2020/01/24 うどん屋問題
現在の勤務地における唯一の美点は、おいしいうどん屋があることだ。
蕎麦もおいしいが、選ぶとなると迷いなくうどんを取る。あの白いむっちりしたうどんのおいしさ。たっぷりのお出汁で食べるのはもちろん、カレーもおいしい。釜玉、ざる、なんでもござれ。何とでも仲良しになれるうどんの懐の深さは留まるところを知らない。わたしは「うどんナポリタン」も愛す。笑うなかれ、実際、我が家に遊びに来た旧友がうどんナポリタンを所望し、絶賛した実績があるのだ。
転勤して間もなく、新たな同僚に件のうどん屋を紹介してもらって以来、わたしは仕事帰りに時々訪ねるようになった。
ただし、何年も高野寛ライブに通い、気持ち悪いオタクとしてしょっちゅうサインを貰い続けていても、毎回はじめましての心で臨むことにしている身としては、何度通おうとうどん屋でも常連風を吹かすつもりはない。そういうのは苦手だ。だから、店では「こんにちは」「(注文)」「いただきます」「ごちそうさまでした。おいしかったです」「お会計お願いしましす」しか基本的には言わない。
それなのに。
昨日久々にうどん屋に行ったという同僚が「窪田先生、あのうどん屋に通ってるんですねー。お店の人が『あの先生よく来てくれる』って言ってましたよー」と言う。なんてことだ。なぜ教員だとバレているのか。あの大将は「あの人また来てるな」と分かっていたのか。お客さん全員に「いつもありがとうございます」と大将は挨拶しているではないか。同僚には「えーそうなんですねー(にっこり)」などと返事をしたが、内心かなり動揺していた。
わたしは人の顔を見分けて憶えるのが本当に苦手なので、仕事の上でも苦労している。だからか、他の人も同じようなものだろうと油断してしまうけれど、実際はそうではないようだ。まいったなあ。秋口までは「あげわかめ梅おぼろ」、寒くなってからは「カレー(天ぷらトッピング)」と、呪文のように同じものばかり頼み続けたからか。
それにしても、なぜ顔を憶えられることが苦手かって? だって、なんだか気恥ずかしいではありませんか。