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立憲民主党は衆院選、なぜ負けたのか?

今回の衆院選、立憲民主党は負けた。

それをまとめようと思う。


1.野党共闘は失敗だったのか。

これはハッキリと違うと断言できる。

少なくとも勝負になった選挙区は今までよりも圧倒的に増えた。

では、それでもなぜ上手くいかなかったのか?

それは「覚悟」が弱かったからだと思う。

自民党は今回、過去3回の衆院選に比べて危機感は半端じゃなかった。

そして、「比例は公明党」を今まで以上に連呼して、選挙事務所にも公明党のポスターを貼り、「こんなところまで回るんか」というぐらいあちこち回った。

下手すれば、自民党の県議より公明党の県議がずーっと候補者の隣にいた。それぐらい徹底してた。

これは、391票差で負けた長崎4区の実態である。

ただ、こういう選挙区は今回あちこちにあったと思う。

実際に自民党の平将明議員も「すごく驚異。今までと緊張感が全然違う」ということを語ってた。


野党の統一候補は「連合」「共産党」に気を遣わないといけないケースが多かったけど、候補者は「勝つためには何でもするんだ」ぐらいの割り切りが今思うと必要だった。

微妙な空気が出てるところはやっぱり負けるのかなと。

逆に茨城1区の福島のぶゆきさんは、「憲法やエネルギー問題では相容れない」としながらも、共産党とは何度も話し合ったとブログに書いてる。


国民民主の小選挙区で茨城5区や長崎1区が気持ちいい勝ち方が出来たのも、「これで負けたら比例復活もない。」という危機感がいい方に作用したとも言える。

もちろん、地方議員や党員が少ないという現実にもしっかりと向き合わないといけない。

付け加えると、上がった2%分はほとんど自民党に流れちゃった。

というよりも、選挙プランナーの松田馨さんですら当日の出口調査で「自民210議席台」という見立てをしていた。

実際、色んなツイートを分析すると途中までは本当にその流れだったのだ。

あの何時間かで、たった2~3%が流れをガラッと変えてしまった。

総裁選の報道量の多さはどうかと思うが、皮肉なもので今年自民党が負け続いたことでこの手の有権者が現れたと自分は考える。

よく、立憲民主党の課題として「無党派層が取れてない」と言われてるが、これも違う。

取れてはいる。ただ、この2~3%の無党派層は当日までなかなか現れなかったと見ていい。

神奈川6区を例にあげると、青柳陽一郎は前回は86,291票で今回は87,880票とむしろ増やしてる。

ところが、与党候補が82,788票から92,405票となってる。

あるいは維新票に取られてるケースも少なからずあった。

福岡2区を例にあげると鬼木さんと稲富さんの得票は前回とほとんど変わってなかった。

上がった9500票ぐらいが維新に流れてしまった。

宮城1区は上がった分は立憲が吸収したけれども、前回希望の党が獲得した2万4000票がそっくりそのまま維新に流れた。

鹿児島1区は結果から見れば、前回の維新と自民票の合算がそっくりそのまま宮路への票となってしまった。

また、東京22区の場合山花さんは2017衆院選の立憲票と共産票分は今回全部固められてた。

ところが、上がっちゃった部分は丸々自民に流れただけでなく、前回の希望の党票が丸々れいわ新撰組に流れてしまった。

接戦区は、維新票に左右されたとも言える。

野党票はしっかりと固められてた。けど、プラスアルファが積み上げられなかったという表現が正しい。


では、なぜそういう投票行動になったのか。

コロナ危機が長期化し、自民党政治への不満もあるが、それ以上に「変わりたくない」「変わることへの怖さ」が勝ったと感じる。

今年の地方選挙や補欠選挙は野党共闘が機能していた。

そして、静岡補選でも流れが変わらず、本当に危機的だったと思う。皮肉なもので、それが

この中でマシンガンズという芸人は「知ってる不幸に免疫がある」と語ってたが、ある意味では凄く今回の選挙を象徴してるのかもしれない。

