリムトが大きく取り上げられているが、実際《旧ブルク劇場の観客席》(1888)がすごくよかったのだけれど、他の見どころも多い展覧会だった。すごく惹かれたのは、フランツ・ヨーゼフⅠ世治下のウィーンの都市再編成の資料や絵画、彼の時代に活躍したハンス・マカルトの作品がよかった。マカルトのアトリエを描いた作品と実際のアトリエの写真が展示してあったのもわくわくしてじっくり見た。

常設/コレクション展は、「ジャコメッティと Ⅱ」展。第Ⅱ期冒頭には、新たに収蔵した《ヤナイハラ Ⅰ》とともに、矢内原自身が撮影したジャコメッティの製作過程がたくさんの写真でコマ送りのように見られておもしろかった。

でも、何より美しいのは、2種類の映像が同じひとつの音声で構成される映像インスタレーション《フローラ Flora》(テリーサ・ハバード, アレクサンダー・ビルヒラー/2017)だ。

ジャコメッティの恋人だった彫刻家、フローラ・メイヨは彼と別れ、経済的な苦境の中で彫刻とも決別し、アメリカに戻る。彼とのことは胸に秘め、生まれてきた息子・ダヴィッドをひとりで育てた。老境に入ったダヴィッドが、ジャコメッティの恋人として写る母のかつての姿を偶然に見つけたことから、フローラの物語が紐解かれる。

人ひとりの人生を短い映像ですべて描ききることなど不可能だ。だけれど、その断片を資料・言葉・映像・音楽でつなぎ、空隙は空隙のままにしておく。その作業によって、その人の人生の美しさを垣間見ることができるから、この《フローラ Flora》が見るものの胸に迫る美しい作品となる。

久々に心動く作品に浸れてよかった。今日見たもののことなどは、日記としてではなく、また別の形で書いておきたい。ひとまずは、これで。

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クボタエリナ
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