【ゆるエッセイ】忘れたくない人
先日、お世話になった会社の先輩が退職された。
通達があったときは本当に驚いて、思わず「えっ」と声に出してしまった。
私の会社は元々人の入れ替わりが激しい。よく新しい人が入ってくるぶん、隣の人が数年後もそこにいるとは限らないような環境だ。
それでも、先輩はこの先もずっとここにいるだろうと、心のどこかで信じていた。
最終日、ご挨拶をする機会があったので、先輩に「本当に辞めちゃうんですか?」と聞いた。
「うん」という返事に、より一層寂しさが込み上げた。
入社した日に、文章を褒めてくれた。
とんかつ定食を奢ってもらった。
私が不調なとき、さりげなく励ましてくれた。
いろんな恩があるのに、私は先輩のためになにもできなかった。
人が人を忘れるときには順番があるというが、私は先輩のことをなにひとつ忘れたくない。
先輩は「木曜日に飲みに行くとあとは金曜だけだから頑張れる」と言っていたけれど、たぶんそんなことないよな、と密かに思っていたことも、忘れないでおこう。
先輩、いままでありがとうございました。
新天地でのご活躍を、心からお祈りしています
門出を祝って
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