2.政策の打ち出し方のまずさ。

今の時代、ジェンダー平等、女性の非正規の多さがコロナ不況に繋がってて、それが社会問題のあらゆる根底になってることは否定しがたい事実だ。

女性議員を増やす取り組みは何も立憲だけでなく、民主党時代から行われてる。

民主党時代の2002年から「女性議員ネットワーク」というものがあり、それは今の立憲にも引き継がれてる。

女性の政策、女性議員を増やすこと。

それが重要な政策であることには間違いない。けど、野球に例えるなら、悲しいことに4番バッターやエースピッチャーになれないという現実も同時に突きつけられた。


「弱者に寄り添う」これ自体も決して悪いことではない。

候補者を例に挙げれば、篠田奈保子さん、竹内千春さん、藤原のりまささんは本当にそういう活動をしてきたからこそ政治の世界に進出したんだと思う。

ただ、悲しいことに本当に弱い人は意外と自己責任論に染まっちゃってる。

これはかつての自分もそうだったから理解できる感覚があり、その人たちが頑張っても、自分では到底受け入れられない、受け入れたくない気持ちがある。

そこを認めて、一歩踏み出すというのは物凄く怖いし、今までの自分を全否定しないといけない気持ちに陥る。

だから、自分を卑下することである意味自分を守ってるのだ。自分にも未だにこの感情は残っていて、同級生と連絡を取るのに5年もかかった。

この現実をどこかで理解しないと、いくら正論を言っても上の空に聞こえる。

LGBTの問題もそうだが、「活動してる人とは違うから…」「安易に取り上げないでくれ」「一括りにされるのはちょっと…」ということだってあると思う。


打ち出し方で言えば、米山隆一さんは上手だと感じた。

ジェンダー平等はもちろん訴えるとしながらも「余裕のある人の趣味」に聞こえてしまうこともあるから、優先順位を下げて、

その上で「人に優しい経済、人に優しい改革」を訴えるべきだとした。

政策の基本路線は自分は悪いとは思ってない。

が、間違ってはないんだけどなんかね…を言葉にする作業が立憲民主党には必要だと思う。

「なんかちょっと違う」というモヤモヤをしっかりと捉えられるかという話になる。

間違ってはないからこそ、厄介で難しい。


3.比例票をなぜ稼げなかったのか?


今回、立憲民主党が獲得した比例票は1149万票

民進党が2016参院選に獲得した1175万票とほぼ同じ数字だ。

これも取れてないわけではない、むしろこの数字をしっかり認識した上で、次に進まないと痛い目に遭う。

この手の分析で保守票が…という指摘があるが、保守票は当たり前だが自民党に流れる。

第三極の維新が800万票も獲得したから、そこへのアプローチが課題は後でいろんなところで指摘されるからここでは言わない。

それ以上に課題なのは左派票をしっかりと固められなかったことだ。

国民民主が比例5議席で259万票、れいわ新撰組が比例3議席(本当は東海でも獲得できたから実質4議席)で224万票も獲得したことが自分にとっても予想外だった。

前回、あれだけ内ゲバを起こして、本当に組織というものがないのに希望の党は967万票も獲得してるが、

今回はそのうちの半分が維新に行ってる(467万票)と仮定していい。

残りは国民民主とれいわ新撰組に取られてるという感覚の方が合ってるのかもしれない。

ここが本当に弱いところだと。

単純計算すれば1632万票、れいわの100万票は共産に流れると仮定しても1532万票はある。

共産の416万票は、都議選の勢いから見ればれいわに喰われちゃったとも言える。

最低限のことができてなかった。

ここをしっかり野党第1党が固めないと、保守票奪うとか維新票奪うというのは夢のまた夢だ。

参考にしてほしい言葉がある

中日時代の落合監督は

どの試合が一番嫌だったかって今言われたら、俺は横浜とやるゲームが一番嫌だった。落とせないから。  
  周りはチーム状況考えて、絶対ここには勝てるよなって星勘定するでしょ。そんな甘いもんじゃない。

