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2020/01/12 清宮質文―限りなく深い澄んだ空気展@アサヒビール大山崎山荘美術館

友人Kさんと大山崎山荘美術館へ。以前から旧友たちが口を揃えてこの美術館のことを褒めていたので気にはなっていたのだけれど、訪ねるのは今回が初めてだ。小さなトンネルを抜けて緑深い坂道を上る。途中の植物、景色も楽しくて「光画部みたいだ」とか言いながら写真を撮る。その先に古い洋館。漱石も訪ねたという大山崎山荘美術館。

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現在開催中の企画展は「清宮質文―限りなく深い澄んだ空気」だ。この作家の名前は初めて知った。(2007年に滋賀県立美術館で開催された「天体と宇宙の美学」展を見たときに目にしているようなのだけれど、残念ながら憶えていない。このときはコーネルの箱が目当てだった。)
年譜を見ると、これまでにも関東では個展や回顧展が開かれていたようだが、展覧会HPに「本展は、関西ではじめて、その画業の全貌を紹介する機会となります。」とあるように、関西でまとまった数の清宮作品が見られる貴重な機会であることが分かる。

小型のガラス絵と木版画とが多くを占める。蝶・鳥・人の目・夕日・ろうそく・ガラス瓶そして青。同じモチーフが何度も登場する。一見柔らかな色調の作品が多いので和やかな雰囲気の作品なのかと思ったら、どれも孤独で妙に不穏な感じがする。見ていると不安を覚える。

会場で紹介されていた清宮自身の言葉によると、多くの詩人は言葉で詩を書くが、清宮は「絵で詩を描く」詩人なのだという。ひとつひとつの作品で得られる情報は決して多くないので、モチーフを契機に鑑賞者が読み解き、想像する物語の余地が大きい。確かに詩を味わうことに似ている。

ガラス絵や木版画も素敵だけれど、清宮の残した言葉や文章もよかった。断片的に展示作品ととも紹介されていたが、決してその量は多くない。清宮は雑記帳にたくさんの言葉を記していたようなので、何かでまとめて読んでみたい。本展のための図録は制作されていないので、過去に出版された画集や図録を頼りにするしかないようだ。(とはいえ、入館時に配付されるパンフレット(写真)が結構詳しくて素敵です。)

作品を見ていて、脇田和山中現の作品を思い出した。後からインターネットの記事や『版画芸術』178号(2017)を見てみると、彼らの名前とともに紹介されていたので、やっぱりなあと妙な納得をする。

会期は3月8日(日)まで。1月28日(火)から後期の展示が始まるそうなので、またその頃に訪ねようと思う。

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クボタエリナ
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