「おおきに」の魔法。
「おおきに」は、死語だと思っていた。
大阪に来るまでは
もちろん、現代の大阪で頻繁に聞くような言葉ではない。
「ありがとう」がメジャーだ。
だが、度々、耳にすることがあるのだ。
その4文字を聞けたときは、ラッキーなような
嬉しい気持ちになる。
そして、その言葉を口にするのは大抵、
たこ焼き屋さんのおじちゃんや
商店街のお店のおばちゃんだ。
何年も前から、大阪のおじちゃん、おばちゃんとして生きてきた人たちから商品を受け取った時にふと言われる、「おおきに」
初めて聞いたのは、確かたこ焼き屋さんでだったと思う。
聞き慣れていないからか、何か言葉を返したくなるから不思議だ。
まぁ、私は大体いつも、「はぁい」とかって返しているのだけれど。
そしてその後、ぽかぽかした気持ちで、
「おおきに」ってどんな意味だろうと思いを巡らせるのだ。
意味は?と聞かれると、「ありがとう」だと思うが、それだけじゃない、余韻を感じる。
今日も良い一日で!とか、また来てね!とか、
そんな感じの。大阪ならではの温かさを感じるのだ。
ケンティーが「Sexy Thank You」という言葉に
いつどこで、そして、誰が使ったって。
みんなが幸せになれる魅力的で
“一段上の「ありがとう」”になりますように。
そんな願いを込めたように。
私にとっては「おおきに」の言葉も、
みんなが幸せになれる魅力的で
一段上の「ありがとう」なんじゃないか
と思うのだ。
「Sexy Thank You」を日常生活で口にするのは
恥ずかしいけれど、「おおきに」なら私も
使えそうな気がする。
私も、誰かに使ってみたいな。
今度、知り合いに何かしてもらったら言ってみよう。
〈680文字〉 #あいうえおエッセイ 「お」