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アメリカ初の女性国務長官、マデレーン・オルブライト
去る3月23日、アメリカ初の女性国務長官マデレーン・オルブライトが84歳で亡くなりました。1996年にクリントン大統領によって国務長官に任命されましたが、それ以前の1993年から1997年までは、国連大使も務めていました。
オルブライト氏は、アクセサリーでその日の気分を表したことで有名でした。平時は花や蝶のアクセサリーを身に着けていましたが、イラクの高官に「毒ヘビ」というあだ名をつけられたときは、ヘビのブローチをつけました。また、
「繊細な話題からマスコミの目をそらしたいときは、明るみに出さないほうがいいこともあるということをわからせるために、キノコのブローチを身につけた。」
"If she wanted to divert press interest from delicate talks, she sported a mushroom pin to make the point that some things did better in the dark."
(英エコノミスト2022年4月2日号 "Obituary: Madeleine Albright"より。以下引用同じ)
キノコの傘の下に隠しておけ、ということですね。
ナチスドイツとソ連に翻弄されたチェコスロバキアからアメリカに移民した両親を持つ、戦争経験者のオルブライト氏は、自由と民主主義の大切さを実感していました。
「国務長官としてオルブライト氏は、(自由と民主主義を守るための)責任の一端を担えるであろう欧州の同盟を促進し、ソビエト崩壊後のがれきの中から現れた新しい民主主義国を守るために、NATOの傘を拡大した。(東方拡大はロシアへの歩み寄りであって対抗するためではない、と彼女は主張していた。)
"As secretary of state she fostered European alliances that could carry some of the burden, and expanded NATO's umbrella to cover the new democracies emerging from the Soviet rubble. (Eastward expansion was a step towards Russia, she insisted, not against it.)"
NATOは軍事同盟ですから、歩み寄りというのはかなり無理がある気がします^^;
オルブライト氏が国連大使を務めていた90年代は、アフリカで虐殺や紛争が相次いでいました。特に1994年のルワンダ大虐殺を国連が止められなかったことは、後に大きな批判を浴びました。
「国連での仕事は2つの思いを彼女の胸に残した。ひとつはこのような組織があるのは素晴らしいということだが、ふたつめは、人が死んでいるときでも書類のコンマの打ち方を議論しているような、非情な官僚組織だということだ。」
"Working at the UN left her in two minds: first, that it was wonderful that such a body existed; but second, that it was a monstrous bureaucracy which, while people were dying, argued over commas"
今はウクライナの戦争がニュースで大きく取り上げられていますが、世界は以前からずっと、終わらない戦争をしています。
政治の世界にもっと女性が進出すれば、世界は変わるでしょうか?
私が思うのは、男性対女性の数が人口比率と同じように50:50にならないと、女性が少数派のままでは、男が支配する政界で生き残るためには、強硬姿勢の政治家にならざるを得ない気がします。
世界が平和になるためには、すぐに武力を持ち出すのではなく、じっくりと和平交渉をするような穏やかな外交姿勢が必要だと思います。女性の社会進出にもっともっと期待したいですね。