私が人口58,000人の街でウェブマーケティング会社を起業した理由。
このたび、インタビューをしていただく機会を頂戴し、その内容を公開させていただく運びとなりました。
1.株式会社Pinesupについて
――まずは、貴社の成り立ちと事業領域を教えてください。
私たちパインズアップは、主に豊橋市から東三河を中心に全国でWeb制作とメディア制作・運営をやっています。あとは外部顧問として金融機関や行政、地域の大手企業などのWeb担当もしています。
そのほか、「Pickup田原・豊橋」というWebメディアを運営していて、こちらは愛知県田原・豊橋エリアのグルメ・観光・イベント・ローカル情報を発信する地域情報Webマガジンです。現在、同地域にお住まいの6,000人の皆さまに見ていただいています。
コンセプトは「実際に見たことや体験したことを伝えるメディア」で、例えば公園などに私たちが実際に足を運んで、現地の様子(雨の日は滑りやすいなど)や、ご当地の地元民御用達グルメスポット、イベント情報などを発信しています。
起業するきっかけは、400時間かけて作った「はじめてのWeb制作」
現在8歳と5歳の子どもがいますが、第2子の時に私が育児休暇を1年弱取得し、そのまま時短社員として働いていた頃、ちょうど新型コロナウイルス感染症が発生して。 当時は「このままの働き方でいいのだろうか」と、ものすごく葛藤しました。
そんな時、私が情報専門学校を卒業していたことを知っている友人から、Webサイト制作の依頼をいただいたんです。
この時は費用40万円、制作に400時間かけて作りました。その対価としてもらった1万円が、私にとってはものすごくうれしくて。これまでの人生で経験したことのない大きな喜びだったんです。これがのちに自分が起業するきっかけとなりました。
当時の私はトヨタ系の工場にいて、昼間は不動産の勉強、夜にWeb制作の勉強をやっていて周囲からは「何やってるの?」とよく言われていました。というのも、子ども2人がいて、育児休暇を取り、車や家も買って、さらに頑張らなくてはという人生の節目でもあったからです。だから家族からは「一家の大黒柱が会社を辞めるなんて止めろ。おまえじゃ無理だ」と、さんざん止められました。
でもその後、宅建士の試験に合格して、Web制作でも少しずつお金になるようになってから周囲の反応も変わり、「おまえならできるよ」と言われるようになったんです。
この時は「環境が全部変えるんだな」とつくづく実感しました。
「この街が好き。だからこそ起業してチカラになりたい」
この街には結婚後に移り住みましたが、その時から今までずっとこの街と住んでいる人々が大好きです。
でも、私の子どもたちが大きくなる頃には今よりも過疎化が進むことが予想されています。実際、今年(2024年)成人を迎えた若者が500人に対し、産まれた新生児は250人。
つまり半分になっているんです。
このまま大好きなこの街が廃れるのを見たくないし、好きな場所や好きな人々とこれからもずっと関わっていきたい。そのためには街づくりが不可欠だと思うようになっていきました。そういうわけで、ここで会社を興すことを決意したんです。
あえて、この街で会社をやる理由
もし起業するとなったら、普通なら多くの人が大都市を選ぶと思うんですね。私の住む愛知県でいえば、やはり「名古屋市」。人口230万人もいる大都市です。一方で私が住む東三河全体では78万人しかいません。
このような地域でやっているので、どうしても田舎のWebマーケティング会社と見られがちですが、私にとってはこの街で会社をやることに大きな意味があると思っています。
また、街を変えて行きたいとおもっているのに、本社が都市にあったら違和感を覚えますし、好きな街のためにまだまだやれることやできることがいっぱいあるな、と。それが私にとって会社をやる理由にもなっています。
――貴社の社名である「Pinesup(パインズアップ)」の由来は何でしょうか?
