見出し画像

【開催報告】ピルコンルーム no.39「雰囲気よりも大切なものって? #性的同意 ワークショップ」

ピルコンのnoteを開いていただき、ありがとうございます!ピルコンフェローのジャル、ほのか、ごっしーです。
このnoteでは、ピルコンが主催するユース世代向けオンラインイベント「#ピルコンルーム」のレポートをお届けします😊

💡オンラインイベント「#ピルコンルーム」って?
NPO法人ピルコンが主催するオンラインイベント「#ピルコンルーム」。大学生や若手社会人などのユース世代を対象に、身近な性をテーマに安心して語り合いたい方向けに定期開催しているイベントです。

ピルコンでは、5月19日(木)19時半より、 #ピルコンルーム no.39「雰囲気よりも大切なものって?#性的同意ワークショップ」を開催しました!
今回は「ちゃぶ台返し女子アクション」の大友久代さんと戸谷知尋さんをお招きし、「性的同意」をテーマにお話を伺いました。
ゲストトークでは、『性のモヤモヤをひっくり返す!ジェンダー・権利・性的同意26のワーク』の内容をご紹介いただきながら、「性的同意」や「バウンダリー」をテーマにディスカッションとワークを通じて参加者の皆さんと考えました。
今回のイベントに参加できなかった方、今後イベント参加を迷っている方、もちろん参加してくださった方も、ぜひ最後までお付き合いいただけますと嬉しいです✨


ゲストトーク

1.グラウンドルール&「ちゃぶじょ」とは?

今回ゲストにお越しいただいたお二人は「ちゃぶ台返し女子アクション」にて、ジェンダーをはじめとする差別・暴力をなくす活動に取り組まれています。
その取り組みの中で特にワークショップ(WS)を重視されており、今回のピルコンルームでも、WSを通して一緒に性的同意について学んでいきます。
それではレッツGO!💪

WS実施にあたり、今回のピルコンルームがより安全な場所となるために、5つのグラウンドルールと休憩室(※)が設けられました。

【グラウンドルール】
1.話したくないことは話さない、話させない
2.この場で聞いた個人的な話はこの場でとどめる
3.他の参加者体験、感情を否定しない
4.相手を尊重した言葉遣いをする
5.気分が悪くなったら、担当にメッセージ
6.時間をみんなで守りましょう

※休憩室:WS中などに気分が悪くなった場合に、一時退出などに利用することができるzoom内のブレイクアウトルーム

私自身、性についての話題はもっとオープンに語られるようになるべきだと感じる一方で、それは話題に参加する人にとっての心理的安全性がきちんと確保されて初めて成り立つものです。イベントでは戸谷さんからグラウンドルールについて説明いただきましたが、「お願いのように思われることもあるけれど、その場に参加するひとりひとりが安心できる場作りを一緒にしていくという約束である」という言葉を聞いて、改めて身が引き締まる思いでした。

2.WS①性的バウンダリーを学ぼう

それではいよいよ本編に移りたいと思います!ワークショップ(WS)では
・ゲストトークパート
・参加者の方々によるディスカッションパート
の2段階の構成に分けてWSが行われました。

1つ目のワークのテーマはバウンダリーです。
バウンダリーという言葉、皆さんは聞いたことがありますか?

バウンダリーというのはコミュニケーションや心理学において重要な概念の一つで、直訳すると「境界線」、自分と他者の間にある適切な境界線のことを指します。
この境界線があいまいだったり、きちんと引くことができていないと、相手に振り回されたり、あるいは逆に期待の押し付けにつながったりすることも。

今回のワークでは特に”性”についてのバウンダリーについて着目していきます。

⭐性的バウンダリー
相手や自身の性別にかかわらず、「付き合っている人はいるのか?」と聞かれたり、「急に体を触られた」、あるいは外見について性的に言及されたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
それに対し、「嫌だな」「不快だな」「うまく言えないけどモヤモヤする」「話したいけど誰かに相談しにくい…」そんなふうに感じた経験がある方もいると思います。

