happy bite
こんばんは、ぴろうです。
今回は、西尾維新さん原作の物語シリーズ
”傾物語”のOP
”happy bite”について考えたいと思います。
作詞はmeg rock
作曲、編曲が神前暁さんです。
歌われたのは加藤英美里さん(八九寺真宵)です。
ここから以降は盛大にネタバレしていかないと話せないので、気にされる方はすみませんがお引き取り願います…。
作品での真宵は、迷っているところに阿良々木君と出会ったところが初登場(化物語)ですが、実は彼女こそが怪異。11年前の母の日に交通事故で亡くなった少女であり、今現在も道に迷っており、そして人を迷わす蝸牛でした。
”失礼、噛みました” でお馴染み、阿良々木君の名前をよく噛むのはご愛敬ですよね。また、襲ったり襲われたり、ののしったりなど、阿良々木君と小気味のいいやり取りを繰り広げるのも、シリアスなシーンの多い物語シリーズにおいて息抜きの重要なエッセンスだと思います。
さて、happy biteは、化物語より後の”傾物語” 真宵の迷いが無くなった後の物語で使用されましたが、その翌日(時系列的に)に起こる
”鬼物語”のための曲だと、神前さんが仰っています。
よってここでは、
化物語 まよいマイマイ
傾物語 まよいキョンシー
鬼物語 しのぶタイム
の3作品にも少し触れながら、考えていきたいと思います。
そしてこの歌詞を作り上げたmeg rockすげえって気持ちも言います。
※もちろん曲はだれか1人の力というのではなく、関わった様々な人の生み出したものだということは承知です。しかしそれまで言及しだしてしまうと収拾がつかなくなるので、ここでは歌詞についてのみ記載とします。悪しからず。
それでは歌詞をドン
AメロBメロサビという構成、特にここは変わっていません。
ので以下のように展開してゆきます。
1.Aメロ~Bメロ
2.サビ
3.Aメロ~Bメロ
4.サビ
5.Cメロ
6.大サビ
7.最後に
それでははじまり~
1.Aメロ~Bメロ
ここでのキーワードは
”ふしあわせを しあわせに ひっくりかえしながら” だと思っています。
傾物語で、真宵が亡くなる直前にタイムスリップし、亡くなるはずだった少女の運命を変えた阿良々木君。彼が現代に戻った直後の、2人の会話にこのフレーズが出てきます。
”幽霊になったことは不幸せです。でも、阿良々木さんに会えたことは幸せですね”
素敵…。今はこのくらいで次に行きたいと思います。
はじめて知った気持ちとは何だろう…?不可能なんて実はないのかもしれない
ってことなのかな?それともまた別の気持ちなんだろうかと、ここは妄想しておきます。
最後の”まだ 帰りたくないよ”なんですけど、真宵のキャラソン第一弾にある
”帰り道” の歌詞には ”帰ろう”というフレーズが沢山出てきます。こことも上手く対比になっていて、真宵の心境の変化を歌詞を通して表現したのかーと恐れ入ります…って感じです。1人のキャラクターとしての真宵の完成度?というか作られ方?なんと言ったらいいか言葉が見つかりませんが、物語の展開までも味方につけた歌詞、あっぱれです。言葉遊びが得意な?西尾維新さんが生み出したキャラクターならではなのかもしれませんね。
2.サビ
ここで絶対に僕が言っておきたいことは、思うことは、
”迷いながら でも 迷わずに 君に遭えた” というフレーズに乗せられた 想いの強さなんですよね。
このフレーズは、1サビ2サビ大サビと、一言一句変わらず使われています。
真宵も作中で言っていたように、阿良々木さんと会えたことが幸せだから、だからこそここを何度も繰り返すことで、その想いを伝えようとしているんだなあと思いました。meg rockすげえ。こういう所を歌詞で表現するの震えた。
”たった それだけのこと” とはやっぱりこう考えると、阿良々木君と会えたことなんじゃないかなあと思っています。
けど、それはもしかしたらAメロのことかもしれないし、そこは考える余地を持たせてくれるのもまた、引き込まれるポイントですよね。
迷いながらでも迷わずにっていう所は、なんかちょっと遊び心も感じてしまいます。
君がからかって困らせるという所は、アニメや原作を見ている方なら、ああねーってなりますよね。それをしあわせと表現しているのもまた、響くものがありますね。最後は”噛みしめてる”で終わります。
真宵といえば、噛むを思い浮かべる方も多いのではないかと思います。それをまず曲名のhappy biteで、そしてサビの終わりに噛みしめてるということで、とても頭に残ります。しあわせを噛みしめる、happy biteなんですよね。言葉遊びが過ぎませんか?めっちゃ好きなんですけど。
曲名をみて浮かんだ?を見事サビで回収しきるんです、すごすぎる。
3.Aメロ~Bメロ
1番に比べて短めの展開です。これは考えすぎなのかもしれませんが、
”鬼物語” での真宵の結末を暗示し、2番の尺を短くすることでサビに向かっての ”まだ 帰りたくないよ” が1番とは違った風に聴こえます。
と勝手に考えているのですが…
作曲の神前さんも”鬼物語”のための…と仰っているので、案外この線もあるのかも…?2番だけが短いのって違和感あります…よね?
