【活動報告】#ピルコンルーム no.29「性犯罪、加害者臨床ってどんなこと?」
こんにちは!ピルコンインターンのゆきこです!
ピルコンnoteを開いてくださって、ありがとうございます。
このnoteでは、ピルコンが主催するオンラインイベント、ピルコンルームのレポートをお届けします!今回も役に立つ内容が盛り沢山なので、ぜひ最後までお読みください😊
ピルコンでは、10月24日(月)18時半より、 #ピルコンルーム no.29「性犯罪、加害者臨床ってどんなこと?」を開催しました!今回のゲストは、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳先生です。イベントでは、アルコール、薬物、痴漢をはじめとする様々な依存症や性犯罪加害者の治療などに長年携わられた斉藤先生のご経験から、性犯罪の実態や課題についてお話を伺いました。
性被害を予防するためにも、性犯罪加害者やその臨床の実際について知り、理解を深めていきましょう。
イベントに参加された方は振り返りとして、
参加できなかった方はどんな内容だったかのチェックとして、
ぜひこのレポートを読んでみてください!
それでは参りましょう😊
みなさんに質問
まず始めに、参加者の皆さんにチャットで2つの質問をしてみました。
それぞれどんな答えがあったのか確認してみましょう。
①「性犯罪加害者」ってどんなイメージ?
・一見親切に見える
・権威のある人
・怖い
・衝動や欲求を抑えられない人
・顔見知り
・弱者を狙う
②「性犯罪」ってどんなイメージ?
・誰にでもおこり得ること
・ストレスの発散、習癖
・暗い、怖い
・被害者の精神的ダメージが大きい
・上下関係が関わっている
などなど、この他にも多数のご意見を頂きました。ご協力ありがとうございました!
これを読んでくださっているみなさんは、どのようなことを考えたでしょうか…
それでは早速、斉藤先生のお話に移っていきましょう👀
Talk1 加害者臨床、性犯罪って?
加害者臨床とは、DVや性犯罪加害者の行動変容や、教育プログラムを指しています。
被害者支援と加害者臨床は車の両輪のようなものであり、正反対のように見えるかもしれませんが、案外表裏一体になっていると斉藤先生は言います。
斉藤先生の著書には『男が痴漢になる理由』という本があります。
ネットニュースなどでも多数取り上げられているので、この本を知っている方も多いかもしれませんね。
一般的な「痴漢」に対するイメージと、斉藤先生が実際に出会う「痴漢」には、大きな差があるそうです。
その具体的な内容について、Q&A形式で確認してみましょう。
「性犯罪は、欲求によって衝動的に…」という言葉はよく聞くフレーズかもしれません。
しかし、ほとんどの性犯罪者は意図的に被害者と状況を選んでいます。
性欲をコントロールできなくて痴漢などの性犯罪を犯すのではなく、
「達成感」「ストレス発散」「支配的欲求」「ゲーム感覚」などの動機で性犯罪に手を染めるのです。
「言い逃れ、合理化、嘘…」などのように、加害者の「自分の責任から目をそらしたい」という姿勢に対して、どのように責任と向き合ってもらうか、ということを加害者臨床では行っています。
そして、性犯罪に対するイメージが女性と男性の間では大きな差があり、その差が性犯罪の再犯防止プログラムの中で大きな足枷になります。つまり、加害者は、被害者の心情や状況を理解できない、という点に繋がっていきます。
日本共産党ジェンダー平等委員会が実施したアンケートによると、
痴漢被害を受けたことがある人の被害時の年齢は、18歳以下が7割を超え、
その中でも小学生以下と回答した人は34.5%にものぼります。
しかし、被害を受けても「何もできなかった」「怖くて反応できなかった」という答えも圧倒的に多く、その後の生活が制限されるケースも少なくありませんでした。
それではここで、性犯罪の定義について改めてまとめておきましょう。
まず大きな特徴は、
①性欲によって衝動的に行われるのではなく、「支配」「優越」などの様々な欲求から、計画的に行われる。
②社会の中で、自ら痴漢になる=学習された行動である。
性犯罪を「性欲原因論」として矮小化するのではなく、改めて考えることが重要です。
