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プライスレスな価値

どんなお店の店員さんや店長さんにも、できれば売れないでほしい、そばに置いておきたい、思い入れの深い商品というのがあると思う。

念願の初Gretschギターを中古で購入。このギターを販売していた大手ギターショップの店長さんが激アツになったほどの、究極レアな1本だ。一般的に大型店の店長の場合、個人客への接客よりも社員のマネジメント業務などが優先されるはずだが、Gretschギターを深く愛する店長さんは、購入の際にじっくりと時間を割き、懇切丁寧に接客してくれた。

店長さんもぞっこんのギターだっただけに、私なんぞが持ち去ってしまっていいのだろうかという思いが、一瞬よぎった。しかし、その店長さんは、一抹の寂しさも抱えつつ、私が購入することをむしろ喜んでくれた。

というのも、8年ほど前、しばらくブランクのあったギターを再開した折に、今回と同じ店でギターを購入したことがあり、まだ駆け出しの新人店員として接客してくれたのが、その店長さんだったのだ。必死だった新人時代に接客したお客さんのことは、特によく覚えているのだという。そんな奇遇なご縁もあって、私がこのギターを持ち去ることを快諾いただいたことは、お墨付きをもらったようで、本当に嬉しく思う。GibsonやFenderよりも、弾く人を選ぶGretschだけになおさらだ。

この1957年型のGretsch DUO JETは、色やところどころパーツは違えども、ジョージ・ハリスンが使用していたことで有名なモデル。このキャデラック・グリーンというカラーは、2015年に販売されたレア中のレアで、眺めているだけで気分がアガってくる。さらにサウンドも素晴らしく、Gretsch特有の鈴鳴りのようなシルキーサウンドが存分に堪能できる、50sロケンロー好きな私にはたまらない個体だ。でも、そうした稀少性以上に、店長さんの愛情が存分に注がれた、プライスレスな価値をもつギターだけに、大切に扱っていきたい。

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