永遠ももしかしたらあるのかもしれないって言うということは、永遠は無いって思っているということですし、ハッピーエンドにはならないとわかっていても、期待しかけているんです。ここはどう考えたって先を見据えての歌詞だとしか思えないです。2番のこのAメロのたった2行で、一気に切なくなりました。言葉の力ってすごい。
4.サビ
始まりの文言が変わりましたね。
”運命だって 変えるの” となりました。変わるんじゃなくて変える。
これは難しい…。
1番では阿良々木君に出会うことで受け身的に救われた真宵が、
彼と過ごすうちに、まだ帰りたくないという気持ちが芽生えたことを
”運命だって 変えるの” と、能動的に表現したのかな?
終わりがけの ”ずっと気付かないふりをして” というところも
鬼物語への伏線になっていますよね。
ほんと難しいな…。見てくれた人の意見とかも聞いてみたい…。
5.Cメロ
ここでは、昨日、今日、明日とCメロが展開されています。
妙に具体的なんですけど、これは過去、現在、未来という位置づけなのかなーって思ってたんですよ。だけど
これが傾で8月20日、冒頭で言及した鬼が8月21日なんです。
これの明日っていうのはもしやピンポイントで8月21日っていうその日だったのかと、ちゃんと考えて作詞したのかと妄想すると、もうmeg rock凄い。
これほんと作詞する段階でどこまで読み込んでるのか本当に聞きたい。秀逸すぎる。作曲の神前さんが鬼のためにと作った曲に、そこをブチ当ててくる連携プレー、これには本当に参りました。涙腺が崩壊です。
6.大サビ
”いつか 過去形になったって ずっと ずっと 大好きだよ”
最後の最後に言ってくれましたね。
僕みたいにアニメだけをはじめに見た人は、きっと傾を見終わっただけでは
この歌詞の意味って漠然としかわからなかったと思うんです。
けど鬼のかの名シーン、真宵と阿良々木君の別れの場面でこの曲が再び流れることで、あ…ここの事を歌ってたんだ…って。そして最後に”大好きでしたよ”
と言って別れるんです…。涙なしには見れない。
真宵が自身の成仏を覚悟したとき
”阿良々木さんと楽しくおしゃべりしていたこの三ヵ月は、わたしが一人で道に迷っていた十一年を、十分埋め合わせてくれましたから”
と言ったんですよね。だから、ハッピーエンドじゃなくても、迷いながらでも迷わずに君に遭えたことがしあわせで、阿良々木君のことが大好きなんですよね…。たったそれだけで十分だったんですよね…。うう…。
7.最後に
傾の主題歌として選ばれたこの曲ですが、のちの鬼を以って完結する歌詞に、正直涙が止まりませんでした…。この年でこんなに切ないことがあるのかと、アニメで、キャラソンでこんなに泣けるのかと思いました。
こんな真宵だからこそ、僕が一番好きなヒロインなのです…。ロリコンじゃないのです…。
そしてそんな彼らが再開するのはもう少し後の話。
それではこれにて…