2020/02/05 ラックライフ《tour2020 Raise The Flag》@心斎橋BIG CAT
アンコールを含めて2時間余り。初めて聴いた彼らのライブはあっというまで、駆け抜けるように時間が経ってしまった。とてもとてもよかった。涙あり、笑いあり、短い時間の間に様々に心が動く。ライブで心躍る音楽は素敵。
アニメ『文豪ストレイドックス』のエンディングで聴いた「名前を呼ぶよ」が大好きで、CDを聴いていた。『文豪ストレイドッグス』とラックライフの縁は深く、アニメ第1期~第3期、劇場版、舞台でそれぞれ曲が使用されている。どれもいい曲だし、ボーカルのPON氏の声もいい。
ただ、聴いていた曲は比較的繊細な曲でもあるので、もっと線の細いバンドなのかと思っていた。
想像はあっさりと覆される。想像の何倍も素敵だった。
今夜ライブで出会った彼らの音楽は、太い音、熱くて、激しくて、でもロマンティック。好きにならない理由がない。疾走する音、かすれる声。そういうものも含めて、ライブの生々しさだ。演奏に込められた熱を浴びる。
今回は新譜《Raise The Flag》レコ発ツアーだが、長く所属した事務所を離れて移籍した経緯も、12年続けてきたバンドや音楽とどのように向き合うかとうことも乗り越えた上で臨むもので、彼らには一入の思い入れがあるとのことだった。PON氏は、音楽が聴き手に伝えることはもちろんだがと前置きした上で「誰と作るかというのも大事」と話した。
また「頼まれてもないのに音楽作って、別になくてもいい音楽を作ってたのを、聴いてくれるひとがいるのは凄いことだ」「ラックライフと名乗りはしたが、ラックライフであるのはそう呼んでくれる人がいるからだ。あなたが俺らをラックライフにしてくれる」と話し、PON氏は泣いた。もらい泣きしてしまう。その話のあとに「名前を呼ぶよ」が演奏される。「ライターライナー」「タイムアウト」と続いた。特に「タイムアウト」は歌詞が今夜の話そのもので、今夜を象徴する一曲だったと思う。
音楽だけの話に限らないけれど、今は作品に触れる手段はいくらでもある。居ながらにしてたっぷり味わうことだってできる。「複製」があるおかげで手軽に広く楽しめることも分かっている。
その一方で、そのものに触れて知る熱量があり、感触があり、それに呼応する心の動きがある。奇しくもPON氏が「俺とあなたの間に音楽がある関係」という言葉を使ったように、その場に介在する(その場にしかない)ものに触れてときめく喜びがある。その喜びを改めて実感させてくれたのが、今夜のラックライフだ。
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《2020/02/05 補記》
ライブを聴き、PON氏の話を聞きながら、好きなミュージシャンが活動を続けることもまた当たり前ではないのだと思った。CDやDVDで聴けるけれど、それでは埋められないものがある。