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ナービィがセラフ部隊員となる方法
注意
本記事には、ヘブバンのメインストーリー5章前編までのネタバレが含まれています。記事にあるヘブバンのプレイ画像は、全て筆者がプレイし撮影したものです。
また本記事は、ヘブバンで明らかになっていない部分に関して、筆者が好き勝手に妄想しているだけの内容となっています。
前書き
ナービィがヒト・ナービィへと擬態する詳細なメカニズムは、ゲーム内では現在明らかにされていない。しかし筆者は、こちらの記事で一つの仮説を提示した。
それは、ナービィの設計書を収める「書棚」(人間では細胞の核に当たる)には「空間」が存在し、そこに後天的に摂取した他の生物の設計書(DNAで出来た遺伝子)を差し込む事ができる。そして元の遺伝子を残しつつも、新たに摂取した設計書を理解し、生存機械を組み立てることで、可逆的な擬態を可能にしたということだ。
ここで問題が生じる。DNAは予め書かれた身体の設計書に過ぎず、後天的に得た情報、すなわち記憶や人格が保存されることはない。キイロショウジョウバエのような例外も発見されているが、少なくとも人間のDNAには記憶が保存されていない。
問題というのは、つかさっちによるナービィの説明がこれに矛盾していることだ。
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ナービィがどんなに不思議な力を持っていたとしても、設計書だけを摂取して理解できるのは身体の製作方法だけだ。DNAに記憶は保存されていないのだから、DNAを取り込むだけでは人格や記憶までもコピーすることが不可能なのは明らかだ。
筆者は、セラフ部隊員となったヒト・ナービィは、擬態時にオリジナルの人間の脳を摂取しているのではないかと考える。その根拠として、第1章ではぽむぽむが月歌に擬態した際に何が起こったかを取り上げ、第2章ではづかっちゃんによるヒト・ナービィの説明を取り上げる。
第1章 月歌が生まれた時
オリジナルの月歌が水難事故にあって一ヶ月間ほど、茅森陽向はずっと月歌を求めて悲鳴を上げていた。それを見ていたぽむぽむは、家族を慰めるために、自発的に月歌に変身したと考えられている。
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そして変身したばかりの「月歌」は、様々なことを思い出せず、上手くいかない日々に苛立ちを覚えていた。
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筆者のはこう考える。ぽむぽむは月歌の遺体を見つけることができず、以前摂取していた月歌のDNAを用いて擬態したのではないか。月歌とぽむぽむは長い期間生活を共に送っていた。その中では直接の接触もあり、月歌のDNAを取り込む機会があっただろう。ぽむぽむはいつでも月歌に変身する能力だけは獲得していて、月歌の失踪から一ヶ月ほど経った後、遂にその手札を切ったのではないだろうか。
そしてDNAの摂取で姿形だけをコピーしたため、脳を捕食して記憶と人格はコピーすることはできなかった。そのため「いろいろなことをわすれちゃっている」状況になったのだ。
第2章 上層部の嘘
づかっちゃんは第4章全編Day0にて、蔵っちを元に戻せないかという月歌の質問に対し
上層部からは不可能だと説明を受けているわ。本来、ナービィはごく少量のDNAで相手をコピーできるらしいの。けれど人為的にヒト・ナービィを創り出す場合は、保存されたDNAを一度で使い果たしてしまうそうよ。
と答えている。
はっきり言って、無理のある説明だ。人為的にヒト・ナービィを創り出す時に膨大なDNAが必要である根拠が示されていない。そもそも保存されているDNAとはすなわち死体であるが、体格や欠損状況によってその量はかなりのバラつきがあるはずだ。それなのに人為的にヒト・ナービィを作り上げると、どんな場合でも丁度DNAを使い切ってしまいますと、そんな不自然なことがあり得るのだろうか。
しかしここで重要なのは、同一人物のヒト・ナービィを作り出せるのは一度だけと上層部が説明している点だ。ヒト・ナービィを創り出すために脳を全て捕食させているのなら、もう一度同じヒト・ナービィを作るのは不可能であることに説明がつく。
筆者は上層部が嘘に嘘を重ねていると考える。その理由は、ヒト・ナービィ計画を知っても人類に協力的になってくれる軍人でさえ、自らがオリジナルの人間の脳を丸々捕食して生まれたコピーだと知った時に、自らを生み出した政府へ非常に強い嫌悪感を抱くと予想できるからだ。軍は非人道的なヒト・ナービィ計画を進める一方で、その被害者であるセラフ部隊員たちにすら誠意を持った説明をせず、離反を恐れて虚偽の情報を伝えているのだ。
まとめ
本記事では、まず「セラフ部隊員は、擬態元の人間のDNAを摂取して姿形をコピーするだけでなく、脳を捕食することで記憶と人格をコピーしたのではないか」という仮説を立てた。第1章では、ぽむぽむが月歌に変身した時について考察する事で、筆者の主張の根拠とした。第2章では、づかっちゃんがヒト・ナービィについて不自然な説明をした点を考察する事で、筆者の主張の根拠とした。
最後に、一つだけ説明できていない部分がある。なぜ覚醒つかさっちまでもDNAを摂取すると記憶と人格をコピーできると思っているかだ。例えば彼女が諜報をする上で発見した資料は、研究者が持つ生のデータではなく軍が保有する資料だったかもしれない。しかし、筆者でも気づく違和感を頭脳明晰な諜報員であるつかさっちが見逃すことがあるだろうか。なぜ覚醒つかさっちが誤った説明をしたのかについては、是非とも皆さんの意見を募集したい。