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薬剤誘発性光毒性のシステマチックレビュー

文献

Drug-induced phototoxicity: a systematic review
J Am Acad Dermatol 2018;79:1069-75

チェックリスト

- コクランライブラリーではない
- 質の評価にGRADEを用いている?(modified GRADE scale)
- 検索に用いたデータベース : MEDLINE, EMBASE
- 検索語
   * 見出し語 : chemically induced phototoxicity
   * 見出し語 : phytotoxicity / photosensitivity
   * 副標目 : adverse events toxicity
- 期間 : 1959年5月〜2016年12月
- 対象となった研究の種類 : RCT, コホート研究, 症例報告, 症例対照研究
- 適合基準
   * 研究の特性に関わらず、経口薬の副作用として光線毒性を報告している
- 除外基準
   * オリジナルのデータを含まない(例 : レビュー、コメンタリー)
   * 光線アレルギーを報告している
   * 光線毒性と光線アレルギー反応を区別していない
   * 外用薬による光線毒性を報告している
   * in vitroまたは動物モデルで研究が行われた
- 対象となった研究の言語 : 英語
- 参考文献の追跡はしていない
- 研究者や専門家への連絡をとっていない
- 出版されていない研究の調査はしていない
- 研究数は240件である
   * ファンネルプロットは用いられていない(出版バイアスはなさそう)
- 複数の評価者で評価している
※参考文献 The SPELL はじめてレビューシート

メモ

- 経口薬による光毒性は、大抵報告されないか、誤った診断のせいで、思われているよりも多いかもしれない。
- 確認するためにはリチャレンジテストや光線検査が役に立つが、臨床上の理由であまり一般的には行われていない。代わりに、光毒性の疑われる薬剤のリストに頼ることが多い。しかし、薬剤性光毒性についてのデータが稀ということだけでなく、偏りや不正確さ、証明されていないという問題がある。また、多くの研究が、光毒性と光アレルギー反応の区別なしに非特異性の光線過敏症というラベルを使っている。
- 光毒性の症例1134例の内、427例(37.7%)が薬物治療が不要な軽症で、114人(10.1%)は薬物治療(薬物の中止・変更、経口ステロイドや抗ヒスタミン薬による治療)を必要とした。
- 光毒性反応が見られた患者の353人(31.3%)はFitzpatrickのスキンタイプ1〜3であり、19例(1.7%)は4〜5であった。研究の半数(120)、762例は患者の皮膚の種類は報告されていなかった。
- 被疑薬を長期間(6ヶ月以上)服用している症例が多かった。
- 光毒性と関連する多くの薬物はとても低い質か低い質の根拠で支持されていた。

質の低い報告における関連薬
- アミオダロン
- ボリコナゾール
- クロルプロマジン
- ARB
- NSAID (Nabumetone)
- カペシタビン
- Dabrafenib
- Nafoxidine
- バンデタニブ
- ビンブラスチン
- Clinafloxacin

質の高い、中等度の報告における関連薬
- ベムラフェニブ
- NSAID (ナプロキセン)
- キノロン系抗菌薬
- テトラサイクリン系抗菌薬

最も一般的に報告されている関連薬
- ベムラフェニブ
- ボリコナゾール
- ドキシサイクリン
- ヒドロクロロチアジド
- アミオダロン
- クロルプロマジン

参考資料

あとがき

光線過敏症といえばケトプロフェンテープですが、今回は経口薬の光線毒性に関する論文を読みました。
今まで、私も光線過敏症で一括りにして光毒性と光アレルギーを区別してきませんでしたが、そういった部分に気をつけることで、より被疑薬の絞り込みができるようになるかもしれません。また、服用期間が長い場合が多いということで、時系列から被疑薬を推定する際の参考にもなりそうです。

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