そうしたものがなぜ不快に感じるのか?ということに関して、大友さんは性的バウンダリーが侵害されているからだと指摘します。
性的バウンダリーが尊重されていると、自分にとって安心できる領域が守られていることになります。それは、自分の意思が尊重されているという安心感に繋がります。
しかし、他者によって性的バウンダリーが侵害されている場合、それは自分の領域に他者が侵入している状態です。

人それぞれ性的バウンダリーがどこに引かれているか、目で見ることはできません。
また、どのぐらい快/不快に感じるのか、安心できる領域の範囲も異なります。そのため、自分や相手の越えられたくない一線がどこなのか知るためには、意思をしっかりと確認することが大切です。
そのために、自分自身のバウンダリーを知り、自分で決めることが、まずは第一歩になります。

イベントでは実際に、ワークを通して参加者の皆さんでディスカッションを行いました。
noteでもご紹介させていただきます!
(これを読んでいる方も、よかったら実際にワークに取り組んでみてください!)

⭐WS開始!
当日は、様々なシチュエーションについて、自分がどれぐらい当てはまるか考えてもらい、意見を共有しました!

『性のモヤモヤをひっくり返す!』より引用(無断転載・転用禁止)

筆者(ジャル)としては「わ、わかる〜〜〜!!!この小さな部分でもすれ違ったり、人との違いを如実に感じる!!!!!」と大共感な項目でした(笑)。
イベントでも各グループにて様々な回答が交わされたようです。

このワークで考えたように、いつ、誰と、どのように性的な関わりを持つかは、自分自身で決める権利があります。これを性的自己決定権と言います。

スライドのイラストにあるような、他人との距離感、SNSを写真に上げたいかどうか、先ほどのワークで出た①~④の選択も同様に、自分で決めることができます。

皆さんはいかがだったでしょうか?ぜひ身近な人、周りの人とも話し合ってみながら、その違いを感じてみてほしいなと思います。

ワーク①のポイントをまとめると…

・バウンダリーに正解はない、人それぞれ異なる
・バウンダリーを守るには、自分の言動が相手にとってどうなのか、はい/いいえなのか、というところを確認する必要がある。
自分がされて嫌なことを相手にもしない、というのでは不十分で、気が付かないうちに相手とって嫌なことをしている可能性もある。

では、人それぞれ色んなバウンダリーがあることについて理解した上で、自分はこうしたい/したくないという気持ちは、どのように伝えたらよいのでしょうか?

3.WS②ピザで学ぼう!性的同意とは?

⭐ワークを始める前に
ここまでバウンダリーの話をしてきましたが、今度は性に関わるバウンダリーを相互に確認していくというステップになっていきます。

まず、今回のテーマの一つでもある性的同意について、戸谷さんから解説いただきました。

性的同意とは、全ての性的な言動において確認されるべき同意のことです。ここで重要なポイントは、性的な言動が行われる前に、お互いがその行為に対して積極的であると意思表示をしていることです。

また「性的な言動」と聞くと性行為だけを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、手を繋ぐ、キスをするといった身体接触、性的な話題を話す/性的な画像のやり取りなども含まれます。

また、性的同意をとる責任は性的言動を始める側にあります。

戸谷さんは、ちゃぶじょの活動を通して「自分の意思を伝えるのが大切だと思った」という感想をよく聞くそうです。それは間違ったことではありませんが、いざという時は驚いたりフリーズしてしまい伝えるのが難しいこともあるといいます。」

その場合は、断れなかった方が悪いのではなく、意思を伝えられる環境を整えなかった、あるいは同意を得ずに、勝手にそういった性的な言動や性的行為を始めた側に明確に責任があります。
筆者(ジャル)も、このことを多くの人にしっかり知っておいてほしいなと思います。

⭐性的同意を取る際の注意点
ゲストトークでは、積極的な性的同意の形成にあたって、戸谷さんから5つのポイントを教えていただきました!