8年前から筋トレを始めたのですが、その頃たまたまある名言を目にする機会がありました。それが吉田松陰の「思想を維持する精神は、狂気でなければならない」。
この言葉にとても感銘を受け、「起業する時は、必ずここを訪れよう」と思い、実際に萩市まで足を運びました。
吉田松陰の象徴「松(Pine)」と、上方へ向かうために伴走する「Up」
吉田松陰といえば、江戸時代の終わり頃に山口県萩市で開いた松下村塾が有名ですよね。
伊藤博文をはじめ、高杉晋作、山県有朋などの偉人を輩出した学び舎ですが、ほかにも商人や一般の人もいて、その一人ひとりに寄り添って指導していたと聞き、とても感動しました。
偶然ですが、吉田松陰の命日(11月21日)は私の誕生日でもあり、そこにも強く運命を感じましたね。
だから、私も吉田松陰のようにお客様一人ひとりにしっかり向き合い、お客様の利益を上げ、人々や社会に良い効果と活力を与えられるようにという願いを込め、松下村塾の「松(Pine)」と、お客様のビジネスが上方へ向かうために伴走していくイメージで「上昇(Up)」を組み合わせて「Pinesup(パインズアップ)」に社名を決めました。
2.株式会社Pinesupのクライアント対応
――貴社では、クライアントとどのようなコミュニケーションスタイルで接していますか?重視していることを教えてください。
私たちのミッションは「よくしり、よりそう、よりながく」。コミュニケーションをしながらお客様に伴走していくことを大切にしています。
お客様が考えている本当の悩みを聞く中で、「こんなことやりたい」「あんなこともやりたい」といろいろな話が出てきますが、そうした要望の裏に隠れている「集客」「採用」。その中で本当に何をしたいのか、何を求めているかをつなぎ合わせるようなコミュニケーションを意識しています。
お客様に「見える化」でわかりやすく
具体的には、カスタマージャーニーマップ、ペルソナ、どのような進め方になっていくかなど、必要な情報をシートにまとめて「見える化」してから提示するようにします。
それをたたき台としてWebサイトのワイヤーに入れつつ、「ここはこうしたい」「ここはもう少し○○したい」等の意見や要望のすり合わせを行うようにしています。
初めてWebサイトを制作するケースもありますので、丁寧なステップを踏んでいくことで制作後のイメージ違いを防ぐこともできます。ですので、安心して弊社に任せていただければと思います。
――貴社が丁寧なコミュニケーションをモットーとすることで、クライアント側にとってもWeb制作がうまくいく以外にも良い相乗効果がありそうですね。これまでそういった事例はございますか?
時々、私たちとのコミュニケーションを通じて、「あの時の打ち合わせがその後にも活かされました」と言われることがあります。
例えば、創業当時の思いや会社としてのビジョンなど、普段は忙しくてなかなかアウトプットをする機会がない時、私たちとのやりとりの中でそれらが掘り起こされ、大切にしていることに気づいたり、方向性を再認識されたりしているようです。
また、採用サイトを制作する際には、実際のスタッフにインタビューを取るので改めて会社の良さや欠点を再認識こともあるとのお言葉をいただきます。
私たちもそういう点でもお役に立つことができたことは、とてもうれしく思っています。
――日本の企業の99%は中小企業だといわれています。会社にIT担当が不在の中小企業も少なくありませんが、そうした会社へのフォローアップのようなものはありますか?
地域でやってみてわかりましたが、「社内にITに詳しい社員がいなくて人事に任せている」「転勤して詳しい人がいなくなってしまった」「昔ながらの経営で、IT関連に疎い」といった理由で、社内のIT系に何らかの課題を抱えている会社は多いです。私たちもお客様から外部のIT担当をお願いされることがよくありました。
そこで、こうしたお客様の多くの声をもとに、定額制でWeb業務をサポートするサービス「TANTOU(たんとう)」を立ち上げてITサポート業務をスタートさせました。
主に自社サイトのフォローアップとしてWebサイトの管理、お知らせの更新、デザインの変更、リンク切れがないかなど、IT回りをサポートさせていただいています。
弊社で制作したWebサイトはもちろんのこと、弊社担当以外のWebサイトもいくつか対応しています。
「社内のIT担当の不在」や「本来の業務に集中したい」など、それぞれのご事情もあると思いますので、お気軽に相談していただければと思います。
定額制Web業務サポートサービスTANTOU
3.株式会社Pinesupのコンセプトやこだわり
――貴社のWeb制作における独自のコンセプトやこだわりを教えてください。
私たちのコンセプトは「地域×デザイン」です。採用も集客もやはり「地域」が絡んでくるので、自分たちでしっかりとこだわりや思いを持って事業を行っているようなお客様に、私たちの得意分野でチカラになりたいと考えています。
あとWebメディアでは、実際の声を拾い、それを求めている人々に届けることにずっとこだわっています。私たちの発信する情報が地域の人々の役に立ち、活性化の一助になってほしいですね。
また、逆にメディア運営をすることで弊社を知っていただいたというケースもあります。実際にお客様のひとつである某銀行もそうですが、うちのWebメディアから地域への思いや活動を認知していただき、お問い合わせをいただきました。
本当にありがたいと思います。
――貴社で制作したWebの更新作業のフォローなどはありますか?サポートしている内容についても教えてください。
弊社が提供するWebサイトはワードプレスで制作していて、月1回の定期的なメンテナンスを行っています。Webサイトは家屋と同じで、放っておくとどんどん老朽化してしまいますので、各ページのリンク切れや表示など一連の確認作業をさせていただいています。
弊社の場合、基本的に担当として1名付くので、サポートもお任せください。
4.株式会社Pinesupの強み
――貴社が特に強みとしている業界や領域はどこですか?