と発言していた。プロ野球でも優勝するチームは、直接対決で勝つこと以外にも下位チームとの試合をいかにしっかりと勝ちを拾えるかが大事だと言われる。この発想もぜひ持ってもらいたい。

4.これからの立憲民主党に必要なこと


旧立憲のチャーターメンバーでもある阿部知子さんが言ってたのは「政党の第2章」

これは凄くいい言葉である。

その上で何がこれからがキーワードになるのか。

4-1.「雑食」

今回、野党系無所属が軒並み健闘したのかを考えてみると、何でも呑み込む、なりふり構わずやれたからだと考える。

これから、色々な批判がもっと強烈にされると思う。

だからこそ、色んなものを吸収してそれをエネルギーに変えられるか。

代表や幹事長のどちらかはそれが出来る人でないと難しい。

民主系の人たちは総じていい人である。

ただ、これが選挙に限って言えば今回は物凄く悪い方に作用したことも反省材料だ。

辻元さんや平野さんも人が良すぎたんだと思う。そういう人が政治家として活躍できないのはどうかしてる。ただ、悲しいことに今の気風と合わないのだろうか。

 山本太郎もハッキリ言えば性格悪いし、敵も多い。玉木さんもフラフラしてるところがある。

けども、党全体として非常に粘り強い戦いが出来たのも事実。ここは評価したい。

4-2.「民主系の再結集」

連合に関しても色々あるが、個人的に思うのは共産党との共闘を解消したいなら、再結集を促して、締め付けを強めてから言ってくれと。

稲富さんが「新しい代表は、旧民主系がもう一度固まる努力をすべきだ」と発言したが、今回の衆院選はやはりその影響は大きかった。

それを緩和するために新しい立憲民主党にしたのだが、それでも上手く行かなかった。

特に愛知ではその影響が大きかったのも否定しない。

個人的にはこの議論なしに次には進めないと思う。

何なら、玉木代表でもいいとすら思う。

また、連合との関係が今後も上手くいかない可能性を見込んで、連合以外のもうひとつの基盤をしっかり作れるかどうかも必要だろう。

4-3.「SNS対策」

これはTwitter、Instagram、YouTubeの活用ではない。

YouTubeに関しては、「公明新聞」や「しんぶん赤旗」みたいな役割を果たしてくださいとしか言えない。

それ以上に、dappiだけでなく、政治知新、sharenewsjapan、KSL-LIVEなどのネトウヨアカウントへの対策を強化しないといけない。

これを見てる人は結構多いし、国会議員当事者ですらこれに惑わされてる人が結構多いと思う。

立憲も提案とか、法案8割は賛成してると言ってるのもその対策の現れだろう。

しかし、あいつらはそんな生易しいものではない。もっと心を鬼にしないといけない。

悲しいことに「政策中心」だ「提案」だといくら言ったところで、たぶんこいつらは容赦しない。

不思議なもので左派系って国民民主や山本太郎に走りがちなんだよね…

5.最後に

何よりも党の分裂だけは避けること。

「お前ら、希望の党から何も学んでないのか」と言われて、さらに失望されるオチだ。

4年前の民進党代表選挙、無効票が8票もあった。議員票で、だ。

この記憶をしっかりと覚えているのかも問われる。

正直、立憲民主党再建はかなり難しい。

誰が代表になっても、政策を大幅転換、共闘路線の大幅変更は出来ないだろう。 

そして、メディアからクソミソに叩かれる。

本当に冗談抜きで宮迫をメディアアドバイザーとして迎え入れてもいいんじゃないかとすら思う。

曲がりなりにも、今年の地方選挙は共闘で結果を出してた。

そして、今回も完全に失敗したかと言われたら、これも違う。枝野さんが言った「伸びきらない」がピッタリと当てはまる。

だからこそ、みんなで支える。これが出来るかどうかが問われてる。

そして、これだけ負けても1149万5000人もの人が票を入れてくれた事実を何よりも忘れてはいけない。






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