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【ショートショート】世界が終わる日に赦した

描写の練習でもしようと思い、スロットメーカーでお題を回しました。
お題:世界が終わる日に 泣きながら あなたを赦した

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世界が終わる日。僕が想像していたそれは、例えば大陸くらいの隕石ががなりを立てながら降ってくるとか、マッド・サイエンティストに生み出された悲しきモンスターが人間を襲うとか、とにかくそんな派手なものだった。でも、現実は違っていたんだ。穏やかに草木を愛でる日差し。歌うような小鳥たちの鳴き声。しかし、この平和を体現したかのような時の中、間違いなく今日、世界は終わりを迎える。
その理由は、「人類の寿命」だ。今まで人類は様々な方法で絶滅危惧種の動物を保護していたが、ある時、ケージの中でどれだけ大切に育てても、同じ種族の動物が一斉に突然死する事例が頻発した。僕らの調査によると「種族の寿命」が原因だ。全ての生き物は種族として、この世で生存できる期間、寿命が限られているらしい。それを迎えると、どんな術を尽くしても一斉に事切れてしまうというのだ。そしてその「人類の寿命」が、まさに今日なのだ。

僕は伸び切った草を踏み分けながら、墓石の前に立った。苔が表面覆っている。もう元の石の色は思い出せそうにない。僕は石のてっぺんに酒を落とした。
「これで満足か」
唇を噛み締めながらそう呟く。
この世界が穏やかなのは、そもそも人類がこの「寿命」の存在自体を知らないからだ。真実へとたどり着いた矢先、とつぜん相棒のこいつが僕を殴り、家の倉庫へ閉じ込めた。数日後、やっとの思いで脱出できた僕が見たのは、こいつの亡骸だった。真実を王へ伝えたところ、まるで信じてもらえず「不敬な占い師は死刑罪」で罰されたらしい。きっと、この独裁国家ではこうなると分かっていたのだろう。そのために正義感の強い僕を遠ざけたのだ。
『お前だけが知っていればいい。俺のことも、この世界のことも』
戻った家にはこんな遺言が残されていた。死者の願いは呪いに等しい。残された者に、それを振り払うことはとてもできないからだ。そして、人を呪う者は地獄に堕ちると言われている。呪術に厳しいこの国では、特に許されざる行為なのだ。
「さぞ素晴らしい地獄にいるんだろう。僕はあれから、誰にも真実を伝える努力をしてこなかった。この罪で、行き先は同じのはずだ」
僕は視界が熱く歪むのを感じながら、そのまま地面に伏した。
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