月刊『ピン留めの惑星R』06|2019年10月号
いつのまにか失くしてしまった “たいせつなもの” たちが辿り着く
どこかの星のだれかの物語 ───。
✑ 今号のラインナップ
大島智衣の読みもの、そこからインスピレーションを受けて描いたつきはなこのイラスト、おまけの購読特典ではここだけでお届けする二人の談話を。
✑ 『“郵便物を出せない人”』 大島智衣
○夕方・大通りの路上
職場を出て駅までの帰り道、小脇にしっかりと封筒を抱え歩く人を見ると「わかる」と思う。
帰りがけに、請求書だとか契約書だとか、ポストに郵便物を投函するのを頼まれた人だ。かばんに入れてしまうと、投函するのを忘れてそのまま家に帰ってしまうこともあるから、手に抱えて「ポスト、ポスト」と唱えながら歩いている。きっと。
「アタシって、“郵便物を出せない人”なのよね。必ず忘れて家に持ち帰っちゃう。」
これまでに出会った女性の上司たちは決まってそう言ってお茶目に笑う。そして部下に投函を託す。
わたしだって。
わたしだってほんとうは、“郵便物を出せない人”だ。
だけど、“郵便物を出せない人”の部下たちは、頑張って、職場を出て駅までの帰り道、小脇にしっかりと封筒を抱え、忘れないようにポストにそれを投函する。
わたしもいつか、“郵便物を出してもらえる人”になる日が来るのだろうか。
○同日・駅のホーム
ぼうっと無表情で遠くを見渡している彼を見つけた。
わたし 「ねえ。これは──まだ出会えていない、これからもう少し先にいつか出会うはずのひとが、まだわたしに出会う前、日常は退屈で、じぶんのためには何のやる気も起こらなくて、つまらなくてどうしようもなくてたまらない──ってところをいま、想像しているところ。
だけどわたしたち、そうしてただじっと、身動きを取れずに、ただじっとうずくまっているだけでは、一生出会えないから、きょうのところは、すごくつまらなさそうにしているあなたを想像しているということだけは伝えに来たというわけ。
だからあなたも、きっと出会いに来てね。」
“郵便物を出してもらえる人”にならなくてもいい。
じぶんで思いを届けに行ける人に、会いたい人に会いに行ける人に、なりたい。
電車がやってくる。
いつもの車両に乗り込んで、家路に就いた。
✑ 『秒速220Kmのすれ違い』 つきはなこ
✑ あとがき
帰りがけに郵便物を出すのを頼まれると、無事にポストに投函したあとも、翌日の出勤後くらいまで「アレ? 出したっけ?」と不安に思い出したりしませんか?笑
スマホを新しいものに替えました。4年ぶりです。
OSがアップデート対象外になって、重くてLINEもなかなか開かなくて、それでも「大したことない」と使い続けていましたが、どんどんアプリも使えなくなり、キャッシュレス化の時代の中これでは「大したことある」となったため、ついに新調しました。iOSからAndroidになり、小さな手には余る大きさですが、概ね快適です。
が、買い替えてもうじき一ヶ月……電話はまだ一度しか掛かってきていません。
大島智衣
初めてグレープフルーツの缶詰を買ってみた。甘酸っぱくておいしいけれど、量が多くて飽きる。
試しに豆腐と水菜とシーチキンのサラダに、そのグレープフルーツを入れてみたところ、結構おいしかった。昔から酢豚のパイナップル、カレーのマンゴーなんかが好きだったな、なんて思いながら旦那に勧めたら、めちゃくちゃ不評でした。
つきはなこ
。。・゚・。。 定期購読特典・。。・゚・
✑ おまけ 〜つきはなこ&大島智衣のここだけ談話〜
ここだけでしか読めない二人の談話を盛りだくさんにお届けします☆彡
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