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値上げの代わりに量を減らす「シュリンクフレーション」で国まで縮む!?

最近、いろんな食品の大きさが小さくなったり、内容量が減ったりしてないですか? イギリスでも同様のことが起きているようです。

「"シュリンクフレーション(shrinkflation)"は、イギリスの消費者の頭痛の種だ。長年にわたって、メーカーは値上げする代わりにひそかに商品のサイズを小さくしてきた。食べ出したら止まらないベーコンスナック「フラズルズ」のマルチパックは、以前は1ポンド(約150円)で8袋入りだったが、今は6袋入りになっている。キャドバリー社のクリームエッグは、半ダース6個入りのはずが今は5個入りになった。箱入りチョコレートのクオリティ・ストリートは、2009年には1.2kgだったのに、現在はたったの650gだ。ジャファケーキの箱には、チョコレート付きのビスケットが12枚入っていたが、今では10枚だ。」
"Shrinkflation is a bane of the British shopper. For years, producers have quietly cut product sizes rather than raise prices. A multipack of Frazzles, a moreish bacon crisp, used to cost £1 ($1.36) and contain eight bags. Now it contains six. Cadbury’s Creme Eggs used to come by the half-dozen; now they come in fives. Quality Street, a chocolate box, weighed 1.2kg in 2009; today, just 650g. A box of Jaffa Cakes once contained a dozen biscuits; now just ten."(英エコノミスト2022年2月19日号 "Bagehot: The shrinkflation state"より。以下引用同じ)

こういうのを「シュリンクフレーション」っていうんですね。イギリスではこの現象が行政サービスにまで及んでいるとのこと。

イギリスは高福祉国家で、税金の対GDP比が30%台です(日本は15%程度)。おかげでイギリスでは医療費は無料。しかし、昔に比べれば少しずつ行政サービスの質が下がっていて、しかもそろそろ増税やむなしという状況になりつつあるようです。

そして、こんな時代にわりを食うのはいつだって若い世代です。

「これは若者たちにとっては損な取引だ。会社員の福利厚生など、若い世代が国に頼っている部分はどんどん薄くなっている。そのうえ、自分が使わないサービスにさらにお金を払うことになりそうだ。こうしているうちにも、税制は若者たちが損をする方向に変化している。近いうちに年収3万ポンド(約460万円)の年金受給者の限界税率(課税所得にかかる税率)は20%になるが、同じ年収の28歳の大卒者は、学生ローンの返済と国民保険の増税分を含めれば、実質的な限界税率は42.25%になろうとしている。」
"This is a poor deal for young people. The parts of the state they rely on, such as in-work benefits, are increasingly flimsy. Yet they will be paying more for services they do not use. Meanwhile, the tax system is changing to their detriment. Soon a pensioner with an annual income of £30,000 will pay a marginal rate of 20%; a 28-year-old graduate on the same salary will face a de facto marginal rate of 42.25%, once student-loan payments and the national-insurance increase are included."

「in-work benefit」とは、会社の健康保険や会社独自の年金制度など、サラリーマンの福利厚生のこと。辞書に載ってないので最初のうち何かと思いました。

この問題を解決するために資産家の年金受給者の税率を上げようとしても、政治家にとっては支持基盤である高齢者の票を失うことになるので、タブーということになってしまいます。日本も同じような問題を抱えていますし、これは現代の議会制民主主義の問題点と言えそうですね。

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