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彼女いない歴24年がマッチングアプリで彼女ができた話・後編

こんにちは。
前回の続きです。

4月からは渋谷で待ち合わせして、新宿で飲んで、六本木で踊るんだ〜と、
いなかっぺの激低解像度で楽しみにしていた上京生活が、始まる前から音を立てて崩れ去った。

いやだがしかし、千葉なら憧れの東京は目と鼻の先じゃないか。
ハチ公がなくたって、歌舞伎町がなくたって、クラブがなくたってあたい負けない!
稲毛で生まれ変わってみせるんだから!!

3月下旬、私は稲毛駅にいた。
駅からバカでかいスーツケースをゴロゴロ運んで5分ほど歩くと、指定されたレオパレスにたどり着いた。

玄関を開けると狭い廊下にキッチン、風呂。ドアの向こうが6畳ほどの部屋。ふつうの1Kだった。
冷蔵庫も洗濯機もテレビもあるし、東京じゃないこと以外に不満はない。

時間はもう夜で、移動の疲れもあったから今すぐ寝たかったが、今日中にやらなければならないことがある。
4年くらい前に撮った一番盛れてる写真でPairsに登録して力尽き、上京生活1日目は幕を閉じた。

時は流れて5月、私は嵐のような社会人生活を送っていた。入社式とともに元号は令和に変わり、1ヶ月間毎日6:00起床、21:00帰宅の地獄の新入社員研修を経て、うんこ製造機だった頃の生活は叩き直され、初任給は飲み会と、調子に乗って買ったソファベッド代に消えた。

その間、弛まずマッチングアプリでいいねを送り続けていたが、1、2人しかマッチせず、マッチしてもメッセージが続かず、いまだ誰とも会えていなかった。

そんなうだつのあがらない悶々とした日々に終止符を打つ出来事が起きた。
GWの終わりかけに1人の女の子とマッチした。
アニメ・漫画・ゲーム・カラオケが趣味らしい。
どタイプだ。

メッセージを何回かして、2週間後の土曜日に会う約束ができた。もう既に好きかもしれない。

約束の日。ユニクロで一式まとめて買った一張羅に身を包み、1時間近くかけてはるばる池袋までやってきた。

カラオケが好きと書いてあったので、カラオケに誘ったらカラオケに行くことになった。
店の前で待ち合わせをしていたので、待っていると彼女が現れた。

川島海荷似で写真より可愛い。大当たりだった。
そこからの時間はあっという間に過ぎた。
彼女はいきものがかりや、ヨルシカ、ずとまよを歌ってた。可愛かった。

カラオケも終わり、夜ご飯は居酒屋で軽く飲んだ。
今まで彼女ができたことないんだーとか、そんな話をしてたら帰る時間になった。

一緒に駅まで歩いている最中、私の心は決まっていた。この人と付き合いたい!!!
「あの、もうちょっとだけ話しませんか?」
そう言うと、快くついてきてくれた。

行く宛もなかったが、広場みたいなところがあったので、そこに行った。
座れるところがあったので2人並んで座ると、沈黙が流れた。そして、覚悟を決めた。
「あの、今日一緒に過ごして本当に楽しかったです!会ったばかりだけど、好きです!明日も僕と会って欲しいです!」

「付き合うのは考えたいけど…じゃあ明日も会おう。会う約束してた人いるけど断るね。」

当時の自分は会話の内容とか見た目とか、相当芋だったはずで、どんなに甘めの採点をしても川島海荷似の女の子と付き合えるようなレベルにはなかった。青ひげ、ユニクロ、コミュ障を覆す逆転ホームランがあるとすれば、駆け引きなしの素直な言葉だけだったと思う。

翌日、映画を見た帰りに昨日の返事を聞くと、
「今日来たことで返事にならないかな?これからよろしくね。」
かくして私は、24年間越えられなかったハードルを見事越えることができた。


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