反魂術式『逆転写経』とは何か?
構造を意識しながら読んでいますか?
物語を書くことは、物語を読むことでもあります。
面白い物語を書きたいのであれば、他人の作品を読むことです。
特に、その『構造』を掴み取ることを意識して読んでください。
今読んでいる文章は、何のために書かれているのか?
どんな効果を与えるためにそこに書かれているのか?
作者の戦略を考えながら読むことで、何度も読み返さなくても全体の構成を素早く把握できます。
そうやって、常に物語構造を理解しながら読書することは、自分が書く時にとても役に立ちます。
さて、今回はそんな「戦略的な読書」のために、以前、昔のメルマガで紹介した【あらすじチャレンジ】という課題とその秘密を公開したいと思います。
実はこの課題は、ある特徴を持つ文豪の作品と、それとは知らずに同じテーマで書いた自分の作品の「構成」に焦点を合わせることで、その具体的な違いに深く興味を持っていただくことを目指して設けられました。
▼当時、参加してくださった皆さんのご感想
・すてきな企画。詳細で丁寧な分析と講評。(Aさん)
・驚きましたが、勉強になりました。(Bさん)
・ハッとさせられました。なんだか嬉しくもありました。(Yさん)
・まさか……だったとは。無数の物語が作れる事を再認識。またやってみたい。(Aさん)
・……そういう企みでしたか! いろいろ考えてしまい、ただ今アドレナリンが出まくっていて大変です(笑)なので、私は今回のイベント、文句なく楽しかったです! ものづくりって、楽しい→ツライ→ツライ→ツライ→めっちゃ楽しい、の繰り返しで、ここ暫くずっとツライが続いていたので、久しぶりに『めっちゃ楽しい』をいただけたことに感謝いたします!(Sさん)
・こういう種明かしだとは。一回自分で考えてみると気づきが増えます。(Rさん)
・面白かったし、またやってみたい。他者の長所に気づいたり、自分の反省点が分かり易くなる。(Fさん)
・これだけ違った形になるという体験に驚きました。ものすごくハッと気付かされ、納得。これを創作チェックリストの最初に入れておきます!(Pさん)
・自分の足りないところが自覚でき次へのステップにつながる。大いに参考にしたい。(Tさん)
・貴重な体験。面白いと同時に大変興味深かった。ちょっとした奇妙な物語を私自身がなぞっているような印象を受けています。(Mさん)
・驚きました。次はサプライズにはならないと思いますが、それでも面白い。(Nさん)
・話が思いつかない時に強引に作る方法として有効。(Nさん)
・機会を頂けるのなら、何度でも挑戦したい。(Eさん)
【文豪への挑戦】過去の課題のネタばらし
【あらすじチャレンジ】と称されるこの課題には、いったいどんな秘密が隠されているのか?
謎が謎を呼ぶサプライズ・イベントだったわけですが、参加者の皆さんには満足していただけたようでなによりです。
そんなわけで、この大好評企画を、今回はその仕掛けを説明しながらもう一度紹介させていただきます。
物語創作スキルを向上させるためには、物語の「あらすじ」を書く訓練が必須です。
面白いストーリーの作り方を身につけるために、これだけはどうしても避けられない絶対条件なのです。
まずは短いあらすじを書いてみる。とにかくそれが大前提です。
いかにノウハウをレクチャーしたところで、実際に書いてもらわなくては、文字通り、話が始まらないからであります。
ごく短いあらすじを書くだけで、あなたの実力は100倍になります。そこには「畳の上での水練」と「プールで実際に泳ぐ」ほどの差があるのです。
実際に手を動かして「書く」のか、「書かない」のか。
あなたの選択次第で未来は大きく変わります。
あらすじ作りに挑戦してください
提出する必要はありませんので、以下のお題に従ってあらすじを書いてみてください。
▼お題:『2次元の美少女』
▼内容:
(1)主人公は、ある場所で出会った人物に、一枚の「不思議な絵」を見せられる。
(2)そして、その絵の中の女に心を奪われた男がたどった、切なくも不気味な「恋の行く末」を聞く。
(3)最後に主人公は、その話が本当なのではないか、と思えるような「奇妙な体験」をする。
▼課題:
上記の内容に沿った400~800文字のあらすじを書いてください。
特に、物語のポイントである「不思議な絵」「恋の行く末」「奇妙な体験」については具体的に描写してください。
その結果、得られるもの
さて、この課題は、書き終わった時からが楽しくなります。
実は、このお題は「ある有名作家の作品」を元にして作らせていただきました。
同じ題材を使って書かれた「実例作品」が存在するのです。
つまり、参加者には文豪とサプライズで腕比べをしてもらったわけです。闇討ちで申し訳ない。
あの伝説の作品は、自分の物語とどこがどう違うのか?
あの文豪はどんな企みを胸に秘め、如何なる順番で、何を書いたのか?
もし、過去にその作品をすでに読んでいたとしても、その時とは全く違うレベルの集中力で、参加した人は得難い読書体験をすることになるでしょう。
これが「構造を意識しながら読む」ということです。
ぜひ自分でもあらすじを書いて、同じ条件で書かれた文豪の作品とを読み比べることで、「何がどう違うのか?」を実感していただきたいと思います。
すでに存在する有名な作品を一心不乱に分析し、その魂である物語の構造を学び取る。
これはまさしく「写経」の精神です。
しかし、手順としては、最初にあなた自身の作品を書くことで、逆説的に文豪のお手本を理解することが出来る。
ただし、比較対象が誰の作品であるかは伏せておく。
これは「逆転」の発想です。
この「写経」と「逆転」を結びつけたらどうなるか?
きっと、「物語構造」を楽しく学べるに違いない! わははは!
そこでぴこ山ぴこ蔵は、大好きな『呪術廻戦』にあやかって、このチャレンジを“反魂術式『逆転写経』”と名付けました。
さあ、逆転写経することで、文豪の名作にもう一度魂を呼び込もうではありませんか!
上記の実例に使った「ある文豪の作品名」は下記の「答え合わせ編」で発表します。併せて、そのあらすじや本編も全文ご紹介します。
だからその答えを読む前に、あなたも実際に先程の課題あらすじを書いてみてください。
楽しみが100倍になりますよ!