①「ど」どういを毎回必ずとろう
一回OKしたからといって、次もOKとは限りません。毎回、必ず同意を取りましょう。

②「う」うーんや無言は同意じゃない
無言や渋っている時は同意したことになりません!
相手が同意したと分かるのは、明確な意思確認ができたときだけです。

③「い」いいえと言える状況でとろう
相手が自由に断れる状況かを確認しましょう。上司や先輩など、立場が上の人から言われた場合など、力関係で嫌といえない状況があるかもしれないことを想像しましょう。
もし、自分の立場が相手より上だと感じられる場合は、同意をとる時に「いいえ」と言わせるのではなく、「Aをする代わりに、Bをするのはどう?」など、選択肢を提示するというコミュニケーションの工夫をすることもできます。

④「と」途中でもやめよう
ある行為に対して相手が同意しているとしても、その次の行為や他の行為に同意している訳ではありません。また、最初は同意したけれども、途中でやっぱりやめてほしい、と思ったら、その行為を最後までする必要はありません。もし相手から「やめて」と言われたら、途中でもすぐにやめましょう。

⑤「は」相手の判断力を確認しよう
もし、相手がお酒を飲んでいたり、薬の影響で判断力が低下していたら、その人は何を聞かれて何を答えたか、はっきりと分からないかもしれません。同様に、寝ている人や、性に関する知識、同意能力がない人も、同意することはできません。相手が性的言動について、同意する判断力があるかどうかを確認し、なさそうな時は性的言動を始めないようにしましょう。

⭐WS開始!
ではこれから、ピザを作ります。

ピザを🍕🍕🍕

早速、注文票からみていきましょう😉じゃじゃん!

戸谷さん曰く、このワークでのポイントは「どんなピザができたのか」ではなく、ピザの注文をまとめる中でどんなやり取りがあったのか、コミュニケーションの過程を意識することだそうです。

当日は3つのグループに分かれてピザを作成し、三者三様......ならぬ、3グループ三様のピザが完成しました!
ピザを作る過程では、アレルギーや好き嫌いの有無、そもそもピザが好きかどうかなど、色々なポイントを確認したようです。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました🍕

⭐このワークで行われたこと
このワークで1枚のピザを何人かで決める時、知らず知らずのうちでも、実はそのグループの人々は合意形成プロセスというものに参加しています。

一枚のピザを何人かで作る、というワークでは、それぞれが積極的に「食べれないものがあるか?」「他に食べたいものがあるか?」「好きなのか/嫌いなのか」「苦手だから少なめに」などのようなやり取りがありました。

相手がどうしたいと思っているのか、それをどのように確認するのか。なぜ確認するのか、話し合ったり、コミュニケーションを取ること。これがまさに合意形成プロセスであり、性的同意も同様に意思確認をし合うことが大切です。

性的同意と聞くと難しく感じる人もいるかもしれませんが、こうしてみると「同意形成」という行為そのものは、普段の生活の延長線上にあるやり取りなんだなと実感しました。

Q&A

当日は、ZOOMのチャットに寄せられた質問を取り上げていただきました!
ここでは、質問と回答の一部を共有します✨

Q.性的同意は口頭で行われる場合が多いと思うのですが、行為が行われた後に性的同意がなかったことを証明したり、逆に同意があったという証明になるものは、口頭以外にありますか?

