見出し画像

「乱気流」の時代、自分に問うべきは何か?

先週の土曜日は、大変に濃い学びを
得た日だった。
ここで何度も書かせていただいた通り、
DAF22というイベントで半日ずっと
学び漬け。
その後、会場からは自宅よりも実家の
方が近いので、老親の顔を見がてら
実家に赴いて夕食をとった後、
これまたいつもお世話になっている
「渋澤・ドラッカー研究会」の主催で
「乱気流時代のセルフ・マネジメント」
と題するセミナーをZOOMで受講した。

お話しくださったのは、国永秀男さん。

株式会社ポートエムを経営され、20年以上
にわたってドラッカーの教えを活かしつつ
経営コンサルティングをなさっている、
経験豊富な先生である。

受け取った情報量が非常に多く、濃密で、
ここで手短にまとめようとすると、何か
大切なことがこぼれ落ちるのではないか、
そんな危惧を抱かざるを得ない。
それでもあえて、特に自分の琴線に触れた
部分をまとめておかないと、
「聞きっぱなし」
となってしまい、いただいた情報が何ら
私の身にならないことになりかねない。
ということで、客観的なまとめという
よりは、自分のための備忘メモとして
書いてみようと思う。

今回、最も記憶に残った話は、P&Gで
社長、会長を務めたアラン・ラフリーが、
ドラッカーにアドバイスを求めた際の
エピソードである。
彼が最初に社長に就任した際に、
ドラッカーに相談を持ち掛けたそうだ。
そのとき、最初にドラッカーが発した
質問は、以下のようなものだったという。

「経営者だけができるものは何か?」

この質問に対して、ラフリー氏は即座に
返答することができなかったという。
そして、それがその後のラフリー氏の
深い思考を誘い、やがて氏は
「P&G中興の祖」
と呼ばれる存在にまでなっていく。

タイトルに「乱気流時代」とある通り、
時代を取り巻く環境は厳しく、経営者に
次から次へと、色々なトラブルが降り
かかってくる。
勿論トラブルだけではない。
あれも、これも、やらなければならない
ことだらけ。

だからと言って、何でもかんでも経営者が
対応していたら、経営は成り立たない。
目的に照らして優先順位を付けて、
重要なものから片付けていかねばならない。

そのときの判断軸になるもの。
それが、経営者「だけ」ができることに
集中する、ということである。
経営者以外の人ができるものは、できる
人にアウトソース(外注)すればよい。
そうやって、分担、分業を前提に仕事を
割り振り、経営者でなければできない
仕事のみやるようにするべきなのだ。

この質問は、シンプルながら奥深い。
自分がコンサルティングで人に助言をする
ときも、また自分自身が経営を進めていく
上でも、非常に汎用的な問いであり、
折に触れて使っていきたいものだ。


もう一つ、書き残しておくべきと考えた
のは、ドラッカーが語る「経営の真髄」と、
「成果をあげる働き方」の全体像である。

伊那食品の塚越寛さんの話を引いて、
会社の目的は社員の幸せを実現すること、
といった話も、過去に何度か書いた。
その話と非常に近しい話で、国永さんが
語ってくださった「経営の真髄」とは、
「幸せの創造」だというのである。

誰の幸せか?
どんな幸せか?
幸せとは何を指すのか?
などなど、付随する疑問もまた色々ある
にしても、この考え方には私も完全に
同意である。
人々の幸せ、社会の幸せを実現できて
こその企業活動であり、経営である、
そうあるべきだ。

その上で、「幸せの創造」に貢献すると
いう仕事を成し遂げるのが成果であり、
そのような成果を出すためには、以下の
5つを統合していくことが必要だという
趣旨であった。

・個人のミッション
・組織のミッション
・自分のワークスタイル
・自分の強み
・マネジメント力(知識+スキル)

個人と組織で、目指すべき方向性が異なって
いては、十分な力は発揮できない。
自分の強みではなく、弱みしか使えない
状況にあれば、貢献度は著しく低くなる。
などなど、この5つが同じ方向に向かうよう
統合していくことが大切なのは、当然だ。

そんな当然のことも、いざ自分の身の回りを
見渡した時に、本当にできているかと問う
ならば、口ごもらざるを得ない人が多いの
ではないか。
かくいう私もその一人。
ドラッカーの教えは、一度二度聞いて終わり
ではない、何度も何度も、繰り返し実践を
していくことで、自分の血肉に取り込んで
こそ意味がある。
「いい話を聞いた」で終わらせず、
上記の「問い」を自分に投げかけ、
答えを模索し、即実践、即実行する
ことが求められるのだ。

いいなと思ったら応援しよう!

ahiraga
己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。