Talk2 再犯防止プログラム
それでは、実際に斉藤先生がどのような再犯プログラムを実施しているのか、具体的に見ていきましょう。
治療の3本の柱が、
①再発防止
②薬物療法
③性加害行為に責任を取る
となっています。
その中には、「治療の3原則」というものがあります。
科学的エビデンスに基づいて、その加害者の再犯リスクを点数化することができ、
その点数によってプログラムの回数や期間を調整していきます。
加害者の再犯防止プログラムは、いつまで続くのか、と問われれば、
究極的には「一生続く」と答えることができるそうです。
その後の人生で被害者をひとりも出さないようにするには、一生かけて取り組んでいかなければなりません。
そして痴漢や盗撮などの性暴力をなくし、加害者も被害者も作らないためには、性教育における取り組みが欠かせません。
教育や啓発の段階で、包括的性教育のプログラムにこれらの問題について取り入れていくことで、性暴力・性犯罪をなくす道筋が見えてくるのではないでしょうか。
Q&Aコーナー
参加してくださった方からの質問に、斉藤先生に答えていただきました。
抜粋して紹介します。
Q. 再犯防止プログラムを受けたら、どれくらい再犯率が下がるのか?
A.現実的な話をすると、今まで見てきた2500名のうち、半分弱は再び訪れることはありません。海外と違って、日本では強制治療制度が無く、あくまで本人の意思に任されてます。
Q. 被害経験のない方が加害行動に出るのを抑止するために必要な事は何か?
また、被害経験のある方が加害者にならないために必要なことはどのような事か?
A. 「これをすれば加害者にならない」という答えはありません。しかし、最終的には、アダルトコンテンツなどに触れる前に、性教育によって正しい性の知識をインプットし、情報を選べるようにすることが重要だと思います。また、被害者を加害者にしないためには、同じ問題を持った仲間に繋がることが重要です。しかし、私が出会うのは、既に性犯罪を犯した人です。「再犯」だけではなく「初犯」を防ぐ試みにも今後取り組んでいきたいと思っています。
話しあってみよう!
斉藤先生のレクチャーを受けた後、2つのテーマについて、参加者の皆さまとディスカッションを行いました。性暴力は性欲や衝動性のみで起こるものではなく、認知の歪みなどの依存症の枠組みで考える視点に気が付いた、性的同意やからだに触れる同意について幼少期から学ぶことが大切だと思った、などのご意見をいただきました。
積極的なご発言とご協力、本当にありがとうございました!
参加者アンケート
参加者のみなさまから、講演後にアンケートを記入していただいたので、
その結果を少しだけシェアさせて頂きます!
回答していただいた全ての方に「講座を通して初めて知ることがあった」、「講座はあなたの役に立つと思った」と回答していただきました!
また、頂いた感想の一部を共有させていただきます!
・性犯罪が必ずしも性欲の発散が目的で行われているのではないということが印象的でした。
・性犯罪が日本社会で「学ばれる」ものであるということが印象に残った。私は今まで性犯罪加害者に対して「常識がなくて頭がおかしい人」という過度に他者化したイメージを抱いていたが、性犯罪加害者が持つ認知の歪みが「嫌よ嫌よも好きのうち」といった男尊女卑の文化・価値観に根ざしていると分かり、個人ではなく社会全体の問題なのだと分かった。
さて、最後まで読んでくださってありがとうございました!
イベントにご参加頂いた方も、今このイベントレポートを読んでくださっている方も、イベントの雰囲気を少しでも感じられたでしょうか?
お時間があえばぜひ、次回のイベントでお会いしましょう🔆
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それでは次回もお楽しみに!
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この記事を書いた人⇒ゆきこ💛
早稲田大学3年生で、ピルコンのインターン&フェローとして活動に参加中。「性について気軽に語れる場をつくっていきたい!」という気持ちから性教育に興味を持つ。最近は、世界の性教育に興味あり🌏