A.
(戸谷さん)
昨年法律が改正されました(※)が、それによって実態がどう変わったのかというのは本当に難しいところだと思っています。結局、同意があったかどうかに関しての説明責任を被害者に求める風潮はメディアなどにもありますし、「それは嘘だったんじゃない?」と被害者を責めるような二次被害も起き続けています。なので、現状としては、同意があったかどうかというのを説明する、みたいな話に持っていかないようにするというのが重要なんじゃないかなと私は思っています。

(大友さん)
同意があったかどうかを争う以前に、性行為があったかどうか、デートレイプドラッグを使ったかどうか、といったところを争う場合もあります。デートレイプドラッグについては、全国の警察に簡易検査キットが配布されたというニュースもあったので、アクセスしやすい状況にはなってきているのかなという印象です。ただ、証拠の収集みたいなところばかりに話が進むのではなく、双方の上下関係やその時の状況がどうだったのか、といった点について丁寧に見ることも大切だと思います。

※2023年7月に刑法で「強制性交等罪」が「不同意性交等罪」に改正された。これを受けて、同意がない性行為を犯罪に問うことができるようになった。

当日は他にも、様々な質問・コメントが届きました!
お答えいただいた戸谷さんと大友さん、ありがとうございました🙌

ディスカッション

ゲストトーク・Q&Aの後は、参加者やピルコンフェローでディスカッションを行いました。各グループで簡単に自己紹介をした後、ワークショップを通して、これからの自分の行動に取り入れてみたいと思ったことについて話し合いました。

ディスカッションのなかで、共有された意見・コメントの一部を紹介させて頂きます。

・性的同意は男女間だけだと思っていたが、友達間などのバウンダリーも意識していきたい。
・性的同意というと、同意を言わないといけないというメッセージになりがちですが、まずはそれぞれがバウンダリーを意識するということが大切だと思いました。

ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

参加者の方の声

・同意を理解するためのワークについて、参加される方に自分ごととして考えてもらうためのアイデアがとても参考になりました。
・ピザのワークショップは、合意形成には、話し合うことが大事ということがわかる内容だと思いました。黙っていたらピザはできないし、ひとりよがりのピザになってしまうから、みんなが一言ずつ話して、これはどう?と聞きながらやることがとてもよかったです。

アンケートにご協力頂いたみなさま、本当にありがとうございました。またお会いできることを心より楽しみにしております!

ピルコンからのお知らせ

書籍のご案内

今回お越しいただいた「ちゃぶ台返し女子アクション」さんから、「性のモヤモヤをひっくり返す!ジェンダー・権利・性的同意26のワーク」という書籍が発売されています。

今回イベントで学んだことを、もっと詳しく知るのにもぴったりの一冊です。
(素敵な表紙は思わず並べたくなってしまいます…!)
ぜひお手にとってご覧ください😊

最後に

最後まで読んでくださってありがとうございました!ピルコンルームでは、性について安心して語り合いたい、一緒に考える仲間がほしいユース世代のご参加をお待ちしております。イベントの後にはアットホームな交流会「ほうかごピルコン」も開催しているので、性や性教育について気軽に話せる仲間がほしい方におすすめです。
(ちなみに、ピルコンのイベント告知はinstagram等各種SNSやPeatixで通知を受け取ることができますよ👀)

ピルコンはTwitterやInstagramでも正しい性の知識やイベント情報などを発信中です!
noteと下記SNSのフォローをぜひぜひよろしくお願いします!

💙ピルコンTwitter
💚ピルコンInstagram
💜ピルコンTikTok
💗ピルコンYouTube

それでは次回もお楽しみに! 
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
この記事を書いた人
○ごっしー
早稲田大学文化構想学部の4年生。生まれた環境や性別にかかわらず、全ての人が正しい性の知識や望む手段にアクセスできる社会を目指して、ピルコンフェロー/インターンとして活動中。

○じゃる
大学院でサービスデザインを学ぶ傍ら、性教育や人権について少しでも多くの人に伝え、生きやすい場を増やしたいという思いからピルコンフェローとして活動中。自認する性はノンバイナリー🏳️‍⚧️人生も道も迷子になるのが得意。

○ほのか
大学で看護を勉強している大学2年生。
全ての人々が持つ権利を生かせる社会実現のために日々勉強中💫
個々の知識を持つことの重要性を感じピルコンでフェローとして活動中🌈


いいなと思ったら応援しよう!