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2020/05/12 バックステージ/過程を愛す

芝居のDVDには特典ディスクとして、演者・スタッフのインタビュー、稽古やバックステージの様子を収めたものがついていることが多い。作品によっては、同じ公演の全景映像を収録しているものがあっておもしろい。本篇の副音声としてついてくるオーディオコメンタリーも楽しい。

わたしはこの稽古の様子やバックステージが見られる特典映像が好きだ。一つの作品がどのようにして生まれるのか、その過程の断片が見られると作品への理解と愛着が深まるような気がする。作り手や舞台をよく知っている人からすれば「そんなものは本番(本篇)を観ろ!」と一蹴されるようなことだろう。それでも、大した解釈もできない者からすると貴重な手掛かりを得る機会になるのだ。

もうひとつ、バックステージ映像が好きな理由は、生身の人間としての演者の一面を覗うことができることにある。演劇作品は舞台の上で完成するから、演者がどういう人物であるかは関係がないのかもしれない。でも、わたしは、素敵な作品に出会ったら、その作品を作った人たちのことを知りたくなる。役者としてのその人の魅力をもっと知りたくなってしまう。自分では少し意外なのだけれど、わたしは思いのほか人が好きで、素敵だと思ったその人を好きになりたいのだと思う。

作り込まれた映画もアニメも素敵だし、好きなものはいくらでもある。
でも、強く心が惹かれるのは、音楽にしろ、芝居にしろ、一回性の生々しさのある表現があるものであることが多い。そこにしか、そのときにしかないものに心ときめく。

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クボタエリナ
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