読者ををぐんぐん牽引する【物語のエンジン】を簡単に作る二つの設定とは S④
主人公に目的はあるか
ブンコ「ストーリーを前に進めるための【物語のエンジン】には、主人公の目的と障害物の二つがあるって言ったけど、これってどんでん返しと関係があんの?」
ぴこ蔵「多いにあるのじゃ! それを理解するためにも目的と障害物についてもう少し考えを深める必要がある」
ブンコ「それじゃあぴこ蔵師匠、主人公の【目的】っていうのはどーゆーこと?」
ぴこ蔵「主人公がやらねばならんことであり、主人公の存在理由そのものじゃ。意味もなく外出したり、暇なのでパチンコに行ったりする。そんなヒマは主人公にはありゃあせん。何も変わらないなんてもってのほかじゃ。エンタメにおいて読者の貴重な時間を浪費することは許されん。パチンコひとつやるにも確固たる動機が必要なのじゃ!」
ブンコ「き、厳しいんだねー、エンタメの主人公の立場って」
ぴこ蔵「当たり前じゃ。主人公は何かを為すために存在しておる。エンタメの読者は気が短い。次に何をするかがなかなか見えてこない雰囲気依存のシーンは危険すぎるのじゃ!」
ブンコ「前回の実例(2)の主人公の場合は、遺産を相続するためにパチンコ台を攻略するというのが目的になって、ストーリーが動き始めたわけかー」
ぴこ蔵「主人公の明確な目的こそが【物語のエンジン】なのじゃ!」
ブンコ「じゃあ、ストーリーが始まったらすぐに事件が起こらないと読者はついてきてくれないんだねー。オープニングでは出来るだけ早く目的を明確にすることが作者の義務ってことか」
ぴこ蔵「おぬしの主人公は目的に向かって全力疾走しとるか?」
主人公には苦難を与えよ
ブンコ「じゃあ【障害物】ってゆーのは何?」
ぴこ蔵「これが人間の不思議なところなんじゃが、いくらすごい目的を設定しても、あまりにも事が順調に運んではちっともドラマチックには感じないのじゃな」
ブンコ「確かに、これと言ったピンチもなしに目的がすいすい達成されたって、読者にとってはぜんぜん面白くないもんねー」
ぴこ蔵「良いエンジンを積んだら、さらに物凄い悪路を走らねばならん。苦労しないと読者は前に進んでいる実感が湧かんのじゃ。いやはや、物語作りはサファリラリーみたいな作業じゃよ」
ブンコ「読者の興味をひきつけるためには、主人公を襲う苦難や高い壁が必要だってことかー!」
ぴこ蔵「抵抗感があるからこそ前進が実感できる。【障害物】とはまさにそのことなんじゃよ!」
面白い物語の基本形
ぴこ蔵「さて、面白いストーリーにするためには、主人公が目的を持っていることと、障害物があることが必要じゃということがわかった。それでは、その二つを話の流れに取り入れるとどんな風になるかな?」
ブンコ「主人公はある目的を持っている。当然その目的を達成しようとがんばるよね。ところが、それを邪魔する奴がいるわけ。主人公はそいつと戦うことになる……」
ぴこ蔵「うむ、つまりこれが【対立】ってやつの正体なのじゃ」
ブンコ「わかりましたー! 主人公は目的達成のために障害物と対立するわけだ!」
ぴこ蔵「そういうことじゃ。ドラマとは、主人公が目的達成のために障害物と戦うこと。つまり、面白いストーリーにするには、主人公が目的のために邪魔者と戦うべし!」
ブンコ「師匠、不肖アタクシめがまとめさせていただいちゃうよ。
〈面白いストーリーの基本形〉
★目的を達成したい主人公が、それを邪魔する敵と戦う
これでどう?」
ぴこ蔵「上出来じゃ。お主が書くべき【面白いストーリー】の姿がますますわかりやすくなってきたのう。特に、とりあえず初めて物語を書くのなら、ある目的を達成したい主人公がそれを邪魔する敵と戦う話がおすすめじゃ! 基本中の基本じゃからな」
ブンコ「よーし、さっそく主人公の目的を決めなきゃなー! でも、どうやって? 」
ぴこ蔵「焦るでない焦るでない! お主にも簡単に【主人公の目的】を決める方法があるのじゃ! じゃが、そのためにまず知らねばならぬことがある!! その前に、この章のまとめなのじゃ!」
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