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作品を作りあげる デザイン編 ①

私はこれまで展示を目的とした鑑賞用の作品を制作する事が多かったです。
昨年はオーストラリアの国際大会、帝国ホテルスイーツアート展のプロジェクトに参加し、今までに経験ない数のシュガーフラワーを制作をし、運び、組み立てました。2024年は私にとって学びの多い年となりました。
作品を作り上げていく手順はどれが正解という事はないと思います。
これから書くことは、私が普段どのようにして制作の計画を立てるかの一例です。
(そして生徒さん達によくお話ししている内容です)


1. やりたい事を考える

私が展示作品を作る際、まず最初に思う事は、
・誰もやったことが無い事をやってみたい
・誰も作った事がないものを作ってみたい
・観てくれる人が“これがお砂糖なの?”と驚かせてみたい!
・観に来てくれた方に良かったと思ってほしい!
これが私の根底にあります。
観に来て下さる方には、ちょっとでも気分転換になる様な時間になって欲しいと、いつも思って制作しています。

2. テーマを決める

何の作品であるかテーマが伝わる事、また、遠くから作品を見ても作っているものがわかる様、出来るだけシンプルを心がけています。 作っている本人しかわからない様なテーマは避けるようにしています。

3. 作品の見どころを考える

次に作品のフォーカルポイント(見せ所)を決めます。
パッと作品を見た時に一番に目が行く箇所です。テーマをはっきりさせる所であり、とても大切です。
そして作品の見せどころをどの技術を使ってどう形にするかを考えます。
フォーカルポイントが決まれば、それ以外の細部を決めます。フォーカルポイントを引き立たせるデザインを考えます。
デザインは足し算よりも引き算が難しいと思います。あれもこれもやってみたいと思ってもそれを全部取り込むとごちゃごちゃし、最悪はテーマがボヤけます。
そこでアイデアの整理が必要になります。

4. アイデアの整理

デザインは整理整頓だと私は思っています。
整理をする時に、テーマがぶれないようにすることを心がけています。
私は思いつく限りのアイデアを出した後に引き算をしています。
あー、本当はこれも作品に入れたいな…と思う事も沢山ありますが、やりたい事が作品全体を引き立たせるものとは限りません。それをやめてみると意外に作品の全体がしっくりすることも多々あります。
ある程度整理した後、可能な限り設計図に落とし込みます。
ここまでに結構な時間を使って整理します。見切り発車をして制作を始めると途中で辻褄が合わなくなったり、不必要な事をしていたりという事があるので、私は整理の作業を大事にしています。
ただ、設計図を書く段階では判断がつかない事もあるので、その時は作りながら考えます。

2〜4までの事は全て失敗から学びました。
毎回作る作品が完璧だったことは一度もないです。
必ず反省点が出てくるので、いつも次回に繋げれるように考えています。
失敗のお陰で色々な予測は立てられる様になるし、メンタルも鍛えられるので、前の記事でも書きましたが失敗は大事です!

5. 海外のケーキショー

とてもいいことが書いてある読み物があるんです。
国際大会の規定、募集要項です。
コンペとしての募集要項、規定ではありますが、通常の作品制作としても通じる大事な点が記してあります。教科書と言っても過言ではないです。
規定には食べ物を扱う作品として当然の事、そして審査員が見るポイント等が書いてあります。
ジャパンケーキショーにも参考になりそうな項目が沢山書かれていますよ!とても分かりやすく書かれていますので、ご興味ある方は是非参考にしてみてください。
リンクしておきます。

オーストラリアケーキショー
ホームページ
規定
2025年用です。特に8ページ~11ページに大事な点が書かれています。

ケーキインターナショナル(イギリス)
ホームページ
規定
2025年用です。特に7ページ~10ページに大事な点が書かれています。

要に大事なのは
・鑑賞用の作品とはいえ、食べ物を扱っている事が大前提となっている事
・技術がある事
・シュガーの技法を使って世界観が素敵に描かれているということ
・作品にWow!という要素があること
ではないでしょうか。

次回は私が去年に行ったオーストラリアの国際大会に参加した時にどうデザインを考えたのか触れたいと思います。
お読み頂き有難うございます。


このケーキ、20センチ立方以内の小さなケーキですが、設計はきちんと考えています。
前に似た様なケーキを作った時に見切り発車をし、途中で矛盾点を見つけてしまい失敗しました。
以来見切り発車しない様に気をつけています。


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