BtoB(企業と企業の間で行われるビジネス)を得意としています。特に、採用サイトは「求職者目線」で作っているので、これまでも結果を出していて、自分たちの強みだと自負しています。
今も2社やっていますが、社員さんにガッツリとインタビューさせていただき、なぜこの会社を選んだのかを深掘りしてカタチにしています。業種は多岐に渡っていますが、特に建築が今のところ多いですね。
BtoC(企業と個人の間で行われるビジネス)もご相談はいただくことはありますが、例えば地域の飲食店さんのような場合(集客を目的とした場合)ですと、Webサイトではなかなか改善できないので「食べログ」や「ホットペッパー」などの方が強いですと正直にお伝えしています。
――デザインを考える時に大事にしていることやプロセスを教えてください。
デザインを考える時は、どこまで行っても「自分たちはお客様の利益を考える」「お客様の声を届ける」ことに徹するように心がけています。
最初のヒアリングをとにかく重視し、ヒアリングシートを使って細かく丁寧に1時間~1時間半くらいかけています。そして確認しながらステップを踏んで進めることで、お客様の思いを掘り下げています。
また、弊社ではチラシやロゴ制作も請け負っていますが、それぞれの分野に応じて得意とするデザイナーが担当しています。
5.株式会社Pinesupからメッセージ
――これまで受注した案件の中で、坂田様ご自身が一番楽しいと感じたものはありますか?
私がまだ起業する時のことですが、近所のグループホームの採用サイトを安く作らせてもらったことが一番心に残っています。当時は私自身でデザインとコーディングもやっていた時期で、たしか2つ目か3つ目の案件でした。
現在ほどブラッシュアップできていませんでしたが、それでもそのサイト経由でそれなりの数のスタッフ採用につながったと聞いた時は、本当にうれしかったですね。
誰かのためになって、何より結果が出たことが一番うれしかった。
その時にお客様からいただいた感謝の言葉は一生忘れられない宝物です。
――発注を考えているお客様へのメッセージ
これからもずっと地域に根ざして貢献していきたい、それに尽きますね。
私自身まだまだですが、地域の人々ともっとつながっていきたいと思っています。そこに受注・発注を求めているのではなく、好きな街で好きな人々に囲まれて生きていきたいです。
地域に根ざしつつ、全国からの仕事も対応
私たちの拠点は愛知県ですが、基本的に仕事は全国で受注しています。Webマーケティング会社なので「正しい価値を伝える」ことが得意なので、ぜひこの記事をきっかけにお気軽にお問い合わせいただければと思います。
Web業界はリテラシーの差も大きいですが、その中で私たちパインズアップは自分たちの仕事に誇りを持っています。
Web制作を行う会社はたくさんあります。ぜひいろいろと見ていただいた上で、弊社スタイルのようなコミュニケーションを求めているお客様に選んでいただけたらうれしく思います。
6.株式会社Pinesup(パインズアップ)|会社概要
「コミュニケーションをデザインする」をモットーに、ホームページの企画・設計・デザイン・構築から運用まで一括で行うPinesup。クライアントのビジネスに貢献するため、戦略と他者との差別化を行い、集客や求人募集を目的とした課題解決型のホームページ制作のほか、ロゴ・チラシ・パンフレット等の印刷物制作を行っています。
■社名 : 株式会社Pinesup
■代表者 : 代表取締役 坂田龍司
■所在地 : 愛知県田原市相川町数原56-4
■設立年 : 2022年6月16日
■従業員数 : 8名(業務委託を含む)
■HP : https://pinesup-cd.com/
■事業内容
・Webサイトの制作(企画 / 設計 / Webデザイン / サイト構築)
・Webプランニング(ブランディング / サイト運用 / SNS活用)
・Webサイトの保守、運営サポート
・Webメディア運営:Pickup !田原・豊橋
■営業時間 : 9:00~18:00(土日祝/休)
7.インタビュイー・プロフィール
坂田龍司(さかた・りゅうじ)
1991年愛知県出身。浜松情報処理専門学校を卒業。二児の父。二人目の子どもが産まれた時に育児休暇を10ヶ月取得。それを機に時間の大切さを実感し、改めてWebスキルをスクールで学び、「FormaDesign」を設立。 一年で1,000時間ほどを費やしWEBマーケティングを学び、副業を経て、独立するタイミングで「Pinesup」に屋号変更。現在は主にWebやメディアの制作と運営を行っている。
8.インタビュワー・プロフィール
プロライター集団ものかき
大手出版社出身のプロライターや編集者などプロフェッショナルがチームで活動しております。 法人は上場企業からスタートアップ企業まで、個人様も含めて対応実績豊富。