マーケティング・ハイペロピア(遠視)あるいはプレズビオピア(老眼)
最近、老眼の進行具合が著しい。
あまりにも近くの字がぼやけて
見えなくなり、やむなく老眼鏡を
新調して1年強。
当初に比べて、明らかに老眼鏡に
頼る回数が増えている。
昨日、マーケティング・マイオピアに
関して投稿した。
「マイオピア」とは「近視(眼)」の
こと。
近くばかりを見て、全体像が見えない、
本質が見えない様子を皮肉ったような
物言いである。
ふと、「近視」があるなら「遠視」や
「乱視」、「老眼」もあるよな・・・
などというアイデアが頭をよぎった。
「遠視」は「Hyperopia」
「乱視」は「Astigmatism」
「老眼」は「Presbyopia」
「乱視」はちょっと仲間外れな気がする
ので、「Marketing」と「Hyperopia」
並びに「Presbyopia」を組み合わせて
Google先生に頼ってみたところ、
やはり同じようなことを考える人が
少しはいた様子。
まず、「Marketing Hyperopia」
つまり「マーケティング遠視眼」と
訳せば良さそうな言葉。
こちらは、「マーケティングの神様」
として名を馳せるコトラー教授が、
1981年の論文の中で、より広い視野、
時間的に長い射程でマーケティング
戦略を見据える態度をそのように
呼んだことが分かった。
もう一方の「Marketing Presbyopia」
についても、カンザス州立大学の3名の
教授の共著で、1994年に書かれた論文の
タイトルになっていることが判明。
こちらの議論の内容は、残念ながら
詳しく調べるにはかなり時間がかかり
そうだったので断念。
しかしながら、「老眼」が眼のピント
調節が効かなくなることを意味する
ことを踏まえると、「近視」にせよ
「遠視」にせよ、どちらかに偏って
しまうことを戒めつつ、遠近の調節が
効かなくならないようにも注意せよ、
そんなことを説いているのではない
かと推測するところだ。
元々の「マイオピア」論文が、1960年
という古さなので、他の論文もかなり
前のものとなっており、もはや引用を
されることもなく忘れ去られている
のだろう。
少なくとも、日本語化されて語られた
ことはほぼなかったように見受ける。
「マーケティング近視眼に陥るな!」
という話を有り難く受け止めて、
改めて顧客志向を徹底するというのは
もちろん良い心がけである。
そこから更に一歩踏み込んで、
「マーケティング遠視眼」を発揮して
遠い未来を見据えた仕事をすることや、
「マーケティング老眼」にならぬよう
ピント調節機能を日頃から働かせて、
その機能が鈍らないように、
鍛え続けることを意識したい。
後者に関しては、
「虫の目、鳥の目、魚の目」
という話を思い出す。
「虫の目」というのは、ミクロの目。
現場を詳細に観察する目。
「鳥の目」というのは、俯瞰の目。
大空から全体を見渡して総合的に理解
する目。
「魚の目」というのは、時流を見る目。
見る対象を時間軸にまで広げ、世間の
トレンドを見る目。
そういった異なる視野、見る目を
自由自在に使いこなし、ピント調節を
巧みに行いながらお客様と対峙していく
ことが重要だろう。