夏だけが僕に微笑む
すっかり夏になった。
朝は容赦のないコンクリの照り返しに焼かれ,夜は冷めやらぬエネルギッシュな暑さに揉まれる。
でも私はどの季節と比べても一番夏が好きだ。夏はいい。暑さにあえいで過ごすもよし,エアコンを入れて涼むのもありだ。
夏は日焼けをする以外,どこを切り取ってもいいが,中でも夜が過ごしやすいのが最高だ。
私は夜が本当に好きなのだ。1夜あれば完全に昼夜逆転することができる。
こういう所を鑑みてもやはり私は普通の人間生活に向いていないのだが,どうしてこの年までそんなことを自覚しなかったのだろうか。
それはさておき,夏になるといつでも勝手に心が元気になってくる。
エモいだとか青春だとか,遊べるとか夏休みとか,そんなものはもうなくなってしまったのに,今年も暑い日差しを浴びて心が元気になってきた。
どんな人間と一緒にいても必ず心が冷たくなる瞬間があるのに,夏だけは私を裏切らない。
どうか冬が来ないで欲しい。こんな真綿で首を絞められるような毎日が,夏にかぶっていることが悔しい。精々落ち着くのが秋なのが辛い。
夏よどうか,ずっとそばにいておくれ。