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2020/06/09 ロックの日に聴くべきものは

ロックの日に聴くべきもの、人によって様々あるだろうが、わたしが真っ先に思い浮かぶのは、1996年6月9日発売のcornelius《96⚡︎69 地球あやうし!!》だ。

このアルバムは前年1995年秋に発売されたcornelius《69⚡︎96》のリミックスアルバム。収録時間69分、収録トラック数96。レーベル・トラットリアの96番作品。1969年生まれの小山田くん(わたしよりずっと年長だけれど、昔からこう呼んでしまう)が、「69」と「96」に関する仕掛けと悪ふざけとを配した、最高にいかした作品だ。

96年当時、モノとしてのCDだからできた彼の遊びは、配信で音楽を聴く人も多い2020年の今ではあまり馴染まないのかもしれない。だから余計に、そのときだからこそできたであろう遊びが当時のわたしにはおもしろくて仕方がなかった。本篇が終わっているのにプレーヤーは動き続け、しばらく経ったら唐突にクレジットにはない曲が始まったら驚くし、そのトラック番号が「69」や「96」なのだから。CDも収録時間と収録トラック数に制限があるけれど、その制限を利用しているところがいい。

1. 69/96 A Space Odyssey ~ Prelude (In Atami) [岡村靖幸 Remix]
2. Moon Walk [砂原良徳 Remix]
3. Brand New Season [想い出波止場 Remix]
4. Volunteer Ape Man (Disco) [石野卓球 Remix]
5. 1969 [スチャダラパー Remix]
6. 69/96 Girl Meets Cassette [シトラス Remix]
7. Volunteer Ape Man (Disco) [暴力温泉芸者 Remix]
8. Concerto No.3 From There Four Seasons [ドクロ隊 Remix]
9. Heavy Metal Thunder [hide Remix]
10. Worlds'End Humming ~ Reprise (In Hawaii) [小西康陽 Remix ]

オリジナル《69⚡︎96》のほうがポップさがあって聴きやすいのだけれど、こちらのリミックスはそれぞれの人の解釈や個性も織り込まれて、オリジナルを知っていれば「そうきたか」とおもしろく感じるし、オリジナルを知らなくても曲そのものの格好よさを堪能できる。今は亡きhideによる「Heavy Metal Thunder」は最高です。この「Heavy Metal Thunder」を含む最後3曲の流れが大好き。

シークレットトラック96は、ただの悪ふざけのようであり、小山田くんなりの96 年を記録した形なのかと想像してみたりするけれど、これは関係者のみが笑って聴くものだなと思って、今年も途中で聴くのをやめた。その場にいた人たちの盛り上がりや感傷を閉じ込めると考えたらおもしろいと思う。

そして、わたしはわたしの96年を思い返す。《たいして憶えてはいないのだけれど。)


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クボタエリナ
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