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2声のインヴェンション(J.S.バッハ)の楽曲分析全15曲コンプリートのお知らせ(Piascoreで発売中)
作曲家の山本雅一です。
さて、Piascoreで販売している「楽曲分析シリーズ」の一つ、バッハのインヴェンション全15曲完了致しました!(時間かかった……)
取り急ぎ、インヴェンションの楽曲分析、販売ページはこちらです。
ぜひ、ご覧下さい。
(登録できるデータの容量に制限がある関係で1曲ずつの販売です)
こだわった所
市販されている分析を色々見比べながらまとめていったのですが、どうしても似てくる箇所も出てきます。
それでも、ここだけは他の人と違うよ!と言えと言われれば…あえて言えば「和声分析」でしょうか。一応全ての箇所の和声を書いてあります。IとかV7とかです。念の為。
調査は足りていないですが、世に出ている分析には和声に深くつっこんでいるものが少ない印象です。大抵は場面の区切りになっている「終止型」や、ざっくりと「調性」で分けていますが、全般に渡って細かく、というのは今のところとっても少ないです(ご存知の方がいらしたらぜひご教示下さい)。
タテとヨコの両面から
フレーズや音型といったヨコの流れについては、色々と素晴らしいものに出会えて勉強になりました。上記のざっくり和声とでも結構つかめる事も多いと思います。
でも、タテの響き「ハーモニー」も大切。音楽の大事な背景です。
部分的な書き込みはよく見かけるけど、もっと細部まで書いても良いのではとも思うのです。
ハーモニーが分かると弾くのも楽になったりするんですよ。マジで。
で、曲が楽しくなってよく弾くようになって上手になっていく(主観)。
バッハは音楽における「横」(対位法/フレーズの同時組み合わせ)と「縦」(和声法/ハーモニー)を同時に充実させる事にこだわりました。
ここがバッハの最大の功績の一つであり、バッハの作品が音楽を学ぶために重要とされている要因と思います。
とすれば、効率よく学習するためには、やはりフレーズとハーモニーの両面から分析するべきと思います。弾くのは難しいんだけど。
和声分析が少ない理由(?)
とは言っても、記号だらけで楽譜がゴチャゴチャになっちゃう。和声の知識もある程度必要だし(カンタン予備知識的にページを割いている本はあります)、ピアノがただ好きなんですという人にはそれだけで敷居が高くなっちゃうかも。
売れないと出版社困るし。
確かにそういう事も大切なのですが。私もピアノがただ好きなんですが。
でも書いちゃった。やっぱり、そこも大事だと思うので。
バッハの時代
当時はバロック時代の後期で、同年代のD.スカルラッティやバッハの息子たちが後の古典派につながる様な新しい音楽、流行りの音楽を生み出していました。
一方で、バッハは教会や王のための音楽をますますブラッシュアップさせていきました。亡くなってしばらくすると作品はほぼ忘れられてしまいますが、ロマン派のメンデルスゾーンが「マタイ受難曲」を掘り起こした後は、何だかんだ現在までリスペクトされていますね。これってすごいですよね。最強ですね。本当にセンスが素晴らしいって事なんだと思います。じゃないと歴史に残らない。
インヴェンションの素晴らしさ
インヴェンションに限って言えば、2声なのにここまで表現できるのってすげえなーって感涙ものです。荘厳なオルガン、むせび泣く歌、カラフルなオーケストラ、色々な響きが聴こえてきます。
しかも、色々な音楽が楽しめます。舞曲(ダンス音楽)、アリオーソ(歌っぽいもの)、トッカータ(見せ場ありインスト)、そして主題にこだわったカノンやフーガ(ザ・対位法)と言った盛りだくさんな曲集です。単純に、弾けるとカッコイイ曲ばかり(練習しなきゃ)。おトク!
ちゃんと弾けてくると、他のバッハの曲やヘンデルとかも弾きやすくなります。面白いですね。
最後に
今回、インヴェンションを15曲全て分析してみて、改めて楽曲分析のありがたみを感じたのですが、分析の方法も曲によって多少なりとも変わってくるものだなあとしみじみ感じました。
楽曲分析と言っても、結局は演奏者自身の感性によるものです。「分かった事をどう処理するのか」→「どんな音が欲しいのか」というところまで練り上げたいですね。それこそが分析の本分であると思います。
シンフォニアも少し手をつけていますが、全曲はまだ先の話になるかな…
ちなみに、インヴェンションの他にも色々な曲を楽曲分析しております。
一覧はこちらです。ぜひご覧下さい!
お読み頂いてありがとうございました。
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(2023.6.1追記)
インヴェンションの楽譜部分のみを15曲まとめた「アナリーゼ楽譜」を発売しました。15曲そろっている事も大事。でも解説入れると容量オーバーでPiascoreのシステム的にアウトでした。
でも、書き込み楽譜だけでも見てるとインスピレーション広がりますし、こういうのもアリかと思って出しました。
詳しくはこちらをお読み下さい。
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