TMR編集室月報23.10|音楽を聴くことが思い出になる
TMR/音の巡礼のこと
10月の取材は、僧侶とイラストレーター二つの顔を持つ中川学さんにお誘いいただいて、京都・永観堂で行われていた夜間拝観「PureLand Lights」へ。永観堂の境内にある池の上で僧侶たちが法要を行ない、背景にはプロジェクションマッピング。幻想的なアンビエント音楽も流れていて、今まで体験したことのないような音風景だった。
詳しくは近日中にWebサイト「お寺のじかん」での連載「お寺さんの音風景」にてレポート予定。音も録音させてもらったのでお楽しみに!
ついでに「AMBIENT KYOTO 2023」にも足を運ぶことができた。メイン会場は昨年「ブライアン・イーノ展」をやっていた、京都中央信用金庫 旧厚生センター。東本願寺のすぐ近く。
出展作品は Corneliusが3箇所と一番多かった。最新作「夢中夢」の収録曲(1曲はシングルカットのカップリング)をZAKによる立体音響で聴くことができ、それぞれライティング・映像・霧の演出で楽曲の世界観を拡張体験するというもの。どれも力の込められたサウンドインスタレーションだと感心したけど、展示全体のタイトルとの不一致はあるなあと、、、。
山本精一さんの作品(本展のための書き下ろし曲+リキッドライティングのアーティストによる映像)がとても気持ちよくて長時間浸ってしまった。彼が最も「ANBIENT KYOTO」を体現しているように思う。
音のこと
12/2(土)、神谷町・光明寺にてアンビエント〜電子音楽のイベントが開催される。音楽レーベル「901 Editions」の15周年記念パーティーということで、Rie Nakajima(中島吏英)、Konrad Sprenger、Masaya Kato(加藤 雅也)、Fabio Perlettaによるライブパフォーマンスが行われる他、主催のFabioさんが共作していた、故・岡田晴夫さんとの楽曲が流れるトリビュートの時間もあるそう。
主催者のFabioさんに、はじめに連絡をもらったのは7月。以前、光明寺で12kの周年記念イベントをやった時にお客さんとして来ていたらしく、久々に日本に行くので光明寺で自身のレーベルのショウケースライブをやりたいという依頼だった。
レーベルのリリースアーティストリストの中に、Haruo Okada の名前を見つけて、縁を感じてお手伝いすることにした。岡田さんは、いなくなったあともこの世に人のつながりをつくりだしてくれているような感じだ。不思議だけど、そういう人なのだろう。ありがたい。
ご予約はGoogleフォームにて受付中。ぜひ会場で会いましょう。
※ 岡田さんとのことは以下の記事に書いています。
・cero - eo
ラストを飾る「Angelus Novus」の美しい余韻が好きで、何度も聴いてる。 11曲入り2枚組、45回転の贅沢仕様。
お寺のこと
10/29 伊豆の国市 正蓮寺にて、雨あがりの報恩講にお参り。法話のご講師は佐賀枝夏文さん。聴衆にやさしく語りかけるスタイルで、ご自身の半生と仏さまのお話し。お人柄が伝わり、笑いも涙もじわり。ちょうどいい、この感じ。素晴らしいな。
自分が選曲した音楽のプレイリストを友だちに送って喜んでもらえると嬉しいように、気のあうお坊さんが呼んでくれたお坊さんのお話しに感動できることは、またうれしい。宗教的感性をおすそ分けしてもらっているような。
報恩講のあと、レコード好きの佐賀枝さんが、正蓮寺の遺贈レコ棚からデューク・エリントンを選んで、古いオーディオシステムのノイズ混じりのあったかい音楽を一緒に聴いた。
針を落とす前に「今から聴く音楽がなんだか思い出になりそうですね」と言う佐賀枝さんの笑顔をみて、良き報恩講だったなあとしみじみ。
ありがとうございました。佐賀枝さん、そして正蓮寺に。
宇都宮へ
10/26、天台宗栃木教区布教師会 実践布教研修会にて「活動事例にみる これからのお寺の可能性 〜仏道を伝える場のつくりかた〜」というタイトルの講演をさせていただいた。とにかくたくさんのお寺の場づくり事例をご紹介して、時間いっぱい喋りきった。
最近思うのは、参加者それぞれのお寺のおかれている環境次第で、興味関心の度合いやモチベーションも千差万別であるということ。特に、続けていけるかどうかボーダー上にあるお寺の方々に対して役にたつ情報を届けたいと思うけれど、そういった方はなかなか忙しくて参加ができない事情がありそうだ…。もう少し細かくフレキシブルに、色んな場所にいって喋りたい。
翌日は久々の光琳寺 aret!奥に見えるトレーラーハウスが増えて進化していた。宇都宮近いし美味しいし、飲み屋も色々あって楽しい。住んでる人の満足度が高そうだなと思った。
井上広法さんは宇都宮という地方都市でお寺が輝くためのツボがわかっているように見える。aret という箱に地元のNPOが入居することで、際立った人たちが流れ込んでくる。月一のラヂヲ体操が社交の場となり、生まれて育っていくコミュニティ。その人たちにとって、光琳寺が何らかの「ひいきの場所」になっていく。
取材記事|現代の人々の生活に、お寺がとけこむために「行い」が導く仕掛けをつくる
『地域寺院』10月号巻頭「まちに開く、まちを拓く」にて、長崎県大村市 真宗大谷派 正法寺を取材。坊守の長野文さんがはじめた月一報恩講「行いがわたしを導く時間」(通称おこみち)は、お寺がこれまで重ねてきた取り組みに「光をあてなおす」ことで、風景をガラリと一新させる発明だと思う。
浄土真宗以外の宗派でも参考にできるような本質的なアイデアなので、是非多くの方に読んでみていただきたい。今回の記事を門徒さんたちも喜んでくださっているというのも嬉しい。表紙もプロフィール写真もうまく撮れたし、見出しコピーも気に入っている。
取材記事|秩父札所活性化に全力投球の副住職に聞く
『月刊住職』10月号は埼玉県・秩父の曹洞宗 法性寺 荒谷哲巨さんにインタビューさせていただいた。荒谷さんが始めたという「和尚さんと歩こふ」というイベントは、秩父札所三十四ヶ所観音霊場をお坊さんと一緒に歩けるというもの。お坊さんと一緒なら安心だしお話し聞けるし、歩いてみたい人にとっては最高の企画共に歩いた記憶は強く残るし、お参りしたお寺は特別な存在になる。
味の巡礼
・裏庭(三島)
・串やき 鳥政(大塚)