2020/01/29 仕事の極意
大童澄瞳『映像研には手を出すな!』第3巻に、映像研顧問・藤本先生による「仕事の極意」が披露される。
必要以上に働かない! 隙を見つけては遊ぶ! これが仕事の極意!(p5)
彼は、部活顧問はブラックなので、日曜や夏休みに部活をすると自分の休日はなくなってしまうと話して、映像研の3人を面食らわせる。その後に続けた言葉が、上記の仕事の極意。結果、3人に発破をかけることになる。その後、藤本先生は金森氏に次のように話す。
遊び方をコントロールするのが、良い管理者ってもんよ。
いい仕事は、いい遊びからよ。遊べ、若人よ。(p7)
金森氏が考えたように仕事を遊び化してもよいし、藤本先生がゲーム機で遊ぶように仕事とは関係のない遊びをしてもいい。(実際は、ゲームだって教員の仕事に繋がることもある。)
仕事を楽しめたらそれが一番効率がよいだろう。とはいえ、仕事の動機も内容も仕方も十人十色だ。だから、仕事に遊びを求めることが難しいこともある。そういうときのために仕事以外に目を向けられる場を持っておきたい。わたしの場合は、本を読んだり、ペンギンに会いに行ったり、ライブや芝居を観たり、新しい料理を試したりすることだ。
仕事といっても、いわゆる「仕事」をする人に限らない。映像研の活動しかり、広義の仕事のことだ。だから、学生にとっての仕事は学習や授業に置き換えてもいい。
今、新たな学びのあり方を勤務校でも模索していて、授業をどのように行うかなどついてよく考える。自分自身を振り返っても、強制される学習はおもしろくなかったし、身につかなかった。今の生徒もそれは同じことだろう。授業はライブなので、教員だけの力でどうにかできることではなく、聞き手の姿勢も大事だ。それをうまく醸成するのが、学びを促すファシリテーター facilitator (藤本先生の言う「管理者」)としての教員の仕事なのだと思う。
映像研のように課外活動であれば生徒は好きに活動すればよいけれど、正課の授業の中で、生徒がおもしろがって学ぶことができる仕掛けは何か。「教える」ことをどこまで手放して生徒の学びに委ねることができるのか。ものすごく迷う。
これまでの試行錯誤を考えると、子供の時分に遊んだ宝探しやRPGをメージするといいのかもしれない。学習者が自ら発見していく仕掛けをつくる。そうなると、肝になるのは「問い」だ。最終的には、卒業論文を考えるように生徒自身が問いを立てられるようになってもらいたいが、まずは教員が学びを促す「問い」を提示する必要がある。だがしかし、「教員とオタクは話し好き」のご多分に漏れず、ついあれもこれもと喋ってしまう。それを堪えて生徒に委ねる勇気が要るのだろう。その心の準備も含め、互いに楽しめる試行錯誤のための種を春までにたくさん仕込んでおきたい。