英エコノミスト2022年3月26日号 "Free exchange: An EPIC challenge"の記事で、最近出版された話題の本が紹介されています。
『スーパーチャージ・ミー:正味ゼロ実現を速める方法』というタイトルのこの本は、まだ日本語版は出ていませんが、二酸化炭素排出削減のためのカーボン・プライシング(炭素の価格付け)というやり方を批判した本です。
この本には、大切なことは価格付けや炭素税導入よりも「EPICS(extreme positive incentives for change)(行動変容のためのきわめてポジティブな動機づけ)」だと書かれているようです。たとえば、
これなら消費者にとってかなりポジティブな動機づけになりますね。ほかにも自宅を省エネ住宅にリフォームする人には割引を適用するなど、政府や中央銀行が積極的にグリーン化プロジェクトに対して税金を免除したり、補助金を出したりするべきだと述べられているそう。
しかしエコノミスト誌はカーボン・プライシングを支持していて、また、ニュートラルでなければならないはずの中央銀行がグリーン企業に資本の配分をするというこの本の提案に疑問を呈しています。
経済界は政府に介入されることを嫌いますし、もちろん経済市場は自由であるべきなのですが、自由が行き過ぎて環境破壊が進むという問題もあるように思います。
たとえば、ひんぱんにプライベートジェットに乗って海外へ買い物に行くお金持ちがいたとしましょう。地球環境に悪いからそんなことやめろ!と政府が命令したら独裁政治になってしまうので、石油の値段を上げることによって自発的にやめてもらうのが健全なやり方ということになります。
が、今の気候変動まったなしの状況を考えると、そんな甘っちょろいことでいいのか!? という気もします。だってお金持ちはお金はいくらだってあるんですから、石油が高くてもやっぱり買い物には行っちゃうでしょうしね。
いやはや難しい問題ですね。皆さんはどう考えるでしょうか。