あなたの物語を面白くする都市伝説ツール『URBAN LEGEND & MAGIC』
突然ですが、村上春樹の小説はお好きですか？
ちなみに私は大好きです。
彼の作品の多くには、まるで都市伝説のような不思議な話が登場します。
村上春樹自身は都市伝説を使ったとは一言も言っていませんけど……
例えば
『パン屋再襲撃』
真夜中に耐え難い空腹に襲われた新婚夫婦。
その原因となっているある「呪い」を解くために、パン屋を襲撃することに。
『海辺のカフカ』
15歳の誕生日、田村カフカは家を出た。
遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。
一方、遥かな空の下では……
猫語が話せる老人が、世界が結びあわされる場所を探して旅を続けていた。
謎のキーワードが二人を導く。
闇の世界に出口はあるのか？
『1Q84』
1Q84年―私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう。
青豆はそう決めた。
Qはquestion markのQだ。
疑問を背負ったもの。
彼女は歩きながら一人で肯いた。
ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれ、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
『騎士団長殺し』
妻と別離し、小田原の海を望む小暗い森の山荘に暮らす36歳の孤独な画家。
緑濃い谷の向かいに住む謎めいた白髪の紳士が現れ、奇妙な出来事が起こり始める。
雑木林の中の祠、不思議な鈴の音、古いレコード……。
そして現れる「騎士団長」。
『ダンス・ダンス・ダンス』
『羊をめぐる冒険』から４年、激しく雪の降りしきる札幌の町で――。
「僕」の新しい冒険が始まる。
羊男、美少女、そしていくつかの殺人。
渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで。
「僕」は奇妙で複雑なダンスのステップを踏みながら……
暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。
とても紹介しきれませんが、このように……
たくさんの村上作品には、暗喩に満ちた「都市伝説」の断片が登場します。
なぜでしょうか？
村上春樹に限りませんが、たくさんの作家が都市伝説を小説に取り入れています。
その理由を愚察してみました。
読者の想像力を刺激し、ストーリーを面白くするため：
街角でぼやく人面犬、死に方の選択を迫る老婆……。
都市伝説は、読者の想像力を刺激し、話を面白くするキャラクターに満ちています。
ぴこ蔵が都市伝説を好きなのは、ヘンテコなキャラたちの中に、逆に生々しいリアリティーを感じることがあるからです。
共感を深めるため：
都市伝説は、人々が共有する文化的な遺産の一部とも言えます。
奇怪だけれど懐かしい。
そんな、無意識を手探りするような感覚を取り入れることで、読者との共感を深めることができるのかもしれません。
都市での人間関係の複雑さを描くテーマと関連しているため：
村上春樹は、いわゆる「田舎」との対比ではなく
「人々が群れ住まう場所」
という意味での「都市」における人間関係の複雑さを描いてきました。
そういう意味で都市伝説は……
都市の暗部を反映し、村上春樹が描くテーマと密接に関連していると言えなくもありません。
真実と嘘の狭間で揺れ動く人間心理を表現するため：
都市伝説とは、真実と嘘の狭間で生まれる物語であります。
常識と幻想の境目がどんどん曖昧になっていく話です。
読者は混乱し、現実と虚構の狭間で揺れ動く。
その切なさを表現するにはうってつけの素材だと言えるでしょう。
このように
作家が都市伝説を小説に取り入れる理由は……
読者の想像力をぐいぐいと刺激し、話を面白くする。
それとともに
共通の文化を利用して作品に愛着を持ってもらうため
――と考えられます。
そこには恐怖があり、とても信じられない怪異が語られます。
ふん、バカバカしい。
誰もが鼻で笑いますが、一人になってふと思い出すと怖くて後ろが振り向けません。
背後に口が耳まで裂けた何者かが立っている、なんてことはあり得ない。
そうアタマでは判っていても、太古の記憶が耳元で囁くのです。
お前なんか一口で食べちゃうぞ！
ペロリだぞ！
「キャーッ！」
と思いがけないほど大きな声が出ます。
あなたは頭の中が真っ白になります。
そして電灯がつけられ、全てが日常に戻り……
笑いが起こって緊張が解けます。
これが肝試しのカタルシスです。
よせばいいのに、毎夏、繰り返されます。
怖いのは嫌いなのに、どこかで待ち望んでいる自分がいます。
なぜならそれは、暗闇の中に何が見えるかというゲーム……
想像力の「遊び」だから。
私にはこんなものが視えた。
だからあなたにも視えるはず。
目は使わずに。
空想だけで。
私の虚構をあなたの虚構として受け入れてほしい。
そう願う時、「都市伝説」は、非常に有効な手段なのです。
ぜひあなたの物語にも取り入れてください。
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