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マイ音の巡礼@青森|池田亮司展と立佞武多

8月のはじめ、お寺の取材のため青森へ。せっかくならば「音の巡礼」的な旅にできたらと、取材日よりも早めに青森へ入った。

去年は、南直哉老師のポッドキャスト収録で恐山へ行ったが、その時もとてもお世話になった五所川原・法永寺の小山田和正さんに今年も案内していただいた。

小山田さんとはリアルに会うのは一年ぶりながら、音の巡礼のnoteサークル「音巡り講」での集いなど、なんだかんだ月に一回はZoomでお話ししている。とはいえ、久々の生・小山田さんは嬉しい。

ねぶた海上運行と花火、そしてのらくろ

初日はねぶた海上運行や花火を見に青森へ。空き時間にたまたま入った居酒屋「のらくろ」がすごかった!
言葉に言い表せない、クセスゴで最高のご主人のワンマンショー。突き出しの枝豆とマカロニサラダ、とうもろこし(青森名物の嶽きみ)の置かれた、“友だちの実家"みたいなテーブルの上が、夏過ぎて笑ってしまう。また行きたい。

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海上に浮かぶねぶたは幻想的で、七夕の灯籠流しが起源という説に思いを馳せる。楽しく騒いで、亡くなった人を思う。大切な季節行事なんだ。

続いての花火は盛大で、見事な大玉もいくつかあがった。ここでもやはり「音」に気が向く。ヒュルルル〜とあがっていく高い音のあとに、少し間があってから「ドンっ」という低い音が身体に響いてくる。このディレイに、なんというか職人による粋のようなものを感じる。花火もひとつの音響芸術だ。

池田亮司展@れんが倉庫美術館

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翌日は、小山田さんのくれた招待券で、弘前のれんが倉庫美術館「池田亮司展」へ。
ダムタイプで活躍されていた池田亮司さんの作品は、2000年代初頭に聴いていた。しかし池田亮司さんと言えば知覚範囲ギリギリまでの周波数の音で編まれた電子音楽が特徴。CDで聴くよりもライブで感じてみたいと思っていたので、サウンドインスタレーションの機会は楽しみだった。「音の巡礼らしくなってきたな」とも(笑)

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本展の目玉は吹き抜け空間での大作「data-verse 3」だろうか。美術館の一番大きな空間に映し出されているのは膨大なビッグデータが視覚化された映像。部屋に満たされているのはデータを変換して発せられているであろう音。
後半のクライマックスでは、my bloody valentineのライブ中に訪れるノイズビット(長時間のフィードバックノイズセクション)に似た時間が少しあったが、耳が痛くない。音が身体に染み込んでいくような不思議な感覚だった。もしかしたら知覚できていない周波数の音を身体で感じていたのかもしれない。
れんが倉庫美術館の有機的な雰囲気の中で、館内にながれる音の粒子を泳いでいくような、刺激的で心地良い時間を過ごすことができた。

五所川原のアップサイドダウン・ワールド

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そして五所川原・法永寺に一年ぶりのお参り。大きな本堂が気持ちよく、しばしマイクをもってうろうろ。小山田さんとのおしゃべりも、なんとなく録音をさせてもらった。

いよいよ立佞武多!の前に、どうしても行ってみたかった「釣吉」という居酒屋に連れて行ってもらった。以前、ピーター・バラカンさんがラジオで「ずっとビートルズのかかっている魚の美味しい居酒屋」と紹介していて、憧れだったお店。地元でも人気店らしい。
何を食べても美味しくって、ありえないくらいに安い!ほんとにずっとビートルズだし最高!近所にあったらやばい。毎日通いたい。(法永寺から徒歩で行けるところにあります。)

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お店を出ると周囲はすっかり祭りのムードが漂っていた。五所川原の立佞武多は高さがあるのが特徴で、立佞武多の館からぞろぞろでと出てくる姿になんとなく「機動戦士」や「機動警察」の発進のシーンを思い浮かべてしまう。

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掛け声は「ヤッテマーレ ヤッテマーレ」と勇ましい。太鼓や笛の祭り囃子が鳴り響いて、コロナ以降久しぶりのお祭り気分に浸った。
お祭りの音も、耳で聴くというよりは身体で感じる音だ。太鼓や笛などの和楽器は西洋楽器に比べて、可聴域外の周波数の音が出やすいとも聞く。そして人の声。掛け声もあれば、談笑する声、モノを売り買いする声、子どもたちの声など。空にはカラスやコウモリも飛んでいるかもしれない。
普段は、認識できる音の世界を生きている自分たちだけど、身体に響いてくるような物理的現象としての音を体感した時に、ふと知覚できない世界もあることを思い出す。
「音の巡礼」とは、その実感を集めて、目には見えない世界に思いを馳せる旅、なのかもしれない。

一回休み、からの八戸・普賢院へ

翌朝は、祭りの終わりを待っていたかのように豪雨が始まり、JRが全く動かずに一日足止めとなってしまった。延泊をしてようやく八戸の普賢院さんにたどり着き、住職の品田泰峻さんにインタビューができた。

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普賢院は昨年お参りした時は絶賛建築中だった本堂の建替えがほぼ完了し、12月に落慶法要を控えている。地域に根ざして活動する若き御住職の素直な思いを存分に聴かせていただいた。文字にするのが楽しみなインタビューになった。

八戸も、食や温泉など良いところがたくさんあるので、また機会をあらためてゆっくり訪れたい。(品田さんもいたれりつくせりのおもてなしありがとうございました!)

この記事を書いている 8/12 現在も「東北北部ではこのあとも雨が続き、さらなる大雨に警戒が必要」と報じられています。どうか大きな被害のありませんように。

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